AI査定で相場感をつかみ、机上査定などで売却価格の目安が見えてくると、いよいよ実際に売却を任せる会社を選ぶ段階に入ります。ただ、査定額だけでは判断しきれず、「安心してお願いできる会社かどうか」を何で見極めればよいのか分かりにくいものです。
たとえば、どの会社も「高く売れます」と言っていて違いが見えにくく、査定額だけでは判断しきれなかったり、大手と地域密着型の不動産会社のどちらが合うのか、囲い込みが心配なときは何を確認すればよいのか、担当者を信頼してよいのかなど、選ぶポイントがいくつもあるからです。
こうしたときは、「大手だから安心」「最初に連絡をくれたから話しやすい」といった感覚だけで決めるのではなく、比較しながら候補を絞っていく流れが現実的です。
この記事では、複数の不動産会社の中から「この1社なら任せられる」と納得して選ぶために、比較から面談、最終決定までの3ステップを整理します。
※「囲い込み」とは、他社経由の買主紹介を積極的に受けないことで、売却機会が狭まることを指します。
※媒介契約には複数社と契約できる一般媒介もありますが、この記事では「最終的に任せる1社を選ぶ」流れを前提に解説します。

【ステップ1】 AI査定と3社以上の机上査定で不動産会社を比較する
最初のステップは、候補となる不動産会社の母集団づくりです。いきなり1社に決めるのではなく、まずはAI査定で相場の目安を持ち、3社以上の不動産会社から机上査定を受けて比較します。
ここでは、「何社に依頼するか」「大手と地域密着型の会社をどう組み合わせるか」「査定額以外に何を見るか」を整理していきます。目的は、高い査定額を出した会社を選ぶことではなく、次のステップで候補を絞るための比較材料を集めることです。
① まずAI査定で相場の基準線を持つ
まず押さえておきたいのが、AI査定の役割です。AI査定は、最終的な売却価格を決めるものではなく、各社の提案を比べるための相場の目安です。
HowMaマガジンの売主インタビューでも、事前にHowMaのAI査定で見ていた相場感と、不動産会社3社の査定額を照らし合わせたことで、査定額の高低や会社の得意不得意を見分ける材料になった事例がありました。
AI査定の数字はそのまま正解として受け取るのではなく、「この会社はこの相場感に対して、なぜこの価格を提案しているのか」を見るために使います。
たとえば、1社だけ極端に高い査定額を出してきた場合も、その会社が成約事例や販売戦略まで含めて説明できるなら、判断材料になります。逆に、数字だけを強く押してくるなら注意が必要です。
このように、AI査定は不動産会社を選ぶうえで、査定額の高低だけに左右されずに提案を比較するための価格の基準線として機能させることができる、と考えるといいでしょう。
参照記事:「AI査定+450万円で目黒のマンションを売却!不動産会社選びの正解が見えない不安をどう乗り越えたのか」
② 最低でも3社以上、できれば6社前後を目安に机上査定を依頼する
机上査定は、現地訪問をせず、物件情報や周辺相場をもとに出す査定です。最初の比較対象としては、最低でも3社以上に依頼したいところです。
内訳の最低ラインとしては、大手1社、地域密着型の不動産会社2社くらいがひとつの目安になります。さらに比較の材料を増やしたり、多角的に比較したい場合は、大手1〜3社と地域密着型の不動産会社3社を目安に、合計6社前後まで広げると、会社ごとの違いを見比べやすくなります。
ここで意識したいのは、社数を増やすことそのものではなく、大手と地域密着型などの「違う強みを持つ会社」を比較できるようにしておくことです。
大手は、ブランド力や集客力、広告網、投資家ネットワークを持っていることがあります。一方で、地域密着型の不動産会社は、エリアの細かな相場感や買主の動き、地域事情に詳しいことがあります。
どちらが絶対に優れているというより、物件の種類やエリアによって向き不向きがあります。
たとえば、投資用や特殊物件では大手が向くケースもありますし、自宅や地域特性の強い戸建てでは地域密着型の会社が力を発揮しやすいこともあります。
実際、過去の売主インタビューでも、複数社と話すうちに、自分が重視したい条件や、納得しやすい説明の違いが見えてきたという声がありました。最初から1社に決め打ちするよりも、まずは比べるための母集団をつくっておくほうが、次のステップで候補を絞りやすくなります。
③ 机上査定では、査定額より「説明の中身」をメモする
机上査定の段階では、まだ契約する必要はありません。この時点で見るのは、査定額そのものよりも、その数字にどんな説明が付いているかです。
たとえば、査定額の根拠について、近い条件の成約事例や売却までの期間、想定している販売戦略とあわせて説明できているかを確認します。高い査定額を出していても、「なぜその価格で売れると考えているのか」が見えなければ、あとで判断しにくくなります。
また、物件のよい点だけでなく、売りにくさや注意点にも触れているかも見ておきたいところです。欠点をまったく口にしない会社よりも、懸念点を踏まえたうえで「それでもどう売るか」を説明してくれる会社のほうが、面談で詳しく話を聞く候補にしやすくなります。
ここで集めた説明は、細かなチェック項目をすべて評価するというより、次のステップで訪問査定や面談に進む候補を絞るための材料にします。担当者をより具体的にどう見極めるか、説明のどこを細かく確認するとよいかは、Step6-2 信頼できる不動産業者を見抜く10のチェックポイントで詳しく整理します。
【ステップ2】 本命候補2社を訪問査定と面談で見極める
机上査定だけでは、会社の得意分野や担当者の対応までは分かりません。ステップ2では、ステップ1で絞った本命候補2社に対して、訪問査定と面談を行います。ここでは「その会社があなたの物件に合っているか」と「その担当者に本当に任せられるか」を、実際のやり取りの中で確認します。
① 数字だけでなく「物件タイプ×エリアに合っているか」で候補を見る
ここで重視したいのは、査定額の高低ではなく、その会社があなたの物件で結果を出せそうかどうかです。
たとえば、マンションは広告網や投資家ルートの強い会社が合うことがあります。一方で、郊外戸建てや土地では、地域密着型の会社が強いケースもあります。重要なのは、「この物件はうちの得意分野です」と具体的に説明できるかどうかです。
単に「実績があります」と言うだけではなく、近いエリアや似た条件の物件でどう動いてきたのかまで話せる会社のほうが、売り方のイメージも持ちやすくなります。学区の強さや立地の特徴など、その物件ならではの価値をきちんと理解してくれるかも見ておきたいところです。
② 訪問査定では、売り方の戦略と囲い込みへの姿勢を確認する
訪問査定は、現地を見たうえで行う査定です。この段階では、金額だけでなく、売り出したあとにどう動くつもりなのかを確認しておきたいところです。
たとえば、次のような質問をすると、会社の考え方が見えやすくなります。
- 売り出し後しばらく反響が弱かった場合、どのタイミングで何を見直すのか
- 不動産会社同士が物件情報を共有する仕組みである「レインズ」への登録時期をどう考えているか
- 他社からの案内や内覧希望にどう対応するのか
囲い込みが不安な場合は、必要以上に怖がるよりも、売主として確認すべきことを押さえておくと判断しやすくなります。レインズへの登録時期や、他社からの案内への対応方針が明確なら、その会社がどこまで情報を開示して売るつもりなのかが見えやすくなります。
あわせて、売れなかったときの次の打ち手となるプランBも聞いておくと安心です。たとえば、価格見直し、販売方法の変更、場合によっては買取の検討など、次の選択肢が見えている会社のほうが、売却が長引いたときにも相談しやすくなります。
※「レインズ」は、不動産会社同士が物件情報を共有する仕組みです。
③ 担当者は、レスポンスと説明の分かりやすさで見極める
不動産会社選びといっても、実際にやり取りするのは担当者です。良い担当者を見分けるコツとして、不動産仲介の現場でもよく挙がるのが、レスポンスの速さや約束を守る姿勢です。会社名だけでなく、「この人に任せて進められそうか」を見ることも欠かせません。
HowMaマガジンの売主インタビューでも、最終的な決め手として、レスポンスの速さや担当者とのコミュニケーションのしやすさが挙げられています。返事が早い、質問への回答が分かりやすい、相談したことにきちんと戻ってきてくれる。
そうした積み重ねが、安心感につながっていたと語られています。
実際に見ておきたいのは、次のような点です。
- メールや電話の返事が早いか
- 資料提出や約束した期日を守るか
- 売主の事情や希望条件を聞いたうえで提案しているか
- 不安な質問に対して、ごまかさずに答えるか
売却活動は、数日で終わるものではありません。数カ月単位でやり取りする相手だからこそ、「この人なら質問しやすい」「困ったときにちゃんと返してくれそう」と感じられるかどうかは、意外と大きな判断材料になります。
参照記事:「初めての相続→実家じまいで、手探りで10ヶ月格闘の末に手に入れた本当の『安心』=『AI査定』」
参照記事:「転勤で家を売るなんて無理!と思った主婦が、AI査定で3ヶ月だけで納得の売却を成功させたたった2つの戦略」
【ステップ3】 1社に絞る判断軸と、合わなかったときの対処を整理する
ステップ1とステップ2を経ると、候補はかなり絞られているはずです。ここで決めきれずに比較を続けてしまうと、売却活動そのものが前に進みにくくなります。
最後は、査定額の高さではなく、何を基準に1社へ決めるかを整理しましょう。あわせて、任せたあとに違和感が出た場合の対処も知っておくと、「合わなかったらどうしよう」という不安を抱えたまま決めずに済みます。
① 最後は「会社」「担当者」「売り方の戦略」の3点で選ぶ
候補が2社まで絞れても、最後の1社を決める場面では迷いが残ることがあります。そのときは、査定額だけを比べるのではなく、前のステップで確認した担当者の対応も含めて、「会社」「担当者」「売り方の戦略」の3点に分けて整理すると判断しやすくなります。
- 会社
物件種別やエリアで実績があり、あなたの物件に合った売り方を持っているか - 担当者
連絡や説明に安心感があり、誠実に向き合ってくれるか - 売り方の戦略
売り出し価格の考え方が現実的で、売れなかったときの次の打ち手まで考えられているか
ここで大切なのは、一番高い査定額を出した会社をそのまま選ぶことではありません。過去の売主インタビューでも、最終的に決め手になったのは査定額の高さだけではなく、担当者とのコミュニケーション、資料の丁寧さ、売ったあとまで見据えたサービスなどでした。
最後は、この3点を総合して、「この会社なら任せられる」と納得できるかで決めるのが現実的です。
参照記事:「転勤で家を売るなんて無理!と思った主婦が、AI査定で3ヶ月だけで納得の売却を成功させたたった2つの戦略」
② 「合わない」と感じたときは、早めに断る・担当変更を相談する
不動産の売却では、最初の印象だけでは見えないこともあります。もし進める中で「思っていた対応と違う」「この人には相談しにくい」と感じたら、違和感を我慢し続ける必要はありません。
早めに断ることや担当変更を相談することに、気が引ける人もいるかもしれません。
しかし、時間を置いても対応の違和感が自然に解消されるとは限りません。担当者変更や会社を断ることを悪いことだと思いすぎず、違和感がある場合は早めに対処できるよう、伝え方を用意しておくと安心です。
▼会社ごと断る場合の伝え方テンプレート例
- 丁寧に対応してもらったが断る場合
「1社に絞るにあたって大変悩んだのですが、今回は我が家の特性に近い物件の扱いが豊富だった他社さんにお願いすることにしました。親身にご対応いただき、ありがとうございました。もしまた何かご縁がありましたら、ぜひご相談させていただきたいと思います。」 - 対応に違和感があった場合
「今回はさまざまな条件を踏まえて検討した結果、他社さんにお願いすることにしました。ご対応いただいたところ恐縮ですが、今回は辞退させていただきます。また別の機会がありましたら、よろしくお願いいたします。」 - 理由をあまり詳しく伝えたくない場合
「複数社のご提案を比較した結果、今回は他社さんにお願いすることにしました。査定やご提案にお時間をいただき、ありがとうございました。また機会がありましたら、よろしくお願いいたします。」
▼担当者のみ変えたい場合の伝え方テンプレート例
- 経験豊富な担当者に相談したい場合
「引き続き御社に相談したいと考えているのですが、我が家に近い条件での売却経験が豊富な方とご一緒できると、より安心です。」
- 別の意見も聞いてから進めたい場合
「御社で進めることも前向きに考えているのですが、他のご意見も伺ったうえで進めたいので、別の担当の方にも相談させていただけますか。」
- やわらかく担当変更を相談したい場合
「御社への相談は続けたいと思っているのですが、別の方のお話も伺ってみることは可能でしょうか。」
売却は数カ月続くことも多いので、不満を溜め込むより、早めに切り替えたほうが結果的に損しにくいこともあります。
まとめ
不動産会社選びは、勢いや雰囲気で決めてしまうと、あとから見直しにくい部分です。感覚だけに頼らず、段階を踏んで選ぶことで、納得して任せられる会社を見つけやすくなります。
改めて流れを整理すると、次の3ステップになります。
- AI査定で相場の目安をつかみ、最低でも3社以上、できれば6社前後を目安に机上査定を依頼する
- 査定額ではなく説明内容を比較し、本命候補2社に絞って訪問査定と面談に進む
- 会社、担当者、売り方の戦略という3つの視点から、納得して任せられる1社を決める
完璧な不動産会社を探すのではなく、「比較したうえで、自分が納得して任せられる会社」を選べれば、失敗リスクはかなり下げやすくなります。
HowMaでは、AI査定で自宅の相場感を確認したうえで、コラボ査定で複数社の査定・営業活動を比べることもできます。不動産会社選びの最初の一歩として、ぜひ活用してみてください。