「実家だからそのままにしている」「いつか使うかもしれない」「まだ売る決心がつかない」
そう考えている間にも、空き家には毎年さまざまな維持コストがかかっていきます。
実は空き家にかかる維持管理費用は、年間数十万円、条件によっては100万円以上の負担になるケースも珍しくありません。
この記事では、空き家を所有し続けることで発生するコストを一つずつ整理し、「売却したほうがよいケース」まで解説します。
この記事でわかること
- 空き家を放置すると発生する7つのコスト
- 毎年必ずかかるのは固定資産税・都市計画税
- マンションなら管理費・修繕積立金も払い続ける
- 戸建てなら草刈り・庭木の手入れ・清掃費用がかかる
- 建物は住まないほど傷みやすい
- 火災保険・地震保険も見直しが必要
- 空き家税が導入されると負担はさらに増える可能性
- 見落とされがちな「資産価値の下落」が一番大きな損失
- 空き家を10年間保有したときの費用シミュレーション
- 売るべきか迷ったら、まずは今の価値を知ることから始めよう
空き家を放置すると発生する7つのコスト(損失)

空き家は、誰も住んでいなくてもさまざまな費用が発生します。固定資産税のように毎年必ず支払う費用だけでなく、管理や修繕、建物の老朽化による維持費なども継続的な負担となります。
さらに見落としがちなのが、建物や土地の資産価値が時間とともに下落していくことです。
つまり、空き家の負担は「毎年支払うお金」だけではありません。まずは、空き家を所有し続けることで発生する主なコストを整理してみましょう。
【空き家を所有し続けることで発生する主なコスト】
| コスト | 目安金額 | 主な内容 |
| 固定資産税・都市計画税 | 約10~18万円 | 毎年課税される税金 |
| 管理費・修繕積立金(マンションの場合) | 約35万円 ※1 | マンションで毎月発生する費用 |
| 草刈り・庭木・清掃費用(戸建て) | 約5~15万円 | 戸建ての維持管理費 |
| 建物の修繕・メンテナンス費 | 約10万円〜 | 老朽化を防ぐための修繕費修繕内容によって大きく異なる |
| 火災保険・地震保険 | 約3~8万円 | 契約内容によっては保険料が変わることも |
| 将来の空き家税 | 物件ごとに税額が異なる | 自治体によって導入される可能性がある法定外税 |
| 資産価値の下落 | 数十万~数百万円(10年間) | 建物や市場価格の下落による目に見えない損失 |
※1 国土交通省のマンション総合調査(管理費:約1.6万円/月、修繕積立金:約1.3万円/月)を基に年間額を算出。実際の金額はマンションの規模や築年数などによって異なる
ここで重要なのは、「支払うお金」と「資産価値が減る損失」は別で考えることです。 固定資産税や管理費などは毎年実際に支払う費用ですが、資産価値の下落は売却時の価格に影響する「見えない損失」です。
空き家を所有し続けるコストを正しく把握するためには、この2つを分けて考えましょう。
毎年必ずかかる固定資産税・都市計画税

空き家を所有している限り、毎年支払いが必要になるのが固定資産税・都市計画税です。住んでいなくても原則として課税されるため、長期間保有するほど負担は積み重なります。まずは税金の仕組みと負担額の目安を確認しておきましょう。
毎年必ずかかるコスト
固定資産税は実際に住んでいるかどうかにかかわらず、毎年1月1日時点の所有者に課税されるため、誰も住んでいない空き家でも納税義務はなくなりません。
税額は固定資産税評価額や所在地によって異なりますが、一般的な戸建住宅では年間約10~18万円程度が目安とされています。
ただ、建物を解体して更地にすると、住宅用地の特例が適用されなくなり、土地の固定資産税・都市計画税の負担が増える場合があります。「使っていない家だから負担は少ない」と考えて放置していると、毎年継続的な税負担が家計に影響を与えることになるでしょう。
特定空家になると税金が最大約6倍になるケースも
空き家の管理を怠り、倒壊のおそれや衛生上の問題などがあるとして自治体から「特定空家等」と判断され、空家法に基づく勧告を受けると、住宅用地に適用されている固定資産税・都市計画税の軽減措置(住宅用地の特例)が解除されます(下図)。
【固定資産税及び都市計画税の軽減措置】
| 種類 | 小規模住宅用地(200㎡以下) | 一般住宅用地(200㎡超) |
| 固定資産税 | 課税標準の6分の1に減額 | 課税標準の3分の1に減額 |
| 都市計画税 | 課税標準の3分の1に減額 | 課税標準の3分の2に減額 |
出典:空き家の活用や適切な管理などに向けた対策が強化。トラブルになる前に対応を! | 政府広報オンライン
小規模住宅用地(200㎡以下)では、固定資産税の課税標準が通常は6分の1まで軽減されています。
しかし、勧告を受けてこの特例が外れると、本来の課税標準で税額が計算されるため、固定資産税の負担が大きく増える点に注意が必要です。その結果、小規模住宅用地では固定資産税が最大で約6倍になることも考えられます。
都市計画税についても軽減措置が適用されなくなるため、これまでより税負担が重くなる可能性があります。空き家を適切に管理することは、建物の安全性を保つだけでなく、不要な税負担を防ぐためにも重要なポイントです。
空き家税について概要をわかりやすく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
「空き家を放置すると損する時代へ|空き家税・固定資産税・維持費から考える売却のタイミング」
将来的には空き家税が加わる可能性も
固定資産税や都市計画税に加え、今後は自治体独自の「空き家税」が課される可能性もあります。空き家税は、空き家や別荘、セカンドハウスなどの非居住住宅の活用を促すために自治体が導入する法定外税で、全国一律の制度ではありません。
京都市では「非居住住宅利活用促進税」の導入が予定されており、寝屋川市でも「空き家流通促進税条例」が可決されるなど、空き家問題への対策として新たな税制度を導入する自治体が出てきています。
今は対象外の地域でも、今後同じような制度が導入される可能性があります。空き家を長く所有する予定であれば、現在かかっている維持費だけでなく、将来の税負担も見据えておくと安心です。
マンションなら管理費・修繕積立金も払い続ける

空き家となってもマンションは毎月の管理費や修繕積立金の支払いが免除されません。
ここでは、マンションの管理費・修繕積立金について解説します。
誰も住んでいなくても支払いは続く
マンションを空き家のまま所有していても、管理費と修繕積立金の支払いは毎月発生します。これらは、住んでいるかどうかにかかわらず、区分所有者に支払い義務がある費用です。
管理費は共用部分の清掃や設備の維持管理に、修繕積立金は将来の大規模修繕に備えるために使われます。誰も住んでいないからといって支払いを止めることはできず、滞納すると遅延損害金が発生したり、管理組合から督促を受けたりする可能性があります。
一般的な管理費と修繕積立金の合計は年間約35万円が目安です。空室期間が長くなるほど負担は積み重なるため、売却や賃貸も含めて早めに今後の活用方法を考えておくことが重要です。
修繕積立金は将来的に値上げされるケースもある
マンションの修繕積立金は、一度決まった金額がずっと続くとは限りません。築年数の経過や長期修繕計画の見直し、大規模修繕工事の実施などに合わせて、段階的に値上げされるケースがあります。
特に新築時は購入しやすいよう修繕積立金を低めに設定し、その後に増額する「段階増額積立方式」を採用しているマンションも少なくありません。
なお、国土交通省の調査でも、1戸当たりの修繕積立金の平均額は年々上昇していることが読み取れます(下図)。

出典:国土交通省|令和5年度マンション総合調査結果からみたマンションの居住と管理の現状
空き家で誰も住んでいなくても支払いは続くため、将来的な値上げも見据えて資金計画を立てておきましょう。
大規模修繕について具体的に知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
日本初の55階大型マンションの修繕費はどの程度?国内初のタワマン大規模修繕の費用を解説
戸建てなら草刈り・庭木の手入れ・清掃費用がかかる

戸建ての空き家は固定費がかからない反面、草刈りや庭木の手入れ、清掃などの管理費用が全額自己負担となります。ここでは、戸建て特有の管理費用について解説します。
年数回、草刈りや庭木の管理が必要
戸建ての空き家は、誰も住んでいなくても庭や敷地の管理が欠かせません。草刈りや庭木の剪定、落ち葉の清掃をせずに放置すると、景観が悪くなるだけでなく、害虫が発生したり、伸びた雑草や庭木が隣地にはみ出したりして、近隣トラブルにつながることがあります。
そのため、年に数回は草刈りや庭木の手入れが必要です。遠方に住んでいる場合は専門業者へ依頼することも多く、その都度費用が発生します。年間では5~15万円程度かかることもあり、空き家を長く所有するほど維持管理の負担は大きくなります。
遠方に住んでいると管理代行費用もかかる
空き家が遠方にあると、定期的に様子を見に行くだけでも交通費や移動時間がかかります。そのため、現地へ頻繁に足を運べない場合は、空き家管理代行サービスを利用する人も少なくありません。
管理会社では、建物の換気や通水、郵便物の確認、敷地の見回り、簡易清掃などを行い、建物の劣化や近隣トラブルの予防につながる管理を代行しています。費用はサービス内容や巡回回数によって異なりますが、月額5,000~15,000円程度が目安です。
草刈りや庭木の剪定などは別料金となる場合もあるため、利用期間が長くなるほど管理代行費も増えていきます。自分で管理する時間や交通費と比べながら、利用するかどうかを判断するとよいでしょう。
放置すると近隣トラブルの原因にも
空き家を放置すると、近隣住民とのトラブルに発展することがあります。伸びた雑草や庭木が隣地へはみ出したり、落ち葉やごみが周囲に散乱したりすると、景観が損なわれるだけでなく、害虫やネズミが発生しやすい環境になります。管理されていない空き家は、不法投棄や不法侵入の標的になることも少なくありません。
さらに、老朽化が進むと、台風で屋根材や外壁が飛散したり、地震で建物が倒壊したりして、近隣の建物や通行人に被害を及ぼす可能性があります。こうした事故が起きれば、所有者が損害賠償責任を負うケースもあるため、空き家は定期的な管理が欠かせません。
空き家は人が住まないほど傷みやすい

空き家は、人が住まなくなると想像以上のスピードで劣化が進みます。室内の換気不足による湿気やカビ、雨漏りの発見の遅れ、設備の不具合などが重なり、建物の寿命を縮める原因になります。
実際に国土交通省の調査(下図)でも、空き家所有者が最も心配していることは「住宅の腐朽・破損の進行」で、半数を超える人が不安を感じていました。
この章では修繕費が膨らむ前に、建物が傷みやすくなる理由と、劣化を防ぐための管理方法について知っておきましょう。

出典:空き家政策の現状と課題及び 検討の方向性|国土交通省
換気不足で湿気やカビが発生しやすくなる
人が住んでいる家は、窓を開けたり、人の出入りがあったりすることで自然と空気が入れ替わります。しかし、空き家は締め切った状態が長く続くため、湿気がこもりやすく、カビや木材の腐朽が進みがちです。
押し入れや床下、天井裏は特に湿気がたまりやすく、気付かないうちに劣化が進んでしまうこともあります。傷みが大きくなると修繕費もかさむため、定期的に換気や通水を行い、建物の状態を確認しておきましょう。
雨漏りは見えない場所で被害が広がることも
雨漏りは、天井から水が落ちてきて初めて気付くとは限りません。実際には、屋根や外壁から入り込んだ雨水が天井裏や壁の内部を伝い、見えない場所で被害が広がっていることもあります。
そのまま放置すると、柱や梁などの木材が腐ったり、金属部分がさびたり、カビが発生したりするため、建物の耐久性が低下することも考えられます。雨水が電気配線まで達すると漏電につながるおそれもあるので注意しましょう。
空き家は異変に気付きにくいため、定期的に建物を点検し、小さな異変のうちに補修することが建物を長持ちさせるポイントです。
シロアリは建物の土台を傷める原因に
シロアリは木材に含まれるセルロースを栄養源としており、住宅では床下の土台や柱などを食い荒らします。被害は床下や木材の内部など見えにくい場所で進むため、気付いたときにはかなり広がっていることも珍しくありません。
食害が進むと建物を支える土台や柱の強度が低下し、床が沈んだり、建物がゆがんでドアや窓の開閉がしづらくなったりすることがあります。
さらに被害が深刻になると、土台や柱の交換・補強工事が必要となり、多額の修繕費がかかるケースも見られます。床下を含めて定期的に点検しておくことで、被害の拡大を防げるでしょう。
配管のトラブルで思わぬ修繕費がかかることも
空き家では長期間水回りを使わないため、配管やパッキンなどの設備が劣化しやすくなります。築年数の古い住宅では、給水管や排水管の老朽化によって水漏れや詰まりが起こることも少なくありません。
気付かないまま漏水が続くと、床下や壁の内部まで水が回り、土台の腐食やカビ、シロアリ被害につながるおそれがあります。
被害が広範囲に及ぶと、建物の構造部分まで補修が必要になり、修繕費が数十万~数百万円に達することもあるでしょう。定期的に通水や点検を行い、水回りの異変を早めに見つけることで、高額な修繕費を防ぎやすくなります。
空き家だからこそ火災保険・地震保険を見直そう

火災保険と地震保険の保険料は、建物の構造や所在地、補償内容などによって異なります。一般的には、両方に加入すると年間約3~8万円程度の保険料がかかるケースが多く、空き家であっても契約を継続する限り保険料の支払いは続きます。
ここでは、空き家の火災保険・地震保険の見直しについて解説します。
空き家になると保険の契約条件が変わることも
空き家になると、加入している火災保険や地震保険の契約内容を見直す必要が生じる場合があります。保険会社によっては、人が住んでいない建物を住宅として扱わず、契約内容の変更や空き家向けの保険への切り替えを求められることもあるからです。
また、住宅用火災保険では補償内容が変わったり、空き家の状態によっては補償の対象外となったりするケースも見られます。
契約内容が実際の利用状況と異なると、万が一の際に保険金が支払われない可能性もあるため、空き家になったら早めに保険会社へ相談し、契約内容を確認しておきましょう。
空き家に合わせて補償内容を見直そう
空き家は、人が住んでいる住宅とはリスクが異なるため、必要な補償内容も変わる場合があります。例えば、台風や大雪による建物の損傷、不法侵入や放火などは、空き家だからこそ注意したいリスクです。
また、建物内に家具や家電を残している場合は、家財補償が必要かどうかも確認しておきましょう。
保険会社によって補償内容や引受条件は異なるため、空き家になったら現在の契約内容を一度見直すことをおすすめします。利用状況に合わない契約のままでは、万が一の事故や災害の際に十分な補償を受けられない可能性があります。
空き家税が導入されると負担はさらに増える可能性

現在、全国共通の「空き家税」はありませんが、空き家の増加を背景に、独自の税を導入・検討する動きが出てきています。
例えば、京都市では「非居住住宅利活用促進税」が2030年度(令和12年度)から課税開始予定となっており、寝屋川市でも空き家を対象とした新たな税制度(空き家流通促進税条例)の導入を目指しています。
今後、こうした取り組みが他の自治体へ広がれば、固定資産税や都市計画税に加えて、新たな税負担が生じる可能性もあります。
空き家税は、所有者への課税そのものが目的ではなく、空き家の流通や利活用を促し、放置を減らすための制度です。使う予定のない空き家は、売却や賃貸など早めの活用を検討することが、将来の負担軽減につながるでしょう。
見落とされがちな「資産価値の下落」が一番大きな損失

空き家を所有するうえで見落とされがちなのが、資産価値の下落です。建物の老朽化や周辺の市場環境の変化によって売却価格が下がることがあり、維持費以上に大きな損失につながるケースもあります。
ここでは、資産価値の下落について解説しましょう。
建物は年々価値が下がる
空き家を所有していると、毎年かかる維持費や税金に目が向きがちですが、実は最も大きな損失になりやすいのが建物の資産価値の下落です。
建物は築年数の経過とともに価値が下がるのが一般的で、さらに空き家の状態が続くと、換気不足や雨漏り、シロアリ被害などによって劣化が進み、不動産の市場価値がさらに低下する可能性があります。
修繕が必要な箇所が増えれば、買い手から値下げを求められたり、売却までに時間がかかったりするケースも少なくありません。
「今は使わないから」と放置している間にも資産価値は少しずつ失われていくため、売却や賃貸などを検討している場合は、できるだけ早めに行動したほうが有利になりやすいでしょう。
市場価格の下落で売却価格が下がることも
不動産の売却価格は、建物の状態だけで決まるわけではありません。地域の需要と供給、人口動態、景気などの影響を受けて市場価格は変動します。
そのため、住宅需要が減少している地域では、築年数がそれほど古くなくても以前より低い価格でしか売れないこともあるでしょう。また、空き家を長期間放置している間に市場環境が変化し、売り時を逃してしまうケースも少なくありません。
建物の劣化と市場価格の下落が重なると、想定していたより売却価格が大きく下がる可能性があります。活用予定がない空き家は、市場価格が大きく下がる前に売却を検討するのも一つの方法です。
売れる時期を逃すリスク
空き家として放置している間に建物の劣化が進むと、買い手から値下げを求められたり、売却までに時間がかかったりすることがあります。
活用方法が決まっていない空き家は、「まだ大丈夫」と先延ばしにせず、売却や賃貸なども含めて早めに活用方法を検討することが大切です。建物の状態が良いうちに動き始めることで、希望に近い条件で売却や活用ができる可能性が高まります。
シミュレーション|空き家を10年間保有するといくらかかる?

空き家を「とりあえず所有しておこう」と考えていても、維持費や税金は毎年積み重なっていきます。
さらに、建物の修繕費や保険料なども必要になるため、10年間では想像以上の負担になることもあります。ここでは、一般的な戸建て住宅を例に、空き家を10年間保有した場合にかかる費用の目安をシミュレーションしました。
【空き家を10年間保有した場合にかかる費用目安のシミュレーション】
| 項目 | 年間の目安 | 10年間の目安 |
| 固定資産税・都市計画税 | 約10~18万円 | 約100~180万円 |
| 火災保険・地震保険 | 約3~8万円 | 約30~80万円 |
| 草刈り・庭木の手入れ・清掃 | 約5~15万円 | 約50~150万円 |
| 管理代行費(利用する場合) | 約6~12万円 | 約60~120万円 |
| 修繕費(雨漏り・外壁・設備など) | 約10万円 | 約100万円 |
| 維持費・修繕費 合計 | 約34~63万円 | 約340~630万円程度 |
| 資産価値の下落(※) | ー | ▲300万円 |
| 合計負担・損失 | ー | 約640~930万円 |
※資産価値の下落額は一例です。実際には立地や築年数、市場環境などによって大きく異なります。
10年間空き家を所有すると、維持費や税金だけでも約340~630万円の負担が発生する可能性があります。さらに、売り時を逃して資産価値が300万円下落した場合、経済的な損失は約640~930万円に達します。
つまり、空き家を放置するコストは毎年の維持費だけではありません。売却価格の下落まで含めると、損失は数百万円単位で大きくなることがあります。
活用する予定がない空き家は、維持費だけで判断するのではなく、資産価値の変化も考慮して早めに売却や賃貸を検討することが重要です。
「持ち続ける」と「売却する」どちらが得?コストを比較

空き家をそのまま所有するか、それとも売却するか。判断するときは売却価格だけでなく、所有し続けた場合にどれだけ費用がかかるのかも確認しておきたいポイントです。
使う予定のない空き家でも、所有している限り固定資産税や保険料、管理費などの支出は続きます。さらに、時間の経過とともに建物は劣化し、修繕費がかさむこともあります。まずは、持ち続けた場合と売却した場合の違いを比較してみましょう。
| 項目 | 持ち続ける | 売却する |
| 固定資産税 | 払い続ける | 支払いが終了 |
| 管理費 | 払い続ける | 支払いが終了 |
| 草刈り・庭木の手入れ | 必要 | 不要 |
| 修繕費が発生する可能性 | あり | 基本的に不要 |
| 火災保険・地震保険の保険料 | 払い続ける | 支払いが終了 |
| 空き家税が導入されるリスク | あり | なし |
空き家を所有している間は、固定資産税や保険料などの維持費に加え、草刈りや修繕などの管理費用も発生します。建物の傷みが進めば修繕費はさらに増え、売却する頃には資産価値が下がっている可能性もあります。
一方、売却すると維持費や管理の負担はなくなります。仲介手数料や譲渡所得税などの費用が発生するケースはありますが、その後も毎年かかり続ける固定資産税や管理費、将来の修繕費まで負担する必要はありません。
空き家を持ち続けることにも理由があるかもしれません。ただ、使う予定がないまま何年も所有していると、支出は積み重なり、資産価値が回復するとは限らないのが実情です。
売却は利益を得るためというより、これ以上負担を増やさないための選択と考えると、判断しやすくなるでしょう。
よくある質問(FAQ)

空き家の維持費は年間いくらかかりますか?
空き家の維持費は建物の状態や立地、管理状況によって異なりますが、一般的な戸建てでは年間約34万~63万円が一つの目安です。主な内訳は、固定資産税・都市計画税、火災保険・地震保険、草刈りや庭木の手入れ、清掃費、修繕費などです。
空き家を長期間放置すると建物の劣化が進み、雨漏りや外壁の補修など大規模な修繕が必要になることもあるため、維持費が想定以上に膨らむケースもあります。
空き家を放置すると固定資産税は高くなりますか?
必ず高くなるわけではありません。しかし、適切な管理が行われず、自治体から「管理不全空家」や「特定空家」として勧告を受けると、住宅用地の特例が解除される場合があります。
その結果、土地に適用されていた固定資産税や都市計画税の軽減措置が受けられなくなり、税負担が大きく増える可能性があります。こうした負担を避けるためにも、空き家は定期的に管理し、建物の状態を良好に保っておきましょう。
マンションと戸建てではどちらが維持費が高いですか?
一般的には、マンションは管理費や修繕積立金が毎月発生するため、空き家でも一定の維持費がかかります。一方、戸建ては毎月支払う管理費や修繕積立金はありませんが、外壁や屋根の大規模修繕、庭の手入れなどの費用は所有者が負担します。
駐車場代の有無や築年数、建物の状態によって維持費の総額は変わるため、一概にどちらが高いとはいえませんが、マンションは毎月の固定的な支出が続く点が特徴です。
空き家税が導入されると年間どれくらい負担が増えますか?
現時点では全国共通の空き家税はなく、導入した自治体によって税額は異なります。例えば、京都市の「非居住住宅利活用促進税」では、家屋の固定資産税評価額などに応じて税額が決まります。
負担額は物件によって異なりますが、年間数万円程度となるケースが考えられます。今後、他の自治体でも同様の制度が導入される可能性があるため、空き家を長期間所有する場合は、お住まいの自治体の制度や動向を確認しておくとよいでしょう。
相続した実家は売ったほうが得ですか?
必ずしも売ったほうが得とは限りません。ただ、相続した実家に住む予定がなく、今後も利用する見込みがない場合は、固定資産税や修繕費に加え、建物の管理費用などの維持費がかかり続けるため、早めに売却したほうが負担を抑えられるケースがあります。
一方、将来的に住む予定がある場合や賃貸として活用できる場合は、保有する選択肢もあります。維持費や資産価値、活用方法を比較したうえで、自分に合った判断をするとよいでしょう。
まとめ:売るべきか迷ったら、まずは今の価値を知ることから始めよう

空き家は、所有しているだけでも固定資産税や保険料、維持管理費、修繕費などの負担がかかります。さらに、時間の経過とともに建物は劣化し、不動産市場の状況によっては資産価値が下がることもあるため、売却のタイミングを逃してしまう可能性もあります。
だからといって、売るかどうかを今すぐ決める必要はありません。まず確認したいのは、「今ならいくらで売れるのか」という現在の資産価値です。
HowMaのAI査定では、現在の相場を約60秒で確認できます。売却を具体的に検討する段階になったら、コラボ査定を利用して複数の不動産会社の査定額や販売戦略を比較することも可能です。
AI査定で相場を把握したうえで各社の提案を比較できるため、価格だけでなく担当者や販売方針も含めて、自分に合った不動産会社を選びやすくなります。査定結果に納得できれば、そのまま売却へ進めばよいでしょう。
反対に、「まだ売る時期ではない」と感じたら、そのまま保有を続けるという判断でも構いません。まずは今の資産価値を知ることが、後悔のない判断につながります。