不動産業界の悪しき慣習「囲い込み」とは何か?【2024年最新版】

不動産業界には、「囲い込み」という悪しき慣習が存在します。

囲い込みは、不動産の売買や賃貸を仲介する不動産会社のみが得する行為であり、売主や貸主にとっては、デメリットでしかありません。

不動産会社から見てお客様の立場である売主や貸主の利益に背く裏切り行為ではありますが、実態として、この囲い込みが行われることは決して珍しいことではありません。
そこで今回は、「一体、この囲い込みとは何なのか」、「囲い込みはなぜ起きるのか」、「囲い込みを防ぐにはどのような対策があるのか」など、様々な視点から囲い込みの真実に迫り、実態や対策について詳しく解説していきます。

不動産業界の悪しき慣習によって、あなたの売却活動が妨げられないよう、ここでの内容をしっかりと理解して、売却活動に臨みましょう。

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不動産売買における「囲い込み」とは?

不動産売買における囲い込みとは、「売却の依頼を受けた不動産仲介会社が、物件の販売活動を故意に制限して、自社のみで売買取引(=両手取引)を完結させようとする行為」のことです。

通常、売主から物件の売却依頼を受けた不動産会社は、指定流通機構(通称レインズ)に売却物件の情報を登録し、他社の不動産会社に買主探しを協力してもらいます。

なぜなら、売却依頼を受けた不動産会社1社の情報力には限界があり、売却物件とマッチする買主の情報を持っているケースは稀だからです。
その為、このレインズを経由して全国から幅広く買主を探すことにより、より早く買主を見つけることができ、依頼者である売主の利益に貢献することができます。

しかし、これはあくまで理想論であって、実態は違います。

売却依頼を受けた不動産仲介会社は、レインズに登録(専任媒介契約ではレインズ登録は義務)するまでは、問題なく動いてくれるのですが、その後の販売活動を故意に制限することがあるのです。
ここで言う「売却物件の販売活動を故意に制限する」とは、「市場に売却物件の情報をあえて公開しない」、「他社の不動産会社による売却物件の買主への紹介を妨害する」などの行為を指します。

具体的なやり口としては、他社の不動産会社からの売却物件への問い合わせに対して、「現在、購入検討者がいて売り止めをしている為、物件紹介は不可」、や「既に契約予定になっている為、物件紹介は不可」などの事実とは異なる理由を伝えて、自社のみで売買取引を成立させようとします
これは、不動産会社の都合だけを考慮した依頼者である売主の利益に背く行為であり、決して許されるべきものではありません。

もちろん全ての不動産仲介会社が、この囲い込みを行っているわけではありませんが、程度の違いはありますが、囲い込みを行っている不動産会社は常に一定数存在します。

ワンポイント解説<両手取引と片手取引、何が違うの?>

不動産業界でよく使われる専門用語に「両手取引」、「片手取引」というものがあります。
それぞれどのような意味なのでしょうか?

【両手取引】

1社の不動産会社が売主と買主の両方(=両手)から仲介を受託し、売買取引を成立させること。
不動産会社は、両手取引が成立すると、売主と買主の両方から仲介手数料を得ることができる。

【片手取引】

1社の不動産会社が売主又は買主のどちらか片方(=片手)から仲介を受託し、売買取引を成立させること。
この場合、売買取引成立の過程において、上記不動産会社とは別の不動産会社が介在することになる。

不動産会社は、片手取引が成立すると、仲介を受託した売主又は買主のどちらか片方からしか仲介手数料を得ることができない。

ワンポイント解説<指定流通機構(レインズ)とは?>

指定流通機構(レインズ)とは、売主と媒介契約(=売却活動の内容を記した契約)を締結した不動産会社が物件情報を登録するオンラインシステムのことです。


レインズは、国土交通省が管轄している国家お墨付きのシステムであり、不動産会社のみが閲覧できるプロ向けの不動産ポータルサイトのようなものです。

1990年から運用がスタートしており、不動産取引を円滑に進める上で無くてはならない存在です。
実際に不動産仲介会社の従業員は、1日最低1回以上はレインズにアクセスして物件情報をチェックしています。

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不動産賃貸における囲い込みとは?

囲い込みは、不動産売買に限らず、賃貸取引にも存在します。
囲い込みの原理は売買と変わりません。

不動産賃貸における囲い込みとは、「アパートやマンションなどの貸主から入居者の客付け(紹介)の依頼を受けた不動産仲介会社が、他社の不動産仲介会社の物件への客付け活動を故意に制限して、自社のみで賃貸取引(両手取引)を完結させようとする行為」のことです。

賃貸も売買と同様に貸主から入居者の客付けの依頼を受けると、指定流通機構(通称レインズ)に登録して、他社の不動産仲介会社に借主探しを協力してもらいます。

本来、依頼者である貸主の利益を優先するのであれば、他社の不動産仲介会社から借主の客付けをしてもらうことは、歓迎されるべきことです。

しかし、囲い込みをしている不動産仲介会社は、故意に他社の不動産仲介会社からの借主の客付けを拒否して、自社のみで借主を見つけようとします。
賃貸の囲い込みは、売買ほど頻繁に行われませんが、やはり一定数の不動産仲介会社は賃貸物件を囲い込んでいるのが実態です。

なぜ囲い込みが起きるのか?:2つの要因

ここまで不動産仲介会社による囲い込みの実態を解説してきました。囲い込みは、依頼者である売主、貸主の利益に背く悪しき慣習で、決して許されるべき行為ではありません。

しかし、どうして不動産会社は囲い込みを行うのでしょうか?
それには、大きく2つの要因が考えられます。

<不動産会社が囲い込みをする2大要因>

①    不動産仲介取引における報酬制度による要因
②    不動産仲介会社の従業員の給与体系による要因

① 不動産仲介取引における報酬制度による要因

不動産仲介会社の収入源は、売主(貸主)や買主(借主)から受け取る「仲介手数料」です。

同業他社との競争が激しい中、不動産仲介会社の発展は、いかにして多くの仲介手数料を取ることができるかが、カギとなります。
仲介手数料を多く得るには、売買、賃貸ともに両手取引を行うのが、一番効率が良いのです。

実は不動産仲介会社にとって、仲介する時間や労力は、両手取引でも片手取引でも大した変りはありません
ですので、同じ労力を掛けるのであれば、仲介手数料を売主(貸主)、買主(借主)双方から受け取れる両手取引を最優先にして狙うのが、不動産仲介会社の常識となっています。

ここで1点疑問に思うことは、「なぜ両手取引が認められているのか?」ということです。

不動産売買取引において、売主と買主の利益はトレードオフの関係にあります。
例えば、売買条件の交渉の過程で買主が値引きを要望し、実際に値引きできたとしたら、買主にとっては利益、売主にとっては、値引きして売却することになるので不利益となります。

片手取引のように買主には買主の仲介を行う不動産仲介会社、それとは別に売主には売主の仲介を行う不動産仲介会社が介在すれば、それぞれの不動産仲介会社は仲介の依頼者の利益を最優先し、条件交渉を行ってくれます。

しかし、両手取引は売主、買主双方の仲介を1社の不動産仲介会社が行うため、どうしても利益相反のような状態になってしまうのです。
つまり、両手取引を認めてしまっていること自体が歪なのです。

残念ながら、宅地建物取引業法では、両手取引は禁止されていません
昔ながらの不動産取引の慣習が現在にまで残ってしまっています。

禁止されていない以上、ある意味、不動産仲介会社が効率の良い両手取引を狙うのは当然と言えば当然です。
このように囲い込みが起こる1つの要因は、不動産仲介取引において、宅地建物取引業法で両手取引を認めてしまっているということが挙げられるのです。

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ワンポイント解説<仲介手数料の特長>

不動産会社が受け取ることができる仲介手数料の金額は、自由に決められるわけではなく、宅地建物取引業法により上限が定められています。

<仲介手数料の上限額~売買取引~>

売却価格における200万円以下の部分 → 売却価格の5% + 消費税
売却価格における200万円超400万円以下の部分 → 売却価格の4% + 2万円 + 消費税
売却価格における400万円超の部分 → 売却価格の3% + 6万円 + 消費税
 ※片手取引の場合は、上記の仲介手数料を売主、買主のどちらか片方から受け取ることができます。
 ※両手取引の場合は、上記の仲介手数料を売主、買主のそれぞれから受け取ることができます。

<仲介手数料の上限額~賃貸取引~>

家賃の高い安いに関わらず、貸主と借主双方から受け取れる仲介手数料の合計額は家賃の1ヶ月分が上限となっています。
ただし、実態は、借主は家賃1ヶ月分の「仲介手数料」を、貸主は宅地建物取引業法で規制されていない「広告料」という名目で家賃1~2か月分を不動産仲介会社へ支払っています。
 ※片手取引の場合は、仲介手数料か広告料のどちらか片方を受け取ることができます。
 ※両手取引の場合は、仲介手数料と広告料の両方を受け取ることができます。

仲介手数料は、売買、賃貸ともに契約が成立した時に限り、依頼者が不動産仲介会社へ支払う成果報酬となります。
特別な取り決めがない限り、売却活動や入居者の客付け活動という名目で不動産会社へ支払う費用は発生しません。

② 不動産仲介会社の従業員の給与体系による要因

不動産仲介会社で働いている営業社員の給与体系も囲い込みが起きる要因の1つと考えられます。

よく言われることですが、不動産の営業社員は営業成績を最重視されており、給与に占める歩合の割合が高くなっています。
財閥系や電鉄系などの大手不動産仲介会社であれば、歩合の割合は給与全体の30%~40%程度ですが、中小規模の不動産仲介会社は、給与のほとんどが歩合給で占めており、会社によっては、歩合100%のフルコミッションを採用しているケースもあります。

不動産仲介会社で働く営業社員にとって、歩合給の多さは不動産営業の1つの醍醐味であることは間違いありません。

しかし、この歩合を追及するあまり、顧客の利益貢献からかけ離れた「仲介手数料至上主義」的な行動を起こしてしまうのです。
先ほど、説明したように仲介手数料を多く得るには、両手取引の件数を増やすことが一番効率的です。
少しでも多く両手取引を成立させようと、囲い込みを行うのです。

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売主ができる囲い込み対策

ここでは、不動産仲介会社による囲い込みを少しでも減らすために、売主ができる対策を紹介したいと思います。
先ずは、不動産仲介会社による物件の囲い込みが起こる条件を確認してみましょう。

<不動産仲介会社による囲い込みが起こる条件>

①    売主が専任媒介契約で不動産仲介会社へ売却依頼した場合
②    売主が専属専任媒介契約で不動産仲介会社へ売却依頼した場合
③    売主が一般媒介契約で不動産仲介会社1社のみへ売却依頼した場合

条件を見てみると1つの共通点があることがわかります。
気づきましたでしょうか?その共通点とは、売主が売却依頼した不動産仲介会社は
1社のみだということです。

つまり、物件の囲い込みは、売却物件の情報を知っている売却依頼を受けた不動産仲介会社1社のみが行える特別な行為なのです。

逆に言えば、売主が複数の不動産仲介会社へ売却の依頼をすれば、物理的に囲い込みが起こることはありません
これが、囲い込みを防ぐ最善の対策なのです。

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<不動産仲介会社による囲い込みを防ぐ対策>

①    一般媒介契約で複数の不動産仲介会社へ売却依頼をする → 効果絶大
②    専任媒介契約・専属専任媒介契約で依頼している場合は、頻繁に営業社員と連絡をとり、
売却活動の状況をヒアリングする → 一定の効果あり

囲い込みを防ぐ一番効果的な方法は、不動産仲介会社との媒介契約を「一般媒介契約」にすることです。

一般媒介契約は、専任媒介契約、専属専任媒介とは違い、売主は複数の不動産仲介会社へ売却活動の依頼をすることができます。
一般媒介契約で複数の不動産仲介会社に売却を依頼することで、売却物件の情報が特定の
1社に集中することなく、拡散することができますので、「囲い込み」を防ぐことができるのです。

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この方法は、囲い込みを防ぐ上で効果絶大です。
ただし、一般媒介契約であっても、不動産仲介会社1社にしか売却依頼をしていない場合は、囲い込みを防ぐ効果はありませんので注意が必要です。
一般媒介契約を締結したのであれば、必ず複数の不動産仲介会社へ依頼するようにしましょう。

一方で、専任媒介契約、専属専任媒介契約を締結し、不動産仲介会社1社のみに売却依頼をする場合もあるかと思います。

残念ながら、このような場合、完全に囲い込みを防ぐ方法はありません。
しかし、売主から積極的に依頼した不動産仲介会社とコミュニケーションを取ったり、物件への問い合わせ件数や内容を頻繁にヒアリングすることで、囲い込みを防ぐ一定の効果はあります。

ある意味、売主が不動産仲介会社の売却活動を監視することになりますが、専任媒介契約、専属専任媒介契約で依頼する際は、ぜひ実行してみてください。

ワンポイント解説<専任媒介契約、専属専任媒介契約、一般媒介契約とは?>

不動産仲介会社に売却活動の依頼をする際、売主は不動産仲介会社と媒介契約を締結することになります。
媒介契約には3つのタイプがあり、売主自身が選択することができます。

①    専任媒介契約

売主は、特定の不動産仲介会社1社のみに売却活動の依頼ができる。
売主自身で買主を見つけることも可能。

②    専任専属媒介契約

売主は、特定の不動産仲介会社1社のみに売却活動の依頼ができる。
売主自身で買主を見つけることは禁止。

③    一般媒介契約

売主は、複数の不動産仲介会社へ売却活動の依頼ができる
売主自身で買主を見つけることも可能。

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まとめ

今回は、不動産業界の悪しき慣習である「囲い込み」の真実に迫り、囲い込みの実態や起こる理由、そして、囲い込みを防ぐ為の対策などについて解説してきました。

囲い込みとは

①    売主と「専任媒介契約」または「専属専任媒介契約」を締結して、売却活動を行っている不動産
       仲介会社が、
②    仲介手数料を多く得ることができる「両手取引」を狙う為に、
③    売却活動を故意に制限する、依頼者である売主の利益に背く行為のことである。

囲い込みが起きてしまう2大要因

①   不動産仲介取引における報酬制度による要因

不動産仲介会社にとって、仲介手数料を多く得るには「両手取引」を増やすことが、一番効率が良い。
不動産仲介会社は両手取引を成立させる為に物件の「囲い込み」を行うことがある。
現在の宅地建物取引業法では、囲い込みを誘発する原因の
1つである「両手取引」を規制していない。

②   不動産仲介会社の従業員の給与体系による要因

不動産仲介会社の営業社員の給与体系は、得た仲介手数料の金額に比例する歩合給の比率が高い。
営業社員は、より多くの仲介手数料を得ることだけに集中しており、意識的に両手取引を狙っている。
営業社員の全てではないが、両手取引に固執するあまり、売却物件の囲い込みを行う場合がある。

囲い込みを防ぐ対策

①   一般媒介契約で複数の不動産仲介会社へ売却依頼をする
囲い込みを防ぐ対策として効果絶大。複数の不動産仲介会社へ売却活動を依頼することにより、物件情報が市場に拡散され、物理的に囲い込みができなくなる。

②  不動産仲介会社と密にコミュニケーションを取り、売却活動の進捗をこまめにチェックする
囲い込みを防ぐ対策として一定の効果がある。
専任媒介契約・専属専任媒介契約で売却活動を依頼している場合は、不動産仲介会社を監視するつもりで、こまめに進捗状況を確認し、囲い込みを起こす隙を与えないようにする。

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