老朽化した空き家を所有していると、「解体して更地にすれば売りやすいのでは」と考えるかもしれません。
しかし、解体には費用がかかり、建物を取り壊すことで土地の固定資産税の扱いが変わる場合があります。とはいえ、古い建物を無理に残すことにも安全上の問題があります。
解体して売ることが、いつも最善とは限りません。結論を急がず、「古家付きで売る」「更地にして売る」「改修して貸す」「更地を活用する」という4つの案を比較しましょう。
本記事では、解体を決める前に確かめたいことと、4つの案を同じ条件で比べるための見積もりの取り方、すぐに売らない場合の管理の注意点を解説します。
売る前にチェック
解体して売る前に、更地の活かし方も調べませんか?
解体費をかける前に、古家付き売却・更地売却・改修賃貸・解体後の土地活用の4案を比べると判断しやすくなります。実現可能な選択肢から整理してみましょう。
(新しいタブで開きます)活用可能性・費用・収益は土地条件と事業者の調査により異なります。
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解体を決める前に知っておくべきこと
古い建物が残っていると、買い手に敬遠されることがあります。そのため、まず解体を考える方も多いでしょう。
しかし、解体費は現地の条件で大きく変わります。
また、解体前に売却や活用の条件を調べておかないと、費用をかけた後に希望する利用ができないと判明することもあります。
建替えも選択肢にあるなら、敷地が接する道路の扱いと建築の可否を自治体の建築担当窓口で確かめます。調べた条件は、売却査定と活用相談の両方で伝えます。
境界や面積がはっきりしない場合、売却にあたって測量が必要かどうかも確認します。要否を見極めるポイントは土地売却前の測量ガイドで詳しく解説しています。
さらに、建物を取り壊すと、住宅用地に関する固定資産税の特例が適用されなくなる可能性があります。税負担がどう変わるかは、後半の「更地にした後の税負担に注意」で解説します。
建物の安全と、解体後にその土地でできることを先に確かめると、見積もりの対象を絞れます。解体を決める前に、次の3つの条件を確認してください。
費用をかける前に、3つの条件をそろえる
1建物の安全
- 外壁・屋根材の落下
- 倒壊のおそれ
- 危険があれば先に対策
確認先:管理・修繕の事業者、自治体
2解体の範囲
- 残置物の処分
- アスベストの事前調査と対策
- 整地・基礎・外構
確認先:解体業者
3更地後の条件
- 翌年の固定資産税
- 接道と再建築の可否
- 売却・活用の見込み
確認先:自治体、不動産・建築の専門家
解体を先に決めない建物の状態と土地の条件が分かると、必要な工事と比べるべき案が見えてきます。
出典:国土交通省|接道規制のあり方について、国土交通省|空き家対策 特設サイト
解体費は条件で変わる
建物構造、延床面積、道路幅や重機の搬入可否、残置物の量、アスベスト(石綿)の事前調査と、その結果に応じた対策、隣地との距離などで解体費は変わります。概算相場だけでは収支を判断できないため、現地条件に基づく見積もりが必要です。
見積もりを受け取ったら、アスベストの事前調査と必要な対策、整地、基礎・外構の撤去まで、どこまでが含まれているかを確認します。地中から埋設物が見つかった場合の追加費用の扱いも、契約前に解体業者へ確かめておくと安心です。
なお、家財などの残置物は、解体で出る廃材とはごみとしての扱いが異なり、処分費も別に見込む必要があります。市区町村に処分方法を確かめ、解体業者にも処分を依頼できるか聞いておくと安心です。
出典:環境省|石綿事前調査結果の報告について、環境省|建築物の解体時等における残置物の取扱いについて
更地にした後の税負担に注意
住宅用地特例は住宅の敷地に対する制度です。解体によって要件を満たさなくなると課税標準の軽減が使えなくなる場合があります。他方、建物を残しても、管理不全空家等として自治体から勧告を受けると、住宅用地特例の対象外になり得ます。固定資産税は自治体への確認が必要です。
その際は、解体予定の時期と解体後の土地の使い方を伝え、翌年の課税見込みを自治体に尋ねます。
解体すると、固定資産税の軽減が外れる場合がある
住宅用地特例の対象
住宅の敷地は、固定資産税の課税標準が軽くなる(小規模住宅用地は6分の1)
特例が外れる場合がある
住宅の敷地の要件を満たさなくなると、軽減が使えなくなる
課税標準が6分の1軽減の仕組み
≠
税額が6倍になるとは限らない
負担調整措置や評価額などで、実際の税額は変わります。
- 解体した日と、1月1日時点の土地の状況を確かめる
- 建物を残しても、管理不全空家等として勧告を受けると対象外になり得る
- 翌年の課税見込みは、所在地の自治体に確認する
選べる4つの出口戦略
古い空き家の今後を考えるときは、売って手放すか、保有して使うかに加え、建物を残すか解体するかが分かれ道になります。ここでは、この二つの視点から4つの案を比べます。
売却する2案では、解体費の負担を含めた手取りと売却までの期間を比べます。保有して使う2案では、初期費用とその後の収支を見込み、将来使う予定があるなら契約期間も確認します。まずは売却の2案から見ていきましょう。
売る2案と、保有して使う2案を比べる
売却する
古家付きのまま売却
かかるお金解体費の先払いはなし(値引きで負担することも)
確認買主の価格調整の幅、販売期間・手取り
解体して更地売却
かかるお金解体費と、売れるまでの税・管理費
確認古家付きとの差額、販売期間・手取り
保有して使う
建物を改修して賃貸
かかるお金改修・修繕費と管理費
確認建物の安全・設備水準、借り手の需要
解体後に土地を活用
かかるお金解体・舗装・設備費、終了時の撤去費
確認用途規制と稼働見込み、土地を返してもらう条件
売値や年間収入だけで決めない今必要な資金、毎年の支出、将来の利用時期を同じ条件で比べます。
① 古家付きのまま売却
解体費を先に用意しにくい場合や、相続した空き家の売却特例を検討している場合に、まず比べたい案です。
買主が建物をどう扱うかによって価格の見方が変わります。売主が解体費を先に負担する案と、買主が見込む費用を価格に織り込む案を比べると、手取りの違いが見えてきます。
売却前に使える資金と希望時期を不動産会社に伝え、古家付きで売れる条件を確認します。
解体費と測量費を誰が負担するかが売却条件になった古家付き売却の実例も、提示価格以外を比べる参考になります。
相続した一定の空き家で売却の特例を検討する場合、売主が先に解体しなくても、譲渡後の期限内に家屋が取り壊されるなどの条件を満たせば対象となる場合があります。適用要件と必要書類は売却前に確認してください。
出典:国税庁|被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
② 解体して更地売却
建物の状態を懸念する買い手には検討しやすい形です。ただし解体費・税負担・売却までの保有期間を織り込んでください。
接道の条件を満たさない土地では、解体後に新しく建物を建てられず、かえって売りにくくなることがあります。解体前に再建築の可否を確かめてください。
見積もりでは、解体費を支払う時期と、古家付き売却との差額も確かめます。
販売期間の見込みも、同じ土地条件で不動産会社に比較してもらう必要があります。
③ 建物を改修して賃貸
建物の安全性と収益性が確保できるなら候補です。耐震・雨漏り・配管などの不具合が大きい場合、収支が成立しないこともあります。
改修に必要な工事範囲と費用を見積もり、貸し出した後の修繕・管理費や空室期間も含めて収支を算出します。
想定家賃だけで判断せず、近隣の募集事例と建物の状態・設備を比べ、修繕後に借り手が見込めるか見極めます。
家族が将来使う予定があるなら、賃貸期間、途中解約、原状回復、修繕と保険の負担も確認します。所有を続けても、貸している間は自由に使えるとは限りません。
使いたい時期が決まっている場合は、普通借家と、期間満了で更新なく終了する定期借家のどちらが合うか、不動産会社に相談したうえで判断します。定期借家には、契約書とは別の事前説明など所定の手続きが必要です。
④ 解体後に土地を活用
駐車場・貸地・資材置場等は候補ですが、用途地域、周辺需要、舗装や設備、事業用途の規制を確認する必要があります。
駐車場や貸地の提案では、想定利用者と稼働率の根拠を聞き、舗装・設備費と管理費を含む見積書を受け取ります。
家族が使いたい時期に土地を返してもらえるか、契約期間、途中解約、設備の撤去と原状回復の条件も確かめます。
実現できる活用方法の全体像は、土地活用ガイドの駐車場・貸地の説明も参考になります。
売る前にチェック
解体して売る前に、更地の活かし方も調べませんか?
解体費をかける前に、古家付き売却・更地売却・改修賃貸・解体後の土地活用の4案を比べると判断しやすくなります。実現可能な選択肢から整理してみましょう。
(新しいタブで開きます)活用可能性・費用・収益は土地条件と事業者の調査により異なります。
HOME4U土地活用運営:株式会社NTTデータ・ウィズ
売却・解体の判断を分ける「3つの見積もり」
判断材料は、売却の査定額だけでは足りません。古家付きで売る場合と解体後に売る場合の想定価格、解体・改修に要する金額、活用した場合の収入・支出予測をそろえます。
同じ土地でも提案者によって前提が違うため、駐車台数、稼働率、工事範囲、管理委託費などの条件を横並びにすることが欠かせません。
見積もりを比較するときは、初期費用だけでなく撤退時の費用も確認してください。駐車場設備の撤去、建物の原状回復、長期契約の解約条件などが後になって重荷になることがあります。
比較する期間をそろえ、売却で今受け取る手取りと、活用開始時の支出・毎年の手残り・終了時の費用を分けて並べます。
「何のために解体するのか」を先に定め、売却・活用双方の計画から解体の必要性を判断します。
同じ土地・同じ期間で、数字を並べる
1売却見積もり
古家付きと更地の想定価格・販売期間・費用
比べる数字概算手取り
2解体・修繕見積もり
残置物、アスベスト調査、解体、整地、改修の範囲
比べる数字先に必要な資金
3活用収支見積もり
初期費用、毎年の手残り、終了時の撤去・原状回復費
比べる数字期間全体の収支
比較の前提も確認工事範囲、稼働率、管理費、契約期間と、家族が使いたい時期をそろえます。
① 売却見積もり
売却見積もりでは、古家付きと更地のそれぞれについて、想定売却価格・販売期間・手取りを見通します。
不動産会社には古家付きと更地の両条件で査定を依頼し、建物をどう扱う前提か、売主負担に含める費用は何かを確かめます。
近隣の成約事例を参考にする場合も、立地・敷地面積・建物の状態の違いを踏まえ、古家付きと更地それぞれに買い手が見込める根拠を尋ねます。
複数社の査定額が違うときは、金額の根拠や販売方針も比べます。比較の進め方は不動産売却の見積もりガイドで確認できます。
査定額だけでなく費用と税金を差し引いた手取りを確かめます。詳しくは『土地売却の税金・諸費用と手取り』も確認してください。
② 解体・修繕見積もり
解体・修繕見積もりでは、更地にする案と建物を改修して貸す案について、必要な工事費をそれぞれ確認します。
残置物処分、解体、整地、設備撤去、再利用のための修繕を分けて把握します。
同じ工事範囲で複数の見積もりを比較し、アスベスト調査後に追加費用が生じる条件も把握します。
総額だけで選ばず、費目ごとの内訳、工期、支払い時期を見比べ、金額差の理由を業者に説明してもらいます。
③ 活用収支見積もり
活用収支見積もりでは、建物を貸す案と解体後の土地を活用する案について、初期費用・毎年の手残り・終了時の費用を見通します。
想定賃料は近隣事例だけで決めず、立地・面積・設備・契約条件の違いと実際の需要を確かめます。
収支表は満室・満車の想定だけでなく、稼働率が下がった場合の手残りも比較します。修繕・管理委託費と、利用終了時の設備撤去や原状回復の費用を誰が負担するかも確認します。
希望する期間で収支が合わなければ、活用を見送り、売却や管理を続ける案も残します。
「今すぐ売らない」を選ぶ場合の管理責任
売却や活用の方針を決めるまでの間も、空き家の所有者には管理が求められます。屋根材の飛散、外壁の剥落、庭木の越境、不法投棄など、周辺に影響する問題は放置できません。
遠方に住んでいる場合は、定期巡回や草木の管理を委託する方法もあります。売却と活用の比較は重要ですが、安全対策が必要な場合には先に対応することが大切です。
家族の誰が点検・管理を担うかを決め、委託する場合は費用と連絡先も共有しておきます。
それでは、「今すぐ売らない」場合に安全に管理を続ける方法と、今後の売却・活用の判断にかかわる自治体制度や地域条件を見ていきましょう。
安全対策を後回しにしない
売却や活用の方針が決まるまでは、屋根・外壁・窓の破損、敷地の草木やごみ、戸締まりの定期点検が必要です。安全に立ち入れる場合は、室内の雨漏りや換気・通水の状態も確認します。
点検で見つけた危険箇所と対応時期を記録します。自分で対応しきれない場合は、自治体の相談窓口や管理・修繕の事業者に対応方法を尋ねます。
屋根材の落下や倒壊のおそれがあれば、売却・活用の結論を待たずに修繕や除却の要否を専門家に相談します。管理を委託する場合は、巡回で確認する範囲と、異常が見つかったときの連絡・対応方法をあらかじめ取り決めます。
自治体制度や地域条件を確認
自治体によっては空き家の相談窓口や除却・改修に関する制度があります。ただし利用できる支援は所在地や年度、要件で異なります。
自治体の空き家相談窓口では、建物の現状と当面の管理方針を伝え、点検・修繕の相談先や補助制度の対象条件、受付時期、申請書類を聞きます。
補助金を前提に事業収支を確定させず、採択や交付決定の条件を確認してください。
除却の補助制度には、工事の契約・着工前に申請し、助成の決定を受ける必要があるものもあります。利用を見込む場合は、見積もりを取る段階で所在地の自治体に申請手順を確認してください。
再建築の可否、接道、災害リスクなどは、自治体や専門家への確認が欠かせません。
災害リスクは国土交通省のハザードマップポータルサイトでも確認できます。浸水や土砂災害が想定される場所では、大雨の後に建物や敷地を確認できるようにしておきます。
今すぐ売らない場合も、管理上の問題に対処しながら売却・活用の選択肢を検討します。
よくある質問
古い空き家をどうするか考えるときは、解体後の固定資産税や、建物が残る土地を貸せるかが気になるところです。ここでは、解体と貸地の判断に関わるよくある質問に答えます。
解体すれば必ず固定資産税が6倍になる?
いいえ。住宅用地特例の適用が外れる場合はありますが、実際の税額が一律6倍になるわけではありません。負担調整措置や評価額等によって異なります。
小規模住宅用地の「6分の1」は課税標準に対する軽減です。解体予定日と課税年の1月1日時点の土地の状態を所在地の自治体に伝え、解体後の課税見込みを確認します。建物を残す場合も、管理不全空家等として勧告を受けると特例の対象外となり得ます。
空き家が古くても土地だけ貸せますか?
条件が合えば、解体して土地を貸す方法も選択肢です。建物を残して貸す案とは分けて考え、解体する場合は工事費とその後の税負担を見込む必要があります。用途・接道と周辺需要を確かめ、必要な舗装・設備費、管理費、契約期間と終了時の撤去・原状回復条件を比べてください。
まとめ|解体を急がず、売却と活用を比べる
古い空き家は築年数だけで解体を決めず、建物の安全と土地の条件を見極めます。判断のポイントは次の4点です。
• 解体前の条件:危険箇所、接道と再建築の可否、工事範囲、解体後の税負担を確認する。
• 売る2案:古家付き売却と更地売却の想定価格、販売期間、費用と税金を差し引いた手取りを比べる。
• 保有して使う2案:改修賃貸と解体後の土地活用は、借り手や利用者の需要、初期費用と管理費、契約終了時の負担を確かめる。
• 判断までの管理:売却や活用を決めるまでの安全管理を続け、対応する人と時期を決める。
売却、解体・修繕、活用収支の3つの見積もりをそろえ、同じ期間で手元に残るお金と将来の使いやすさを比べてから選びましょう。
売る前にチェック
解体して売る前に、更地の活かし方も調べませんか?
解体費をかける前に、古家付き売却・更地売却・改修賃貸・解体後の土地活用の4案を比べると判断しやすくなります。実現可能な選択肢から整理してみましょう。
(新しいタブで開きます)活用可能性・費用・収益は土地条件と事業者の調査により異なります。
HOME4U土地活用運営:株式会社NTTデータ・ウィズ