【不動産売却体験談vol.3】不動産営業マンが自分のマンションを購入先行で売却。感じた「不安」の中身とは?

自宅の不動産の売却を検討するとき、

  • どこの不動産会社に依頼するか?
  • 最も高く売れる売却方法

をまず最初に検討しますよね。

次に不動産会社に相談する流れになると思いますが、とはいってもどの会社でも良いわけではありません。

会社選びを間違えると、

  • 不動産会社の都合優先で売られてしまう
  • 適正価格もオープンにされないまま専任で売られてしまう

といったリスクがあるため、その心配をされている方も多いと思います。

そこで本連載では、これから売却する方の立場に立ったインタビューを企画しました。

「お客として不動産会社に相談しても本当のことを教えてくれなそう…」ならば、

「不動産会社の社員自身がどのように家を売却したのかを聞いてみて、その情報を参考にすれば、本当にオススメの売却方法が見えてくれるはず!」という目的のもと、不動産会社で働く(働いていた)方々に自分の不動産をどう売却したのか、実際のところを聞いていきたいと思います。

今回はシリーズ第3弾、お子様誕生のタイミングで自宅マンションを売却した不動産営業マンのSさんにフォーカスします!

第1弾の記事はこちら

第2弾の記事はこちら

第3回:現役不動産営業マンS氏(大手不動産会社仲介営業職

第3回インタビューのS氏のプロフィールは以下です。

  • S氏(男性)
    30
    代既婚
    大手不動産仲介会社にて仲介営業を行なっている。
    3年前に居住用の1LDKの駅近マンションを売却。
  • 聞き手:HowMaマガジン編集部 横井 学

3年前に子供が生まれるのをきっかけにマンションからの住み替えを行なったS氏。購入先行で戸建を購入した後、住んでいるマンションを売却したそうです。不動産会社で日々売却のお客様と接しているS氏はどのように自分の物件を売却したのでしょうか。売却成功体験を伺いました。

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売却の経緯:転職・結婚・子供の授かりというライフステージの変化に伴い、横浜の1LDKから戸建てへの住み替えを検討

横井:今日はよろしくお願いいたします!さっそくですが、売却の経緯は何だったのなんでしょうか。

S氏:簡単に言いますと、「ライフステージの変化」ですね。横浜の1LDKのマンションに7年ほど住んでいましたが、その間に転職、結婚、子供の授かりとライフステージが変化していきました。1LDKは1人で暮らすことを前提にしたスペックだったので、自然に住み替えを考えました。

そのときには不動産会社に勤めており、売却より前に購入を先行しても住み替えはうまく進められる場合が多いことが分かっていたので、

  1. 戸建てを購入して
  2. その戸建てに引越しをし後、
  3. 売却活動

この順番で活動することにしました。

横井:なるほど。ちなみに横浜のマンションにはどのような経緯でお住まいだったのでしょうか?1人暮らしならば賃貸という選択肢を取られる方が多いとは思いますが。

S氏:最初は賃貸で7〜8万円の物件を探したのですがなかなか自分に見合った物件がなかったんですよね。

情報を集めていくうちに毎月7〜8万円くらいのローンを払ってマンションを購入した方が住居のクオリティーも上がって良いのではないかと考えました。都内は予算オーバーで、横浜に落ち着きました。

横井:確かに、賃貸は水回りや内装が最低限の設備になっているところが多くて、購入したほうが良い設備である場合が多いですよね。

売却活動は普段のご経験を活かしてご自分でされたんですか?

S氏:自分の在籍していた不動産会社の店舗での売却も可能でしたが、当該マンション近くの店舗の同僚にまずは依頼しました。仲の良い同僚で、信頼関係もあったので。

マンション売却契約の種類:あえて「一般媒介契約」にした理由は意外にシンプル

横井:マンションの売却活動自体はお勤めの不動産会社のみに依頼したのですか?

S氏:そうですね。数社に依頼するのは面倒なのは仕事柄わかっていたので自社のみへの依頼でやりました。

横井:となると、専任媒介契約ですね?

S氏:いえ、一般媒介契約です。

横井:一社だけなら専任媒介契約の方が良いように感じますが、一般媒介契約にしたのはなぜですか?

S氏:専任媒介契約ですと媒介報告の義務が生じるためです。同僚との信頼関係もあったので報告は必要ないし、同僚の負担を減らすためにも一般媒介契約にするのが良いと思いました。もちろんレインズ(不動産流通機構)には登録してもらいました。

横井:媒介報告の義務とは、簡単にいえばどういうことでしょうか?また、レインズ(不動産流通機構)についても簡単に教えてください。

S氏:媒介報告の義務は、宅地建物取引業法に基づいています。宅地建物取引業者が不動産取引の媒介を依頼されたときに、依頼者に対してその業務の状況を報告する義務です。

また、レインズ(不動産流通機構)とは、不動産物件情報交換のためのコンピューターのネットワークシステムを運営する機構です。登録された情報を他のすべての不動産会社に提供し、不動産流通の円滑化を促進しています。

横井:報告義務は元同僚との信頼関係で省きつつ、レインズにはしっかり登録して受け皿は整えておく、ということですね。普通の方の売却と比べると変則的にも感じますが、プロならではの省力化、という感じもします。

一般媒介契約の落とし穴かつグレーゾーンの「抜き」とは?

S氏:そうですね。一般媒介契約にしたことで面白い現象がありました。自分の家によく「抜き」の手紙が入ってくるようになりました。

横井:面白い言葉が耳に入ってきました。「抜き」とは何でしょうか?不動産業界の専門用語でしょうか?

S氏:レインズ(不動産流通機構)で知り得た情報を元に部屋番号を特定してアプローチをして、その上で媒介契約を交わすところまでこぎつけることを「抜き」と言います。ただし宅建業法で禁止されている行為です。

一般媒介契約だと窓口にする不動産会社を一社のみにする必要はないんです。不動産会社は、あいだに仲介会社がいないほうが利益率が上がるので、一般媒介契約においては自社を窓口にしようとします。

レインズで一般媒介であることを知れば、水面下でこのようなアプローチをしてくる猛者がどうしても出てきますね。

「うちにはお客さんがたくさんいます」とか、「他の不動産会社と比べてこんなとこに強みがあります」という主張をして揺さぶってくるんですよね。

ただ、専任媒介であっても「抜き」行為を行う際どい会社はありますけどね。

横井:手紙を送った相手がまさか不動産会社の社員であるとは思いもよらなかったでしょうね。

S氏:そうですね。コンプライアンスに反した行為なので、タブーですが、売却する側としては物件の人気度・相場価格などもわかったりして情報収集には使える側面はありました。

売却活動において感じたこと:想像以上に不安が大きかった

S氏:それまでは不動産会社の社員としてお客様に向き合ってきましたが、この経験でお客様側の立場に立つことになり「想像以上に購入先行の売却活動って不安が大きい」とわかりました。

売れないと、購入後の資金計画も立てにくいし、ダブルローンのリスクもあるわけですから、売れない期間はかなり不安になりました。

「いつになったら売れるのか、お客さんは自分の物件を見にきてくれているのかな?」って。

自分のケースですと、無理して購入先行は出来たものの、全く貯金がなく、新居と売却中のマンションのローン(ダブルローン)が家計的にキツかったです。それでもいつ売れるかなんてことは誰にもわかりません。

我々営業マンが思っている以上に、先の見えない不安というのはお客様にとっては大きいことなのだと実感しました。この「依頼主の立場になって考える」視点が今の私の営業スタイルにも大きく活きています。

良い営業マンと悪い営業マンを見極めるコツ:売れない時にフォローを怠らないかどうか

横井:不安が大きいからこそ、営業マンのフォローが大切になってきますよね?

S氏:まさにそのとおりです。依頼主の売却中のさまざまな不安を解消するには営業マンのフォローが本当に大事です。

横井:具体的にはどのようなフォローが必要なのでしょうか?

S氏:建前だけの媒介報告ではなくて、毎週の営業報告があるとベストです。たとえそれがネガティブな報告であってもざっくばらんにその話をしてくれる営業マンは本当に貴重だと思います。


良い営業マンと悪い営業マンを見極める一つの指標は、売れない時こそ売主へのフォローを怠らないことです。営業マンも人間なので、なかなか物件の売り先が見つからず売却活動が長期化すると売主に対しての報告もしづらくなります。

それでも売主はその報告を待っています。しなければならないことをしっかりとしてくれる営業マンは信頼できる良い営業マンだと思います。

横井:Sさんの場合はどうでしたでしょうか?同僚の方の報告は多かったでしょうか。

S氏:自分の売却のケースでは同僚からの連絡は少なかったですね。

状況がわかるだけに「良い進捗がないのかな?」と思いながら自分から販売状況を聞くことが多かったです。

横井:かなり不安な状況ですね。自分だったら我慢できずに「抜き」の手紙を読んでしまうかもしれません。

S氏:おっしゃる通り、一般の方はそんな時に「抜き」の手紙がくると傾いてしまいます。「この営業マンはお客さんがいるって言っている。聞いてみたい」って。実際にはいないケースも多く、そこが厄介なのですが。

横井:売却活動が長引いている方が不安に感じてしまうのは良くないですよね。それであれば複数社と一般媒介契約を締結すれば各社から報告が入って良いのではないでしょうか。

売主にとって本当に良い契約形態はシンプルに「売主の利益を最大化するもの」

S氏:横井さんのおっしゃることにも一理あります。地方の人気のない物件だったり、売主様が高齢で複数の不動産会社とのやりとりが煩わしいと感じるケースを除けば、一般媒介が良いですよ。建前上、専任媒介を勧めているのが口惜しいところではあります。

横井:そうですよね。私が売主の立場であれば、選択肢が多いほうがいいし、なるべく高く売れるように業者間で健全な競争をして欲しいかもしれません。

S氏:不動産業界の慣習を一回横に置いといて、普通に考えたら複数の業者がお客様のために販売活動を行い成約になって初めて仲介手数料を頂戴する。それが今の競争社会において当然のことだと思います。

それに反して専任媒介契約で独占的な立場を得るための営業をしている。お客様本位ではないですよね。

横井:貴重なお話ありがとうございます。このような「現場ならではの情報」を不動産を持つすべての人が知っておいて、賢く自分の家が売却できると良いというのがこのマガジンの立場です。

最終的にはSさんは200万プラス80万の指値交渉で1ケ月ほどで売却成立

横井:最終的にSさんの望む売却価格での成約ができたのでしょうか?

S氏:販売開始後、1ヶ月ほどで200万円下げてしばらくして成約しました。正確にはそこから80万円の指値交渉がありましたがすぐにお受けしました。

価格に関しては概ね満足していますが、売却期間に余裕を持っていれば、より良い条件で売れたかもしれません。これから売却される方にお伝えしたいのは「売却期間には余裕を持っていただき、たくさんの候補が出るような状況を作った方が良い」ということですね。

自分の経験を踏まえてお客様にお伝えしていることは、売却期間に余裕を持っていただいた方が良いということですね。

横井:本日は不動産の深いところまでお話いただきありがとうございました。また次の機会に裏話をたくさん聞かせてください。

S氏:こちらこそありがとうございました。私でよければいつでもお話します

まとめ: 不動産会社は売却に一般媒介契約を使う!健全な競争を促すことで良い売却体験になる

変則的ではありますが、他のインタビュー同様、不動産会社の営業マンは一般媒介契約を使うことが多いのですね。

「売却中の不安は想像以上に大きい」という話は、とてもリアルな気づきだなと感じました。

進学や就職や転職活動もそうですが、「何も先の状況が見えない」というときが人間1番不安になるのは共通なのかもしれません。その不安を払拭できる存在としての「良い営業マン、悪い営業マン」を見極めるコツについてもお話を伺えて収穫でした。

一般媒介契約は、

  • たくさんの売却相手にアプローチできる
  • 競争原理がはたらき、適切な価格で売却ができる可能性が高まる

という、究極的ともいえるメリットがあり、このマガジンでもおすすめしたい契約形態であるのですが、

「複数社に会わなければならない面倒さ」というデメリットが唯一、売却する皆様を悩ませるところです。

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