不動産を売却したら確定申告が必要なの?気になりますよね。
- 確定申告はやったことあるけど、不動産売却の確定申告は初めてで不安だ
- 不動産会社の人から確定申告が必要だと言われた
- 自分が確定申告の対象になっているか知りたい
- 確定申告をどのようにやるのか知りたい
この中の1つでも当てはまる方には、ピッタリの記事です。
結論から先に言ってしまうと、
- 譲渡益が出ていて申告義務がある人は「必ず」確定申告が必要
- 義務がない人でも、確定申告をすることでお金の面で得をするケースが多い
という2パターンがあります。
また、確定申告と納税が漏れていた場合、大きなペナルティを課される場合もあります。漏れなく確定申告できるように、確定申告の必要なケース・不要なケースや、確定申告の方法と必要書類、税金が安くなる3,000万円特別控除などの特例、必要書類と申告方法まで、分かりやすく解説します。
この記事を読めば、不動産売却が初めての方も、自信を持って手続きをできます。
基本的に不動産売却後は確定申告をしよう!
まず気になるのは、あなたは申告必要か?ですよね。簡単にまとめると次の通りです。
- 売却益が出た → 必要(※)
- 売却損 → 原則不要(でも申告すると得する)
特に、マイホーム売却や空き家売却で「3,000万円特別控除」という節税の仕組みが使える人の半分以上は、確定申告をすることで「税金が0円」になります。
※ただし、売却益と給与所得以外の所得(副業収入や年金収入など)が合わせて20万円以下の場合は、確定申告が不要です。1つの会社に勤務する給与所得者で、年末調整を行なっている方が対象のため、自営業者や個人事業主の方は対象外な点に注意してください。さらに所得税のみに適用され、住民税については確定申告が必要となるケースがあります。
確定申告の締切を過ぎた場合:税金の還付を受けられないリスクがある
確定申告の提出時期は、確定申告の対象となる年の翌年2月16日〜3月15日までです。期間が1ヶ月しかないため、売却が決まったら早めに必要書類の準備を始めましょう。
・売却益が出ていたのに申告していなかった場合
→ 延滞税・加算税が発生する可能性が高く、還付になるケースはほとんどありません。
・売却損が出ていた場合
→ 条件を満たせば、損益通算や繰越控除によって「支払い済みの税金の一部が戻る」可能性もあります。
いずれにしても、「必要だったと気づいた時点ですぐ税務署に相談する」が正解です。
具体的な手順や申告方法は、後半パート「確定申告の流れと方法」で詳しく解説します。
不動産を売却して利益が出たときは確定申告が必要
不動産売却における確定申告とは、「売却益(譲渡所得)に対する税金(譲渡所得税)を計算し、納税することを目的とする手続き」です。
売却益と売却価格(実際に売却できた成約価格・売買価格)とはイコールでは無く、次の計算式によって求めることになります。
<譲渡所得(売却益)の求め方>
譲渡所得 = 不動産の売却価格-(不動産の取得費+不動産売却にかかった諸経費)-特別控除
<譲渡所得税の求め方>
譲渡所得税 = 譲渡所得 ×税率
この計算式にそれぞれの金額を当てはめて、譲渡所得がプラスになれば譲渡所得税がかかるので、確定申告をする必要があります。
不動産の取得費とは購入時の金額から建物の減価償却分を差し引いた金額のこと
不動産の取得費とは、購入金額から建物の減価償却分を差し引いた金額です。土地と違い、建物は減価償却資産であるため、建物は新築時から年数が経過すると、劣化等により価値は目減りします。
減価償却は、耐用年数に沿って毎年一定の金額を建物の価値から控除していきます。耐用年数は、建物の構造によって違いがあり、一般的な木造戸建てであれば20年~22年、マンションなどの鉄筋コンクリート造であれば47年です。
耐用年数については、次の記事で詳しく解説しているのでご興味のある方はご覧ください。
このように不動産の取得費を求めるためには、減価償却の対象である「建物」と、償却されない「土地」の価格を正確に分ける必要があります。基本的には売買契約書に土地・建物の内訳が記載されています。
しかし不動産仲介を長年見てきた現場の経験から言うと、マンションでは土地と建物の価格が明確に書かれていない契約書も少なくありません。(とくに中古マンションでは「一式〇〇万円」となっているケースが多いです。)
新築/リノベ業者からの購入の場合:建物価格は消費税から計算できる
建物にのみ課税される「消費税」の記載があるため、建物価格=消費税額 ÷ 税率(10%)で算出できます。
中古(個人間売買)の場合:固定資産評価証明書を取得して建物価格を知る
個人→個人の売買には消費税がかからないため、契約書から建物価格を読み取れないケースが非常に多いです。実際、毎年2月になると「土地と建物の金額が分からなくて減価償却が計算できない」というご相談が多く寄せられます。
その場合、まずは固定資産評価証明書を取得しましょう。なお、固定資産評価証明書は所有者本人しか市町村に申請できない点には注意が必要です。
また、確定申告に必要な「土地と建物の評価額だけを証明する書類」は、不動産会社も取得できるものもあります。仲介を依頼した不動産会社に相談すれば、「どの資料なら代用可能か」「取得を依頼できるか」も含めて対応してくれる場合が多いので、まずは担当者に確認しましょう。
譲渡所得税の税率は5年を境に倍近く変動する
譲渡所得税の税率は、売却した不動産を保有期間が5年を境に倍近く変わります。
不動産を所有していた期間が、5年未満であれば[短期譲渡所得=約40%]、5年超の場合は[長期譲渡所得=約20%]でおよそ2倍の差が出ます。つまり、同じ売却益でも「いつ売るか」で税負担が
大きく変わるということです。
内訳は、所得税、住民税、復興特別所得税も絡みます。
| 売却した年の1月1日時点での所有期間 | 所得税 | 住民税 | 復興特別所得税(所得税の2.1%) | 税率合計 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 5年以上 | 15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
| 短期譲渡所得 | 5年未満 | 30% | 9% | 0.63% | 39.63% |
※10年以上所有している場合は、譲渡所得の6,000万円までの部分に対しては税率合計が14.21%(所得税10%、住民税4%、復興特別所得税0.21%)になる、軽減税率の特例があります。
確定申告が不要な場合はある?マイナスになった場合に使える2つの特例
譲渡所得が利益が出た場合確定申告が必要なのは、先述の通りです。
では、譲渡所得がマイナスとなった場合はどうなるのでしょうか?
実は、確定申告不要です。しかし確定申告をしないと判断するのには、まだ早いです。確定申告でその損を取り戻せる制度があるのです。条件を満たせば、損をしても、その他の所得と相殺して所得税や住民税を減らせます。これを損益通算といいます。
損益通算による税負担の軽減が可能なのは、不動産を売却した年だけではありません。売却した年の所得よりも譲渡による損失額が大きく、相殺しきれない場合は翌年以降の所得からも繰り越せる「繰越控除」の利用が可能です。
それは、売却した年の翌年から最長3年間に渡って利用できます。つまり、売った年と合わせて最長4年間は、所得税等や住民税が軽減されたり、場合によっては0になったりするのです。特例には2種類あります。
マイホームの買い替えに伴う場合の特例
1つめは、自宅の買い替えの際に利用できる特例です。「マイホームの買換えの場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」といいます。損益通算で控除しきれなかった譲渡損失は、売却した年の翌年3年以内であれば繰り越して控除が可能です。
利用するには以下の要件を満たす必要があります。
【売却物件に関する条件】
- 譲渡年の1月1日時点で所有期間が5年超
- 500m2以上の敷地売却の場合、500m2までの損失までが対象
【買い換える居住用不動産に関する条件】
- 売却の翌年の12月31日までに借入れにより取得
- 取得年の翌年12月31日までに前の居住用不動産を売却
- 居住用の床面積は50m2以上
- 購入後の物件の住宅ローンは、融資期間10年以上であり、かつ特例を受ける年の年末に残債がある
新たに不動産を購入するために住宅ローンを組む場合、住宅ローン控除との併用も可能です。
ただし、所得が3,000万円以上の年については、特例の対象外となります。
買い替えを伴わないマイホームの売却の特例
「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」といいます。特例を利用するには、以下の条件があります。
【売却物件に関する条件】
・譲渡年の1月1日時点で所有期間が5年超
・譲渡の前日にそのマイホームに係る償還期間10年以上の住宅ローンの残債がある
・住宅ローン残債が売却金額を超えている
翌年に繰り越せる損失の金額は、ローンの残債から売却価額を差し引いた額に限定されます。
また、買い替えに伴う特例と同様に、合計所得金額については、3,000万円以下の制限があります。
次に、売却したことでプラスになった場合に使える、税負担を軽減する特例を3つ紹介します。
売却益が出た時に税負担を軽減する3つの方法
マンション売却の際に、条件を満たしていれば税金を控除できる特例があります。
3,000万円特別控除
譲渡所得税額=(譲渡所得-3,000万円)×税率で計算できます。ただし3,000万円特別控除を適用するためには、以下の要件を満たしている必要があります。
- 自宅の売却、または自宅として住まなくなった日から3年目の12/31までに売却
- 売却した年の前年及び前々年に3,000万円特別控除や他の控除を利用していない
- 売買主が親子や夫婦など特別な関係でないこと
※共有名義であれば2人分の控除が利用できる(3,000万円×2=6,000万円)
買い替え特例
マンション買い替えの金額が「購入金額<売却金額<買替金額」なる場合、課税されず繰り延べされます。次に買換えたマンションを売却したときに発生した譲渡益に加算されます。買い替え特例を適用するためには、次の要件を満たしている必要があります。
- 自宅の売却、または自宅として住まなくなった日から3年目の12/31までに売却
- 売却した年の前年及び前々年に3,000万円特別控除や他の控除を利用していない
- 売却した物件・買い替えた物件がどちらも国内にある
- 所有期間10年超、かつ、居住期間10年以上
- 売却価格が1億円以下
- 買換えた物件の床面積50m2以上、土地の面積が500m2以下
- 中古住宅の場合には、取得の日以前25年以内に建築されたものである、または一定の耐震基準を満たすこと
所有期間10年超え軽減税率
マンション所有期間が10年超であれば、譲渡所得税率14.21%を適用できます。(譲渡所得が6,000万円以下)
※2013年から2037年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1パーセントを所得税と併せて申告・納付することになります。(国税庁サイト No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例)
不動産売却で使える特例の特徴・違いがわかる比較表
「自分はどの特例を使えるのか?」は、多くの方が悩むポイントです。
ざっくり言うと、
・マイホーム売却で利益が出た → ①3,000万円特別控除+③10年超軽減税率の検討
・マイホーム売却で損が出た → ⑤損益通算・繰越控除の検討
・相続した実家(空き家)を売った → ②空き家3,000万円控除の検討
といったイメージになります。
節税によく使われる特例の違い・注意点を表にまとめました。
| 特例名 | 使える状況 | 税金メリット | 主な適用条件 | 注意点 |
|---|
| ① 3,000万円特別控除 | マイホームを売却して利益が出たとき | 最大3,000万円まで利益を非課税にできる | ・自宅として住んでいた(または住まなくなって3年以内に売却) ・親子または夫婦での売買ではない | 他の特例と併用不可(買い替え特例・損益通算など) |
| ② 被相続人の居住用家屋(空き家)を売却したときの3,000万円特別控除 | 被相続人の居住用財産(空き家)を売却して利益が出たとき | 最大3,000万円まで利益を非課税にできる | ・相続から3年以内の12月31日までに売却 ・相続時に被相続人が1人暮らし ・家屋が耐震基準に適合している(または解体して土地売却) ・親子・夫婦など特別関係者への売却でない | 3,000万円控除(自宅)との併用不可。対象は被相続人の家のみ。 |
| ③ 10年超所有軽減税率(14.21%) | マイホームを10年以上所有して売却し、利益が出たとき | 通常20.315%→14.21%に軽減 | ・所有期間10年以上 ・居住期間10年以上(条件あり) ・利益6,000万円までが対象 | 3,000万円特別控除との併用は可能 |
| ④ 買い替え特例(課税繰延) | 売却益がある状態で、より高い金額の住み替えをする | 税金の支払いを「次の売却時まで繰り延べ」できる | ・自宅の売却と買い替えが3年以内 ・所有10年以上 ・売却価格1億円以下 ・買い替え後の家の床面積50㎡以上 | 繰延なので、将来の売却時には課税される |
| ⑤ 譲渡損失の損益通算・繰越控除(買い替えあり/なし) | 売却して損失(赤字)が出たとき | 他の所得と相殺できて税金が減る。翌年以降3年まで繰越OK | 【買い替えあり】 ・旧居5年超所有 ・新居の住宅ローン10年以上など 【買い替えなし】 ・旧居5年超所有 ・ローン残債が売却額を上回る | 3,000万円特別控除と同時利用はできない |
その他にも、次のような特例もあります。詳しくは、国税庁サイトの譲渡所得の特別控除の種類を合わせてご覧ください。
- 公共事業による収用特例(最大5,000万円控除)
- 特定土地区画整理事業などのために土地を売った場合(最大3,000万円控除)
- 特定住宅地造成事業などのために土地を売った場合(最大1,500万円控除)
- 平成21年及び平成22年に取得した国内にある土地を譲渡した場合(最大1,000万円控除)
- 農地保有の合理化などのために土地を売った場合(最大800万円控除)
- 低未利用土地等を売った場合(最大100万円控除)
ただし特別控除額は、その年の譲渡益の全体を通じて、合計5,000万円が限度となります。
よく使われる特例別!確定申告に必要な書類を解説
譲渡所得の確定申告をするときに税務署へ提出する書類は次の通りです。漏れなく準備できるように、自分に必要な書類を確認するチェックリストとして活用ください。
全員共通の必要書類6つ
譲渡所得(売却益)・譲渡損失(売却損)が出たとき、つまり全員共通で必要な書類は次の6つです。
- 確定申告書第一表、第二表(所得税の納税額を記載する)
- 確定申告書第三表(分離課税用)
- 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
- 売却価格・諸費用の証明に必要な書類
- 取得費(購入時の費用)を証明する書類
- 本人確認書類
なお、譲渡所得の内訳書は、次の3つの方法のいずれかで事前に入手しておきましょう。
- 税務署の窓口で受け取る
- 国税庁サイトから印刷する
- 所轄税務署に郵送してもらう
次に、4~6の書類について詳しく説明します。
売却価格・諸費用の証明に必要な書類
| 書類名 | 説明 |
|---|---|
| 売買契約書のコピー | |
| 売買代金受取書(領収書)のコピー | |
| 固定資産税精算書のコピー | 年度途中での精算額を証明するための書類 |
| 仲介手数料の領収書 | |
| 印紙税の領収書 | 売買契約書に貼った印紙の額 |
| 立退料の領収書 | 賃貸物件を売却する際に入居者に立退料を支払った場合 |
| 解体費用の領収書 | 更地にして売却した場合 |
| 戸籍の附票の写しなど | 売買契約日の前日に、登記名義人の住民票に記載された現住所と、不動産の所在地が異なる場合 |
取得費(購入時の費用)を証明する書類
| 書類名 | 説明 |
|---|---|
| 売却物件の購入時の売買契約書のコピー | 購入価格の証明 ※非常に重要! |
| 建築当時の請負契約書 | 注文住宅の場合 |
| 購入時の仲介手数料が分かる領収書 | |
| 登記費用・司法書士費用がわかる領収書 | 投資用不動産など業務用不動産の登記費用は対象外 |
| 測量費の領収書 | 土地購入時に測量した場合 |
| 設備費・改良費が分かる領収書 | バリアフリー化や床暖房・二重窓付加などの建物価値を高める工事費用や、増改築費用など。一般的な修繕費用は改良費に含められない。 |
売却時・購入時の売買契約書を紛失した場合は、不動産会社に速やかに連絡して、コピーをもらえるか相談しましょう。
なお、購入時の価格がわかる書類が足りない場合、譲渡税が余計にかかる可能性があるので無くさず保管しておくことが大切です。相続などで取得費が分からない場合には、売った金額の5%相当額を取得費とするためです。(たとえ購入時に仲介してくれた不動産会社名がわかっても、その会社で売買契約書のコピーが保管されるのは、せいぜい5年程度です。)
本人確認書類
| 書類名 | 説明 |
|---|---|
| マイナンバーが記載されている本人確認書類 | 両面のコピーが必要です |
| 番号確認書類のコピー(マイナンバーが記載されてる住民票もしくは通知カードのコピー) 身分証明書のコピー(運転免許証や健康保険証のコピー) | マイナンバーがない場合 |
さらに特例制度を利用した場合は、上記の書類に加えて次の書類を添付する必要があります。
3,000万円特別控除 / 10年超所有軽減税率 共通で必要な書類
| 書類名 | 説明 |
|---|---|
| 売却した不動産の登記簿謄本 | 所有者・構造などの確認のため |
| 水道光熱費の請求書など | 売却した不動産に居住していたことを証明するため |
被相続人の居住用家屋(空き家)を売却したときの3,000万円特別控除
| 登記事項証明書 | 売却した物件の確認 |
| 被相続人居住用家屋等確認書 | 空き家であったことを証明する書類 |
| 被相続人の戸籍謄本または除籍謄本 | 相続の発生日がわかる書類 |
| 耐震基準適合証明書 | 昭和56年5月31日以前に建築された旧耐震基準の建物であり、建物を解体せず売却した場合 |
マイホーム「買い換え」に伴う損益通算・繰越控除が発生したときの特例に必要な書類
| 書類名 | 説明 |
|---|---|
| 居住用財産の譲渡損失の金額の明細書 | 特例用の確定申告書付表 |
| 居住用財産の譲渡損失の損益通算・繰越控除の計算書 | 最大3年間にわたって損失を繰り越すことが可能なため |
| 売却物件の登記事項証明書/売買契約書のコピー | 売却した物件の確認 |
| 購入した新居の登記事項証明書/売買契約書のコピー | 買い替え条件を満たすかを確認 |
| 購入した新居の住宅ローンの残高証明書 | 10年以上のローンが要件 |
住宅ローンが残るマイホーム売却で損失が出たときの特例(買い替えなし)
| 書類名 | 説明 |
|---|---|
| 特定居住用財産の譲渡損失の金額明細書 | |
| 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算、および繰越控除の対象となる金額の計算書 | 最大3年間にわたって損失を繰り越すことが可能なため |
| 登記事項証明書 | |
| 売却物件の住宅ローンの残高証明書 | 住宅ローンが残っている状態で売却した場合 |
取得費加算の特例(相続物件を売却した場合)を利用するときの必要書類
| 書類名 | 説明 |
|---|---|
| 相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書 | 相続税額のうち、取得費に加算できる額を算出するため |
相続により取得した不動産を一定期間内に売却した場合に、相続税額の一部を取得費に加算できる特例です。なお、この特例を利用するためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 相続や遺贈により取得している
- 不動産の取得者に相続税が課税されている
- 相続税の申告期限の翌日から3年経過する日までに売却している
ここで挙げた書類がひと通り揃っていれば、税務署の窓口でも「申告できます」と言われるレベルです。もし書類の一部が足りないくても、事前に税務署へ相談すれば、代わりに使える書類を教えてもらえます。まずは分かる範囲から集めていきましょう。
確定申告の流れと方法
確定申告の期間は、基本的に毎年2月16日〜3月15日までです。開始日・終了日が土曜・日曜・国民の祝日・休日の場合は、その翌日となります。
確定申告書を提出した後に間違いに気づいた場合、期限内であれば修正した申告書を再び提出できます。その場合は、期限内で最後に提出したものが正しい申告書として扱われます。
しかし、期限を過ぎると、「期限後申告」となり、無申告加算税や延滞税が課せられることもあります。
従って、確定申告をする場合は、期限を過ぎないように、余裕を持って準備する必要があります。
売却益が出たのに確定申告を行わない場合のペナルティ
譲渡所得が出たにも関わらず確定申告をしない場合は、後になって税務署から「脱税」とみなされる可能性があります。脱税は重篤な罪なので、発覚した場合は、延滞税・無申告加算税・重加算税などが加算されます。
もし確定申告を忘れたまま期限を過ぎると、税務署から「譲渡所得の申告についてのお尋ね」という書類が届きます。「譲渡所得の申告についてのお尋ね」に回答せず、さらに放置し続けていると、税務調査が入り、通常の確定申告で納めるべき額よりも高くなる場合も多くあります。
延滞税の目安
- 納税期限の翌日から2カ月以内であれば7.3%
- 納税期限の翌日から2カ月を超えると14.6%
参考:延滞税の計算方法
さらに納税を忘れただけでなく確定申告自体をしなかった場合には、無申告加算税が課されます。
無申告加算税の税率
| 50万円以下の部分 | 15% |
| 50万円超〜300万円以下の部分 | 20% |
| 300万円超の部分 | 30% |
例えば、500万円の売却益があったのに確定申告をしなかった場合は、117万円も無申告加算税を支払う必要があります。
参考:加算税制度の概要
もし、「確定申告が必要ないと思ったら必要だった」という場合は、それが分かった時点でできるだけ早く税務署に相談してください。なお、基本的に5年以内であれば、遡って確定申告することは可能です。
申告書類の作成
確定申告書等の書類記入は、税務署で入手した書類に手書きで記入する他、国税庁サイトの「確定申告書等作成コーナー」を利用することもできます。画面案内に従って入力すると、自動計算もしてくれ、比較的簡単に確定申告書等を作成できます。
さらに国税庁にはe-Tax・作成コーナーヘルプデスクという問い合わせ窓口があり、不明点は電話で確認もできます。
不動産売却の確定申告する3つの方法
譲渡所得税の確定申告は、売却した人の住所地を管轄する税務署へ申告します。申告方法は3つあります。
| 申請方法 | 補足説明 |
|---|---|
| 直接税務署へ出向く | 直接税務署の職員に聞くことができる 無料の相談会や説明会に参加できる |
| 郵送で、所轄の税務署に送付する | 角形2号の封筒、レターパック・定形郵便・定形外郵便で送る |
| インターネットでできるe-Taxを利用する | マイナンバーカードが必要 |
確定申告で認められる諸費用、認められない費用
不動産売却では、「売却に直接必要だった支出かどうか」が経費認定のポイントです。以下に、認められる費用/認められない費用の代表例をまとめます。
確定申告で認められる主な費用
- 仲介手数料
- 印紙代
- 測量費(境界確定のため)
- 弁護士費用(売却に関する紛争対応など、直接必要な場合)
- 売買契約・立ち会い等で生じた交通費
確定申告で認められない主な費用(経費にならない)
- 新居への引越し費用
- 登記費用(不動産売却に伴う抵当権抹消など)
- 残置物処分費用
- 売却前のリフォーム費用(※原則)
- 固定資産税・都市計画税(保有時の税金)
※買主の要望によりリフォームを条件とした売却の場合は、売却前のリフォーム費用も経費として確定申告で認められます。
ただし、経費として認められるか判断できないときは、税務署に直接聞いてみるのが一番早く解決できます。
確定申告のタイミングで後悔しないために、まずはAI査定をしよう
確定申告は専門的な計算や準備が多く、不安な場合は税務署の無料説明会・相談会に参加したり、税理士へ依頼するのが安心です。特に土地を複数売却したなど、売買が複雑な場合は税理士に依頼するのが確実ですし、やり直しの手間などがかかりません。
ただし、そもそも正しい税額を計算する中で「売却価格が本当に妥当だったか」「本来もっと税金を減らせたのでは?」というお悩みをよく伺います。
しかし売却が全て終わってからでは後の祭りです。
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- 売却益/損失の見通しが今後どう変わるか
をすぐに確認できます。
確定申告で後悔しないためにも、まずはAI査定で「今の売却相場」を知ることから始めましょう。