「賃貸中のマンションを売りたい。でも、入居者がいるまま売れるの?」
売却を考えていても、退去を待つべきか、いくらで売れそうかがわからず、動き出せないこともあるでしょう。
入居者が住み続けたまま、所有者だけが変わる売買を「オーナーチェンジ」といいます。売却価格を考える際には、立地や築年数に加え、家賃や利回りも重要です。
この記事では、オーナーチェンジの仕組みから、売却のメリット・注意点、価格の調べ方、査定前の準備まで解説します。 入居中に売るか、空室になってから売るかを考える際の参考にしてください。
▼この記事の結論
オーナーチェンジ物件は、入居者との賃貸借契約を維持したまま売却できます。
ただし、買主は主に投資家になるため、居住用物件のように「周辺の㎡単価」だけで価格を考えるのではなく、家賃・利回り・管理費・修繕積立金・契約条件・将来の支出まで含めた収益性が重要です。
売るかどうかを決める前に、まず現在の価格目安と収支を並べて確認するのが出発点となります。
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オーナーチェンジとは?
オーナーチェンジとは、賃貸中の不動産を、入居者との賃貸借契約が続いた状態のまま売買し、物件の所有者だけが変わる取引です。
オーナーが入居者に直接貸している場合、原則として貸主が旧オーナーから新オーナーへ変わります。物件が売却されても、それを理由に入居者が退去する必要はなく、貸主が変わっても賃貸借契約は引き継がれるため、入居者はこれまでの契約に沿って住み続けられます。
また、売主は退去を待たずに売却でき、買主は取得後すぐに家賃収入が見込める点が特徴です。

オーナーチェンジ物件の仕組み
オーナーが入居者に直接貸している場合、物件の所有権が移ると、原則として家賃収入を得る権利や貸主としての役割も新オーナーへ引き継がれます。
たとえば、月額家賃10万円で入居者がいる区分マンションを売却するケースを考えます。売買が成立して所有権が買主へ移ると、その後の家賃を受け取る主体も新オーナーへ移ります。
同時に、賃貸管理や修繕対応、退去時の精算など、貸主としての対応も新オーナー側へ引き継がれていきます。貸主側で修繕すべき設備が故障した場合、新オーナーが管理会社などと連携して対応します。
また、サブリースの場合、入居者に対する貸主はサブリース会社です。オーナーが受け取るのは、サブリース会社との契約に基づく賃料です。
このため、サブリース付き物件の売却では、契約の引継ぎや賃料の受取先・精算方法も、売主と買主が確認するポイントになります。
通常の不動産売却との違い
空室や自己居住の物件は、買主が自分の住まいとして購入することもできます。これに対して、オーナーチェンジ物件は入居者との賃貸借契約が続くため、買主は主に投資家となります。
買主層のほか、価格の判断材料や室内内見、売却後の利用にも、次のような違いがあります。
| 比較項目 | 空室・自己居住物件 | オーナーチェンジ物件 |
| 主な買主 | 自分で住みたい個人+投資家 | 原則として投資目的の買主 |
| 価格判断 | 立地・築年・面積・室内状態・周辺成約など | 周辺相場・賃料・利回り・契約条件・ランニングコストなど |
| 室内内見 | 可能なことが多い | 入居中は難しいことが多い |
| 売却前の退去 | 売り出し前は不要 | 入居者の退去は不要(住んだまま売却) |
| 売却後 | 買主が自由に利用しやすい | 賃貸借契約を前提に運用 |
オーナーチェンジ物件では、買主が購入後に得られる収入や負担も価格判断に関わります。
そのため、売主は周辺相場に加え、現在の賃料や費用、契約条件も踏まえて売却価格を考えることになります。
入居者がいる状態で売買する理由
売主にとっては「退去時期が読めないから売れない」という状態を避けられること、買主にとっては取得時点で家賃収入の見通しを立てやすいことが大きな理由です。
入居者の退去を待ってから売るとなると、売却時期は退去時期に左右されます。オーナーチェンジなら退去を待たずに買主を探せるため、資金が必要な時期など、売主自身の事情を踏まえて売却を検討できます。
買主にとっても、すでに入居者がいる物件なら、新たな入居者を募集せずに家賃収入を見込める利点があります。現在の賃料や支払状況も確認できるため、購入後の収入を具体的に考えられます。
HowMaの売却体験談でも、賃料を見直したうえで利回りから売却価格を逆算し、再入居後にオーナーチェンジで売却した事例が紹介されています。
関連記事:4ヶ月・購入価格超えで売却成功!不動産のプロが4年間使い続けたAI査定の真価
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オーナーチェンジ物件の売却価格はどう決まる?
オーナーチェンジ物件は、同じマンションで広さが近い住戸でも、必ずしも同じ価格になるとは限りません。
買主は、自分で住むためではなく、投資した金額に対してどれだけ収益が期待できるかを見ます。そのため、家賃と費用、契約の安定性が価格に直結しやすくなります。
売主も「いくらで売りたいか」に加え、「その価格で買主がどれだけの収益を見込めるか」を考えることが大切です。
では、周辺相場や家賃・利回りなどが売却価格にどう影響するのか、順に見ていきましょう。
周辺のマンション価格だけでは決まらない
周辺のマンションの売出価格や成約価格は、売却価格を考える際の参考になります。ただ、立地や広さが近い物件でも、家賃や費用、契約条件まで自分の物件と同じとは限りません。

自分の物件がいくらで売れそうかを考えるには、周辺相場に加え、次の賃貸状況や費用、契約条件を確認することが重要です。
- 現在の月額賃料と年間賃料収入
- 空室・滞納の有無、入居期間
- 表面利回りと実質的な収益性
- 管理費・修繕積立金・管理委託費
- 固定資産税などの保有コスト
- 普通借家・定期借家・サブリースなどの契約条件
- 将来の修繕負担や設備交換リスク
- 同一マンション・周辺の投資用物件の売出・成約水準
売却価格を具体的に確認するには、不動産会社に賃料や契約条件、費用を伝えたうえで相談しましょう。
設定されている家賃は売却価格にどう影響する?
オーナーチェンジ物件では、買主が引き継ぐ家賃収入が、売却価格を考える土台になります。
現在の賃料が高いほど年間賃料収入は増えるため、同じ利回りを前提にすれば計算上の価格も高くなります。
ただし、現在の家賃が周辺相場より明らかに高い場合、退去後に同じ賃料で再募集できるとは限りません。たとえば、新築時に高めに設定した家賃で入居が続いている物件では、築年数が経過した後の再募集で、家賃が下がる可能性もあります。
買主は、現在の家賃による収入だけでなく、退去後に見込める収入も踏まえて購入価格を考えます。そのため、家賃が高いことだけで、高く売れると判断することはできません。
逆に、長期入居で家賃が周辺相場より低い場合は、現状の収益性が価格の上限になりやすい一方、将来の賃料見直し余地を買主がどう評価するかがポイントになります。
売却を見据えて賃料の見直しを検討する場合も、入居中は現在の契約内容や改定条件の確認が必要です。家賃を上げられる前提で売却価格を考えず、見直しの可能性も含めて不動産会社に相談しましょう。
表面利回りから価格を逆算する
現在の家賃をもとに売却価格の目安を考える方法の一つが、表面利回りを使った逆算です。
投資用不動産では、年間賃料収入を物件価格で割った「表面利回り」が、価格を見る基本指標の一つです。逆に、年間賃料収入と買主が求める表面利回りがわかれば、次の式で価格の目安を計算できます。
価格の目安=年間賃料収入÷想定する表面利回り
▼簡易シミュレーション
月額賃料10万円なら、年間賃料収入は120万円です。仮に買主が表面利回り5%を基準に見るなら、120万円÷5%=2,400万円。6%なら2,000万円、4%なら3,000万円です。

この例では、想定する表面利回りが5%と6%で、価格の目安に400万円の差が出ます。計算に使う利回りによって結果が変わるため、一つの利回りだけで売却価格を決めることはできません。
ここで示したのは、空室・滞納や保有費用を考慮せず、毎月10万円の家賃が1年間入ると仮定した価格の目安です。利回り4〜7%も計算方法を示すための数字で、実際の査定額は立地や築年数、管理状態、契約条件、取引事例などによって変わります。
逆算した価格を目安にしながら、管理費や修繕積立金などを差し引いた収支も確認しましょう。
「表面利回り」だけでなく実質的な収益を見る
オーナーチェンジ物件の売却価格には、家賃収入の額だけでなく、費用を差し引いた後に残る収益も関わります。
家賃が月10万円でも、10万円すべてがオーナーの利益になるわけではありません。管理費、修繕積立金、賃貸管理委託費、固定資産税、保険、修繕費などがかかります。
表面利回りには、これらの費用が含まれていません。同じ家賃でも、費用が違えば収益性は変わるため、売主も現在の支出を把握しておく必要があります。
たとえば、修繕積立金が月5,000円増えると、年間の支出は6万円増えます。家賃が変わらなければ、その分だけ残る金額が減るため、今後の増額予定も収支を左右します。
修繕積立金の月額が低くても、将来の負担が軽いとは限りません。長期修繕計画に対して積立金が不足していれば、増額や一時金の負担が生じる可能性があります。
買主は、購入後に貸主として負担する修繕費や設備交換費も考慮します。修繕履歴や共用部の修繕計画は、こうした将来の負担を把握するための資料です。
家賃と費用をどちらも年額に直し、年間家賃から管理費や修繕積立金などを差し引くと、ローン返済前の収支の目安がわかります。次の図では、家賃を満額受け取る前提で、その計算の流れを示しています。

売却価格を考える際は、家賃の額だけでなく、費用を差し引いた収支と将来の負担も踏まえて判断しましょう。
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賃貸借契約の内容も価格判断に影響する
現在の賃貸借契約は、買主が物件を取得した後の家賃収入や費用負担に関わります。
普通借家か定期借家か、契約期間、更新条件、サブリースの有無、賃料改定の条件などは、買主が将来の収入や運用自由度を判断する材料です。
売却だけを理由に、現在の賃料や更新条件を買主が自由に変更できるわけではありません。
敷金の額や保証人の有無、契約更新料、退去時の修繕費用の負担区分も、買主が収支やリスクを考えるうえで重要です。更新料を誰が受け取るかは将来の収入に、修繕費用の負担区分は支出に関わります。
オーナーが入居者に直接貸している場合、売却によって貸主の地位が移ると、敷金の返還義務も原則として買主に引き継がれます。敷金の精算は、売却価格そのものとは別に確認する事項です。敷金残高を売主と買主の間でどう扱うかは、売買契約で取り決めます。
また、買主は既存の入居者を選び直せないため、滞納履歴や入居者トラブルの有無にも目を向けます。契約書の条件だけでなく、実際の支払状況や管理会社の対応記録を踏まえて、家賃収入の安定性や購入後に必要な対応を見極めます。
契約条件や支払状況によって収支の見通しが変わり、買主が購入を検討する価格にも影響することがあります。売却価格を相談する前に、賃貸借契約書と管理会社の報告をそろえておきましょう。
同じマンションの空室物件と単純比較できない理由
賃貸中のマンションの売却価格を調べる際は、同じマンションの別の住戸の売出価格も参考になります。
たとえば、空室住戸が3,000万円で売り出されていれば、「自分の物件も同じくらいで売れるのでは」と考えることもあるでしょう。ただ、広さが近くても、賃貸中の住戸にその価格をそのまま当てはめることはできません。
空室なら、買主本人が住む「実需」の選択肢が生まれます。入居中のオーナーチェンジ物件は、取得後すぐに自分で住むことを前提にしにくいため、買主層が投資家中心になります。投資目的の買主にとっては、現在の家賃や費用、契約条件を踏まえ、購入価格に対してどれだけの収益が見込めるかが重要です。
また、同じマンションでも、階数や日当たり、室内の状態などによって価格は変わります。比較する住戸と自分の物件にどのような違いがあるかを確認し、価格差の理由を入居の有無だけで判断しないことも必要です。
入居中という理由だけで、必ず安くなるわけではありません。空室住戸の価格を参考にしつつ、賃料や費用、契約条件を踏まえて、自分の物件がいくらで売れそうかを考えることも忘れないようにしましょう。
実例から見るオーナーチェンジ売却
HowMaマガジンには、実際に投資用・オーナーチェンジ物件を売却したユーザーの事例があります。個別事例をそのまま自分の物件に当てはめることはできませんが、「価格をどう考えたか」「どのくらいの期間で売れたか」を知ることができます。
| 事例 | 売却のポイント | 結果・示唆 |
| 投資マンションの売却事例 | 賃料を月3,000円上げて募集。4%の利回りから売却価格を逆算 | 購入価格を上回る水準を確認し、オーナーチェンジ売却を選択 |
| 大阪の投資用マンション売却事例 | 多数の不動産会社とやり取りし、仲介手数料も交渉 | 大阪市西区の1Kは1,950万円で売り出し、1,750万円で成約 |
| 利回り8%で売出した事例 | 777万円で開始後750万円へ価格調整 | 約1か月で売却、申込み5件。720万円で成約 |
| 横浜の投資物件事例 | 2,900万円で売出し | 2,810万円で成約。オーナーチェンジ前提で売却 |
これらは特定の物件・時期の事例であり、同じ結果を保証するものではありません。ただ、「賃料と利回りから価格を考える」「売却時の費用を交渉する」「売出後の反応を見て価格を調整する」という考え方は、売却計画を立てる際の参考になります。
たとえば、仲介手数料を交渉した事例からは、成約価格に加え、費用を差し引いて手元にいくら残るかにも目を向ける大切さがわかります。自分の売却計画でも、希望価格だけでなく、売却にかかる費用や価格調整の余地まで考えておきましょう。
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オーナーチェンジ物件を売却するメリット
賃貸中の物件を売却したいと思っても、「入居者がいると売りにくいのでは」「退去するまで待ったほうがよいのでは」と迷うこともあるでしょう。
オーナーチェンジなら、現在の賃貸借契約を引き継ぐ形で売却できます。入居者がいることは、家賃収入や賃貸実績を伴う、投資用物件としての強みにもなります。
ここでは、売却を検討するオーナーにとっての主なメリットを紹介します。
メリット①:入居者がいる状態で売却できる
最大のメリットは、入居者の退去を待たずに売却活動を始め、入居中のまま売却できることです。売却前に空室化や原状回復を済ませることを前提にせず、売却を進められます。入居者の退去予定が決まっていない物件でも、資産の組み替えやローン残債の整理、相続後の資産整理など、オーナーの事情に合わせて売却を検討できます。
メリット②:家賃収入を得ながら売却活動を進めやすい
売却活動中も賃貸借契約が続き、家賃の支払いが行われていれば、家賃収入を得ながら買主を探すことができます。空室にしてから売る場合と違い、売却期間中の収入が途切れにくい点はオーナーチェンジならではです。
物件を保有している間は、管理費や修繕積立金、固定資産税などの負担が続きます。家賃収入があれば、こうした支出に充てることができるため、売却までの資金負担を抑えられます。急いで現金化する必要がなければ、購入希望者の反応を見ながら、売出価格や販売条件を検討する余地も生まれます。
メリット③:投資用物件を探す買主へ収益実績を示せる
すでに入居者がいて家賃が発生しているため、買主は想定賃料ではなく現行賃料をベースに収支を検討できます。
賃貸借契約書だけでなく、家賃の入金状況や入居期間を示せれば、買主は現在の収益実績を具体的に把握できます。家賃の支払いに滞りがなければ、収入の見通しを説明するうえでも強みになります。
オーナーチェンジ物件を売却するときの注意点
オーナーチェンジの売却では、入居者との契約が続く物件を買主に引き継ぎます。そのため、買主への紹介方法や室内の情報提供、契約内容の確認など、賃貸中ならではの準備が必要です。
買主探しから売却後の資金計画まで、特に気をつけたいのは次の4点です。
注意点①:空室物件より買主層が限定されやすい
入居中は自己居住目的の買主が検討しにくいため、主なターゲットは投資家です。エリアによっては、空室にして実需向けに売る場合より買主層が狭くなる可能性があります。
賃貸需要が強く、収益性が魅力的な物件なら、投資家からの需要を期待できます。売却を依頼する際は、投資用物件の売却実績や、どのような買主に紹介する予定かも不動産会社に聞いておくと、販売方針を具体的に把握できます。
注意点②:室内を見せにくい
入居者が生活しているため、室内内見には入居者の協力が必要で、買主の希望に応じて室内を見せられるとは限りません。内見が難しい場合、買主は過去の室内写真や修繕履歴、設備状況、外観・共用部などから物件の状態を検討します。
買主にとって気になるのは、購入後にどのような修繕が必要になるかです。退去時に室内の傷みが判明すると、修繕や設備交換に想定外の費用がかかる可能性があります。
賃貸に出す前の室内写真や間取り図、設備交換の記録があれば、買主に室内の情報を伝える材料になります。写真は撮影時期を添え、現在の状態と異なる部分があれば説明しましょう。
注意点③:サブリース契約は必ず確認する
サブリースが付いている場合、実際の入居者が払う賃料ではなく、サブリース会社からオーナーへ支払われる賃料や契約条件が収益性を左右します。
サブリースは空室リスクを抑えられる一方、周辺の募集賃料が上がっても、オーナーが受け取る賃料が同じように増えるとは限りません。
受取賃料に加え、設備の修繕や原状回復などの費用を、オーナーとサブリース会社のどちらが負担するかも確認します。同じ受取賃料でも、オーナー側の負担が違えば残る金額は変わります。
また、売却に合わせて自由に解約できるとは限りません。契約期間や解約条件も、買主が購入後の運用を考えるうえで重要です。
不動産会社には、サブリース契約書を示し、受取賃料や費用負担、賃料改定・解約の条件を伝えたうえで、契約の引継ぎについて相談しましょう。

出典:国土交通省「サブリース規制」、HowMa FAQ「コラボ査定前にしておくべき準備や注意点は?」
注意点④:売却価格ではなく「手残り」まで確認する
高く売れても、ローン残債や仲介手数料、税金などを差し引いた後の手残りが少なければ、資産整理の目的を達成できないことがあります。
売却時の税額を見積もるには、まず課税譲渡所得を**「収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額」**で計算します。建物の取得費は所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて考えるため、購入価格をそのまま取得費にできるとは限りません。
手残りの計算で差し引くローン残債と、譲渡所得の計算で差し引く取得費は別の項目です。また、特別控除は適用できる場合に限られます。税額は取得費や保有期間、適用できる特別控除などによって変わるため、実際の売却では税理士などに確認しておきましょう。

見込売却価格からローン残債、仲介手数料などの費用、税金の概算を差し引き、売却後に必要な資金が手元に残るかを考えましょう。
出典:国税庁「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」、国税庁「No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」(令和8年4月1日現在法令等)
オーナーチェンジ物件の価格を自分で調べる方法
「自分の物件はいくらで売れそうか」を知るには、周辺で売り出されている投資用物件と、現在の賃料を調べることから始められます。比較できる物件を探し、賃料や利回りを照らし合わせることで、おおまかな価格帯をつかめます。
調べた価格は、不動産会社に売却を相談する際にも役立ちます。次の4つの方法で、価格の目安とその根拠を整理していきましょう。
方法①:同じマンション・周辺の売出物件を見る
まず、不動産ポータルサイトなどで、同一マンションや近隣の投資用物件を探します。見るべきは価格だけではありません。「価格・月額賃料・表面利回り・面積・築年・階数」をセットで比べます。
同じマンションに比較できる物件がなければ、周辺で築年や面積、間取りなどが近い投資用物件まで範囲を広げます。
売出価格は売主が設定する価格で、実際の成約価格と一致するとは限りません。国土交通省の不動産情報ライブラリでも取引価格・成約価格を調べ、できるだけ築年・面積・取引時期などが近い条件で比べましょう。
HowMaのマンション売却相場でも、マンション名やエリアから相場を調べられます。表示価格は、賃料や契約条件を踏まえたオーナーチェンジ物件の査定額とは区別して見ましょう。
方法②:現在の年間賃料を計算する
次に、自分の物件の賃貸借契約書などで現在の月額賃料を確認し、12か月分に換算します。共益費を賃料に含めるかなど、比較する物件と計算条件をそろえることも必要です。
サブリース付きの物件では、サブリース会社からオーナーへ支払われる賃料をもとに、年間の受取額を整理します。
複数戸を所有する一棟物件なら、各戸の賃料と空室状況をまとめます。その際は、現在の入居状況で見込める年間収入と、満室を想定した年間収入を区別しておきましょう。空室住戸には現在の家賃収入がないため、満室想定は募集賃料などを仮定した参考値です。
方法③:利回り別に価格を逆算する
年間賃料を、仮に4%、5%、6%など複数の想定表面利回りで割り、価格の幅を出します。
逆算に使う利回りを考えるときは、方法①で調べた、エリア・築年・間取りなどが近い投資用物件も参考にします。その際は、費用を差し引く前の「表面利回り」同士で比べることも大切です。
計算に使った利回りと結果を一緒にメモしておけば、不動産会社へ相談する際に、価格の根拠を説明できます。一棟物件で現状と満室想定を比べる場合は、どちらの年間賃料を使った計算かも併記しましょう。
方法④:AI査定・不動産会社査定と照合する
最後に、賃料と利回りから逆算した価格をAI査定や不動産会社の査定と照合し、エリア相場や土地・建物の市場価値との違いを見ます。HowMaのAI査定では、現在の推定価格、これまでの価格推移、近隣の売買事例などを確認できます。
HowMaは公開された取引事例や賃貸事例、公示地価・都道府県地価、新築事例などを収集・整理して価格推定に利用しています。AI査定は売却価格を確定するものではありませんが、周辺相場を把握する手がかりになります。
▼売主が見るべき3つの価格
- AIや周辺事例から見た「不動産そのものの価格目安」
- 賃料・利回りから見た「収益物件としての価格目安」
- 不動産会社が実際の買主需要まで踏まえて提示する「査定価格」

この3つの価格に差がある場合は、比較物件や価格の時点、賃料・想定利回り、契約・費用の前提が異なっていないかを確認する必要があります。
根拠を把握せずに3つの価格を単純平均しても、自分の物件に合った売出価格になるとは限りません。不動産会社には「どの成約事例を参考にした価格ですか?」「現在の賃料と、どの程度の利回りを前提にしていますか?」と尋ねてみましょう。
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オーナーチェンジ物件は入居中でも査定できる?
オーナーチェンジ物件は、入居中でも不動産会社に査定を依頼できます。室内を見せにくい場合も、物件の基本情報や賃貸借契約、管理状況などをもとに、売却価格の見込みを検討します。
HowMaのAI査定は、住宅用の区分マンション・土地・戸建を対象としています。一棟マンション等は対象外のため、一棟物件の売却価格を知りたい場合は、その物件を扱う不動産会社に査定を依頼します。
ただし、室内を確認できない場合は、設備の状態や修繕の必要性を査定額に十分反映できないことがあります。査定額がどの資料や条件を前提にしたものかまで、不動産会社に確認することが大切です。
査定や売却の相談に備え、住所・面積・築年数などの基本情報とあわせて、次の情報を整理しておきましょう。
| 査定前に用意したい情報 | 確認する理由 |
| 月額賃料・共益費 | 年間賃料と利回り計算の基礎 |
| 管理費・修繕積立金 | 毎月の固定コストを確認 |
| 賃貸借契約書 | 契約種別・期間・更新条件等を確認 |
| サブリース契約書(該当時) | 賃料・解約・改定条件を確認 |
| 入居期間・滞納履歴 | 収入の安定性を確認 |
| 固定資産税等 | 保有コストの把握 |
| 修繕履歴・長期修繕計画 | 将来支出や管理状態を確認 |
| ローン残高 | 査定額の算出ではなく、売却後の手残りを試算 |
HowMaのFAQでも、賃貸中物件では賃料、サブリースの有無・管理会社名、管理費、修繕積立金を最初に伝えることが推奨されています。
管理会社に賃貸管理を委託している場合は、管理委託契約書も査定前に確認しておきましょう。業務範囲や手数料は収支に、解約条件は売却時の管理の切り替えに関わります。
管理報告書や会計報告で、物件や入居者への対応状況も確認しておくと、不動産会社に管理の実態を伝えられます。
入居中の条件を踏まえた査定額は、空室を待つかどうかを考えるときの一つの基準になります。
出典:HowMa FAQ「コラボ査定前にしておくべき準備や注意点は?」・「どんな不動産種別の査定ができますか?」
空室を待って売る?オーナーチェンジで売る?
入居中のまま売るか、退去を待って売るかを決めるには、売却価格に加え、売却までの時間や収支も比較する必要があります。
どちらが有利かは物件ごとに異なります。重要なのは「オーナーチェンジだから安い」「空室なら必ず高い」と決めつけず、2つのシナリオを数字で比べることです。
空室を待つ場合、普通借家契約では満了後に更新されることもあるため、契約満了日だけで退去時期を判断できません。契約の種類と、入居者から具体的な退去予定の連絡があるかによって、売却時期の見通しも変わります。
比較するときは、売却価格に加え、保有コスト・売却費用、空室期間の収入減や原状回復費も整理します。退去を待つ間も、契約と家賃の支払いが続いていれば収入はあるため、待っている期間と空室になった後を分けて考えましょう。

次の表は、オーナーが入居者に直接貸している場合の比較です。
| 判断材料 | オーナーチェンジで売る | 空室後に売る |
| 売却開始時期 | 退去を待たず始められる | 退去時期に左右される |
| 売却中の家賃 | 契約継続中は得られる | 空室後は得られない |
| 主な買主 | 投資家 | 実需+投資家 |
| 室内内見 | 難しいことが多い | 可能 |
| 価格評価 | 収益性の影響が大きい | 居住価値・周辺相場の影響も大きい |
| 不確実性 | 契約・入居者情報が重要 | 空室期間・原状回復費が重要 |
HowMaの売却事例では、退去後に家賃を月3,000円上げて再募集し、利回り4%から逆算した価格が購入価格を上回ると確認。新たな入居者が決まってから、オーナーチェンジで売却しました。空室になってもすぐに売るとは限らず、賃料と売却価格を比べて判断できます。
また、賃貸に出していた戸建てを退去後に売却した事例では、入居者から退去予定の連絡を受けて売却活動を進め、退去後に室内内見を実施しています。
売却方法を選ぶ際は、収支だけでなく、いつまでに現金化したいかも判断材料になります。次の物件の購入資金などが必要なら、入居中に売る場合と退去後に売る場合の価格や時期を不動産会社と相談し、資金計画に合う売り方を検討しましょう。
出典:国土交通省「定期借家権に関するQ&A」(従来の借家契約と更新の説明)
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オーナーチェンジ物件を売るなら、まず現在の価格を確認
売却するか、持ち続けるか、空室を待つか。この判断をする前に必要なのは、「今ならいくらくらいなのか」という基準です。購入時の価格やローン残高だけでは、現在いくらで売れそうかは分かりません。
HowMaのAI査定なら、売却をまだ決めていない段階でも、物件自体の相場価格の目安を調べられます。
AI査定額は、実際の成約価格を保証するものではありません。入居中の賃料や契約条件を踏まえた売出価格は、不動産会社と相談して決めます。今の価格の目安と賃貸を続けた場合の収支を並べることから、売却の判断を始めましょう。
AIが60秒で現在の相場価格を無料査定。
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オーナーチェンジ物件の売却でよくある質問
賃貸中の物件を売ろうとすると、「入居者には退去してもらうべきか」「室内を見せられなくても査定を受けられるか」など、手続きに関する疑問も出てきます。売却方法を決める前に、入居中ならではの条件と、価格や税金の考え方を押さえておきましょう。
ここでは、オーナーチェンジ売却を検討する際に知っておきたい5つの疑問に答えます。
Q. 入居者に退去してもらわないと売れませんか?
いいえ。賃貸中のままオーナーチェンジ物件として売却する方法があります。退去を待つ場合と比べ、買主層や価格評価の考え方が変わるため、両方のシナリオで査定を受け、入居中に売るか退去を待つかを検討しましょう。
Q. 同じマンションの空室住戸より安くなりますか?
必ず安くなるとは限りません。入居中の物件を買うのは主に投資家で、売却価格は賃料・利回り・契約条件の影響を受けます。同じマンションでも、空室住戸の売出価格だけを基準にしないことが重要です。
Q. 家賃が高ければ高く売れますか?
必ずしもそうではありません。想定する利回りが同じなら、年間賃料が高いほど価格の目安も高くなります。ただし、現在の家賃が周辺相場を大きく上回る場合、退去後もその家賃を維持できるかを買主が確認します。現在の家賃と周辺の賃料相場を比べておきましょう。
Q. 査定時に室内を見せられなくても大丈夫ですか?
はい。入居中のオーナーチェンジでは、室内を確認できなくても査定は相談できます。その場合、書面で確認できる情報が重要になるため、賃貸借契約書や修繕履歴、設備情報、管理状況などの資料をできるだけ揃えましょう。
Q. 売却益には税金がかかりますか?
はい。土地・建物の売却で課税対象となる譲渡所得が生じた場合は、原則として税金がかかります。譲渡所得は収入金額から取得費・譲渡費用等を差し引き、適用できる特別控除があれば、その額も差し引いて計算します。賃貸物件では、建物の取得費から所有期間中の減価償却費相当額を差し引きます。所有期間によって長期・短期の区分と税率も異なるため、具体的な税額は税理士等へ確認してください。
まとめ|オーナーチェンジは「物件価格+収益性」で考える
ここまで見てきたように、オーナーチェンジ物件は入居者がいるまま売却できます。ただし、売却価格を考えるときは周辺相場だけでなく、賃料・費用・契約条件から見た収益性も重要です。
売却を検討する際は、次の6点を押さえておきましょう。
- 周辺の空室物件の価格だけで判断しない
- 現在の賃料をもとに、複数の利回りで価格を逆算する
- 管理費・修繕積立金などを差し引いた収支を見る
- サブリースや賃貸借契約の条件を整理する
- AI査定や周辺事例、賃料・利回りの逆算、不動産会社の査定を照合する
- ローン残債・費用・税金を差し引いた売却後の手残りまで確認する
売るかどうかを先に決める必要はありません。現在の価格の目安と、賃貸を続けた場合の収支、売却後の手残りを並べて確認することで、資金計画に合う選択肢を検討できます。
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