夫単独名義の住宅ローンを妻が返済できる?-HowMa不動産売却なんでも相談室 vol.30-

AI査定をしたけれど、不動産売却を進めていくにあたり、たくさんの論点や疑問に当たりますよね。

ここでは、HowMaに寄せられたユーザー様の質問をご紹介させていただきます。似たお悩みの方がいらっしゃいましたら、ご参考にしてみてください。

(※個人が特定できるような質問は、質問意図が変わらない範囲で内容に一部フェイクを入れますので、現ユーザー様は今後も安心してお問い合わせください。)

Q.住宅ローンを返済中です。事業に失敗し返済が滞りそうです。住宅ローン返済を妻にお願いし、自宅を残すことは可能でしょうか?

A.

住宅ローンの名義債務者を奥さんにして、奥さんに払ってもらいたいということですね。やり方は3つ考えられます。

1つ目は名義変更をせず、奥さんが返済を行う方法

普通は所有者が債務者になるので、ご主人名義だったらご主人がローンを返済しなきゃいけないから、ご主人の銀行口座に奥さんの貯金から返済費を入れてもらうのが一番シンプルですよね。特に銀行での手続きもないですし、手続きに係る費用がかかりません。

しかし年間110万円以上の金額を返済している場合は、注意が必要です。暦年贈与という制度で、基礎控除として年間110万円が認められているので、110万円を超える部分に対して贈与税がかかります。そのため、税金がかからないためには後述する個人間の貸付が良いかもしれません。

基礎控除110万円の範囲内で行う贈与は、税務署への申告の必要はないですが、後から税務署に贈与を否認されるリスクもあるので、贈与契約書を作成しておくと安心です。

2つ目は妻から夫へ貸し付けて、夫が返済する方法

住宅ローンの年間支払い額が110万円を超える場合は、名義人以外が直接返済をするのではなく、名義人へ一旦貸し付けて、名義人が返済する方法も考えられます。

個人間でも、返済期限や金額を決めて、簡単な借用書を作成し契約を交わすことができます。金額が大きい場合は、より細かいルールを記載できる金銭消費貸借契約書を検討しても良いかもしれません。

ただし無利子で貸し借りをする場合は、利子相当金額の利益を受けたものと見なされ、その利益相当額が贈与と扱われる可能性があるので、注意が必要です。

参考:親から金銭を借りた場合

3つ目は債務者を変更する方法

銀行の債務者変更をやる場合、銀行のローン借り換えだけでなく、家の所有者を変更する必要があります。そして今回の場合は相続や離婚ではないので、生前贈与という扱いとなり、不動産取得税や贈与税がかかります。手続き自体に費用がかかるので、あまりお勧めしません。

所有者変更に関わる主な費用としては、贈与税や不動産取得税、仲介手数料、所有権移転登記費用、司法書士報酬などがかかります。そして銀行ではローン一括返済手数料とローン初期費用などを払います。

夫婦間の贈与に仲介手数料がかかるの?と思われるかもしれませんが、奥さん名義で新たに住宅ローンを借りるためには、第三者である銀行に売買契約書を提出する必要があるのです。売買契約書は宅建士しか作成できないので、不動産会社に仲介してもらい、仲介手数料が必要になります。

仮に3,000万円の住宅ローンが残っている場合、売却と購入の仲介手数料を合計すると最大210万円かかります。

贈与税は、婚姻期間が20年以上の夫婦間であれば、おしどり贈与(正式名称は「夫婦の間で居住用不動産を贈与した時の配偶者控除」)で2,000万円までは非課税になりますが、非課税枠を出た1,000万円分に対して贈与税がかかります。

さらに奥さんが残債分の住宅ローンを新規で組めるかどうかも重要です。

詳しくは、不動産会社や税理士に相談すると良いでしょう。

名義変更については、次の記事も併せてご覧ください。