登記簿謄本の読み方は?詳しい内容や発行方法を解説

登記簿謄本(登記事項証明書)とは?何が書いてあるの?

登記簿謄本(登記事項証明書)とは?何が書いてあるの?

登記簿謄本とは不動産がどんなものであるのか、所有者は誰かといったことが書かれた書類です。

かつては登記簿謄本と呼んでいましたが、現在は登記事項証明書といいます。名前が変更になっているだけで、内容は変わっていません。

現在の法務局のホームページには登記簿謄本という記載はありませんので、登記簿謄本の名前が登記事項証明書に変更になっていることは覚えておくようにしましょう。

不動産の売買やそれに伴う調査の際には、法務局より、主に4つの書類を用意します。4つとは、登記簿謄本、公図、地積測量図、建物図面です。

公図は、土地の形状や位置がわかる地図で、地積測量図は地積の測量結果を記載したもの、建物の図面は建物の形状が記載されたものです。これら4つは、すべて法務局の管轄にある書類です。

私たちの家には表札がありますが、この表札は、住んでいる人のことであり、所有者ではありません。

登記事項証明書を見ると、誰が住んでいるかというような実際の状況ではなく、不動産を誰が所有しているのか、法律上の権利者はだれか、法的にはどのような土地や建物なのかという物理的な情報がわかります。

登記簿謄本は、「表題部」と「権利部」の2つに分けられます。次に、この2つに記載されている内容について解説します。

登記簿謄本(登記事項証明書)の表題部の内容

表題部には、不動産の物理的な内容が書かれています。

表退部は、土地の場合と建物の場合で記載内容が異なります。土地よりも建物のほうが、記載内容項目が多くなることが多いです。次に、土地の場合と建物の場合に分けて解説します。

土地の場合の表題部の記載事項

土地の場合は、土地の所在地、地番、地目、地積、原因及びその日付、がわかります。

地番は、住所における番地のことです。その土地につけられた番号が記載されています。地目は、その土地の種類です。

宅地、田んぼ、畑、山林などの種類が書かれています。地積は、その土地の面積です。単位は、㎡(平方メートル)で表記されています。

原因及びその日付は、登記をすることになった理由と、その日付が書かれています。

建物の場合の表題部の記載事項

建物の場合は、土地よりも記載事項が多いです。

家屋番号、家屋の種類、家屋の構造、床面積、原因および日付、法も局で登記の処理をした日付、所有者が書かれています。

家屋番号は番地のようなもので、番地と同じ内容が記載されていますが、1つの番地に2つの建物がある場合は「〇番の1」「〇番の2」というような書き方をします。

家屋の種類は、居宅、事務所、工場、店舗など、その家屋が何に使用されているかを書きます。次に、家屋の構造は、材質や階数など建物の情報を書きます。

床面積は、建物の面積を㎡(平方メートル)で示したものです。原因及びその日付は、登記事項証明書を記入した理由や更新日を書きます。

建物を新築した、増築したなど、内容が変わった歴史がわかります。所有者は、この表題部分を申請した人の名前が記載されます。

登記簿謄本(登記事項証明書)の権利部の内容

登記事項証明書の権利部は、甲区と乙区に分けられます。

権利部は、不動産についての権利関係を証明しています。甲区には、住所・氏名・登記の目的が書かれており、乙区には、登記の目的や原因、管理者についてが記録されています。

所有権に関する内容が書かれた権利部甲区

登記事項証明書の権利部の甲区には、権利の中でも「所有権」についての内容が記載されています。

権利部の甲区を見ると、その不動産の現在から過去までの所有者がわかります。甲区には、登録された順位番号、登記の目的、受付の年月日と受付番号、権利者その他の事項が書かれています。

登記では、最初に所有権の保存が行われ、その後、所有権移転の登記が行われていきます。権利者その他事項については、所有者の住所や名前が記載されます。また、登記がされた理由も記入されます。

理由は「Bさんは、Aさんから所有権を譲り受けた」というようなことがわかるように記載されます。

所有権以外の権利が書かれた権利部乙区

登記事項証明書の権利部乙区には、所有権以外の権利についての内容が書かれています。

権利部の乙区を見ると、その不動産に対して「どんな権利」を持っているのかがわかります。所有権以外の権利では、抵当権が代表的な権利としてあげられるでしょう。

抵当権とは、債務の担保として不動産について、他の債権者よりも先に自分の債権の弁済を受ける権利です。

例えば、住宅ローンを借りるときに、銀行が購入する住宅および土地に対して設定します。銀行は住宅ローンを借りる人が返済できなくなったときのために、その土地と建物に対し「抵当権」という権利を登録するのです。

抵当権は、住宅ローンが完済されれば抹消の登録を行います。こういった権利の記録がわかる部分が、権利部乙区です。

登記事項証明書は4種類に分けられている!

登記事項証明書は4種類に分けられている!

登記事項証明書は、4種類に分けられます。

1つ目は、全部事項証明書です。全部証明書には、不動産の登記が開始された日から現在までの情報がすべて書かれています。

過去の所有権の移転が、漏れなく記載されたものです。2つ目は、現在事項証明書です。現在事項証明書は、登記事項証明書に記載されているもののうち、現在効力があるものだけが記載されています。

前の所有者の情報などは記載されません。3つ目は、一部事項証明書です。一部事項証明書は、マンションの敷地のような多くの人で所有しているもののうち、一部分だけを証明できる書類です。

大規模なマンションの全部事項は、100枚程度と大量になることもありますが、自分の必要な名義の部分だけの証明書をとりたいときに使います。4つ目は、閉鎖事項証明書です。

全部事項証明書に記載されていない過去の登記記録を調べられます。閉鎖事項証明書は、すでに存在していない不動産や別の登記記録に移記されたものが対象です。

登記簿謄本(登記事項証明書)はどうしたら発行できる?

登記簿謄本(登記事項証明書)はどうしたら発行できる?

登記事項証明書は、法務局が管轄の書類です。

そのため、法務局に対して請求を行います。法務局の窓口まで行き、登記事項証明書交付請求書を記入すると、すぐに発行してもらえます。

以前はその土地のある管轄の法務局でなければ発行できませんでしたが、今は全国の登記情報を法務局が持っているため、遠くの法務局でも欲しい証明書を発行してくれます。

しかし、一部発行できない内容もあるため、事前に法務局のホームページで調べてから行くことをおすすめします。

また、登記事項証明書はオンラインで請求することもでき、法務局窓口で受け取る方法や郵送で取得する方法でも取得が可能です。

さらに「インターネット登記情報提供サービス」というもサービスもあります。

こちらは、不動産売買などの公式な書類としては使えないことが多いですが、情報を取得するだけであれば最も簡単に利用できるサービスです。

登記簿謄本(登記事項証明書)の読み方を知って、相続や売却時に備えよう

登記簿謄本(登記事項証明書)の読み方を知って、相続や売却時に備えよう

登記簿謄本は、現在では登記事項証明書と呼ばれています。

登記事項証明書には、不動産に関する物理的な情報や、権利についての情報が詳しく記載されています。

法務局が管轄する書類で、国がその不動産に対して登録されることを証明する役割を持っています。

不動産の登記事項証明書は、不動産の売買時には所有者の確認はもちろん、担保になっていないかというような権利の部分を証明してくれます。

また、相続の際には親から相続を受けたことを登記して、国に正しく登録しておく必要があります。

不動産の売買や相続の際に必要な書類であることを覚えておきましょう。登記事項証明書は、法務局に直接行くか、ネットから発行の申請を行って取得できます。

登記事項証明書を正式に発行してもらう方法以外では、インターネット登記情報提供サービスというものがありますが、これは正式な取引では使用できないことがありますので、注意してください。