節税の味方!投資不動産の減価償却について

今回は、投資不動産の減価償却による節税効果について取り上げたいと思います。

投資不動産というと、ついつい利回りの方に目が向かいがちですが、節税の視点から考えると減価償却は大いに利用価値があります。

実際にどれくらいの効果があるか事例を交えながら紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

不動産所得を赤字にして給与と損益通算

投資不動産を購入する目的は人それぞれですが、節税を第一に考えた場合、減価償却の活用はとても有効です。

アパートやマンションを賃貸することで得る家賃収入ですが、税法上、所得の区分でいうと「不動産所得」に該当します。

また、この不動産所得は総合課税という種類に分類されることになります。

総合課税のなかには、身近な例だと毎月勤め先の会社から貰う給与所得などがあります。

この総合課税ですが、総合課税の所得同士で損益の通算ができるという特徴があります。

簡単に言うと、不動産所得をあえて赤字にすることで、給与所得と損益通算して、所得税や住民税を節税することができるのです。

そして、不動産所得をあえて赤字にする1つの手法として、減価償却をうまく活用することが挙げられるのです。

減価償却を活用するためにはいくつかの注意点があります。

まず、減価償却の期間についてですが、建物の構造によって耐用年数が決めらているため、木造より、鉄骨、鉄筋コンクリート構造の建物のほうが償却期間を長く取ることができます。

一方で、短期間で一気に減価償却を計上したい場合は、耐用年数超えの築20年以上の木造アパートなどがお勧めです。

また、減価償却が計上できるのは、アパートやマンションの建物部分のみ(土地は減価償却の対象にはなりません)となるので、不動産価格に占める建物の割合が大きければ大きいほど、多く減価償却を計上することが可能となります。

投資不動産はキャッシュフローが大事

では、具体的に減価償却を活用すると、どのような効果が出るのか事例を見ながら説明したいと思います。

下記は表面利回り10%の投資用中古アパートを1億円(内訳は土地5,000万円、建物5,000円)で購入した際の損益計算とキャッシュフローを示しています。

ここでは建物の減価償却期間は4年、ローン返済額は年間500万円と想定します。
注:事例は減価償却の効果を説明することを目的としていますので、各種の数字は概算です。実際はもっと細かい計算が必要になります。

<投資不動産の損益計算例>

家賃収入 1,000万円
管理費 230万円
その他経費 10万円
固定資産税 10万円
減価償却費 1,250万円


損益は500万円の赤字
給与と損益により税金100万円分が還付される
(税金の還付額は高所得者の税率を想定しています)

<投資不動産のキャッシュフロー例>

家賃収入 1,000万円
管理費 230万円
その他経費 10万円
固定資産税 10万円
ローン返済 500万円


キャッシュフローは250万円のプラス
税金還付分が100万円
トータルのキャッシュフローは350万円のプラス

ご覧の通り、損益計算では500万円の赤字となってしまいますが、キャッシュフローを見てみると、350万円が手元に残ることになります。

これが減価償却による節税の効果になります。

これはよく言われることですが、投資用不動産はキャッシュフローが一番大事です。

投資用不動産の広告には、基本的に表面利回りしか記載されていないことが多く、投資初心者の方などは利回りばかりに注意がいってしまい、実際購入してみたら、キャッシュフローは赤字だったというようなことも決して珍しくありません。

利回りだけではなく、キャッシュフローに重点を置きつつ、キャッシュフローを最大化するために減価償却償却の効果がどれくらい出るのか購入する前に調べてみてはいかがでしょうか。