不動産投資をしてはいけない場所を見抜くには、ガソリンスタンドの数にも注目

日本では東京や神奈川の一部に人口が集中する傾向がある一方で、地方を中心に高齢化、そして過疎化が進んでいます。
そのような場所に不動産投資をすることは、収益を上げるという意味で難易度が高く、遠くないうちに地下や価格がどんどん下がっていくことが容易に予測できます。

人口数はもちろんですが、不動産投資の可能性が低いエリアを見抜くには、設備やインフラ面を見ることも重要です。
そこでガソリンスタンドが無いエリアが増えているという事例を参考に不動産投資の可能性を見抜いていきましょう。

日本では今「ガソリンスタンド難民」が増えている

車を持っていれば当然燃料としてガソリンが必要になり、ガソリンを補充するためにはガソリンスタンドが必要になります。
しかしいま日本ではガソリンスタンドの数が急激に減少をしている、という問題があります。
最盛期の1994年には6万5千ほどのガソリンスタンドが日本全国にあったのですが、2013年では3万5千店程度にまで減少しており、この傾向には歯止めがかかっていません。

その原因としては、設備投資に多額の費用がかかるので、設備の交換とともに廃業した、車を持つ人が減って売上が下がった、後継者不足等が挙げられていますが、いずれの要因にせよガソリンスタンドがないということは、そのまま車を持ちづらくなるということに繋がり、地方の過疎化にさらに拍車をかける要因になり得ると言われています。

都市部と地方の両方で見られるガソリンスタンド難民

では実際にどのような場所で顕著にガソリンスタンドが減っているのでしょうか。
日本全国では、2005-2014で約30%もガソリンスタンドの点数が減少しています。
神奈川、東京、大阪でも35%程度の店数減少が見られ意外と都心での廃業が大きな比重を占めていると言われます。
ただ都心の場合は廃業というよりも、統廃合や店舗形態の転換が減少の大きな要因になっており、一店舗辺りの売上は全国平均の3倍近くになるため、さして大きな影響はなく、数は減ってもエリアにまったくないという減少は避けられると見られています。

それよりも深刻なのは、市内や町内に一店舗もなくなってしまうという現象です。

この場合は事実上車を持つことが不可能になってしまうこともあり、特に遠距離移動が困難となる高齢者にとっては、普段の長距離移動の足が奪われることになり、大きな問題になっています。
自治体でもガソリン配給車を定期的に巡回させ、なんとかインフラの維持を図ろうとしていますが、それだけで全てのガソリンの需要を賄うことも難しく、コスト的な負担が自治体にのしかかってきています。

不動産投資の観点においては、地方の場合、アパートを建てるにしても駐車場付き物件の需要が高く、車という交通手段がない場所への投資は、よほど駅前でもない限りは難しいものになっています。

ガソリンスタンドの危機的な状況に触れているレポートとしては、「SS過疎地対応ハンドブック」というものを国土交通省が作成しています。http://www.enecho.meti.go.jp/category/resources_and_fuel/distribution/sskasochi/pdf/handbook.pdf

全くガソリンスタンドがない自治体は、奈良県や東北地方に多く、一箇所しかガソリンスタンドがない自治体は、東北や北海道に多いですが、神奈川県西部なども危機的状況にある市町村としてピックアップされています。
このハンドブック内で取り上げられている場所への投資は、よほど入居者を集めるための施策を有していない限りはかなりハードルが高いと思われます。

電気自動車がガソリンスタンド難民の救世主になるのか

一方で最近増えているのがプリウスなどに代表される電気自動車です。
電気自動車は電気で走行をするので、給油をする必要がありません。
いわゆるEV社はその販売台数を順調に伸ばしており、ガソリンに代わる代替エネルギーになってきていますし、ガソリンスタンドがなくても燃料を補給できるので、ガソリンスタンドもいずれ不要になる日も来るかもしれません。

しかし緊急時の燃料補給スポットとして給電場所の利便性を考えると、現状のEV車は給電に30分以上の時間を要するものばかりです。
基本的に家で夜間などに給電しておき、外で給電をするという使い方は念頭に置かれていません。
もちろん家で給電をしておけば、近距離の外出であればそれほど給電をする必要もないのですが過程へのその設備の導入や、EV車の販売価格、また地方ほど遠くへ車で行く機会が多いので、そとで燃料の補給をできない、しにくいということは、利便性の面でガソリン車に大きく劣りますし、高齢者にとって決して使いやすいものでは現状ありません。

将来的にEV車の台数が増え、ガソリン車より利便性が高い状況になることが予想されますが、実現には数年かかるかと思います。
電気自動車があればガソリンスタンドもいらない、というようにはまだまだならないでしょう。

地方のインフラ環境悪化は由々しき問題

日本の地方過疎化の影響は、仕事がない、人がいない、インフラも悪化する、さらに人がいなくなるという悪循環に迷い込んでいます。
国がこの問題をどの程度解決していく気があるのか、というのはなかなか伝わってきませんが、少なくとも不動産投資をするにおいて、インフラが整っていないエリアを選ぶことは避けたほうが賢明と言えるでしょう。