不動産売却の第一歩は査定!不動産会社の選び方や流れを解説

不動産を売りたいと思ったらまずは査定!

不動産の売却はまず査定から始まります。

査定とは、不動産の現況や周辺不動産の市場調査などにより不動産価値を正確に把握する行為です。

時間がかかっても高く売りたい、早急に手放したいなど売主の事情はさまざまですが、どのような場合でも査定によって適正価格を算出することが売却の第一歩です。

査定金額を元に売却戦略を練ることで、後悔のない不動産売却が実現します。

不動産会社に査定を依頼

売主自身で査定を行い、売却価格を決定することも可能ですが、プロの査定によって導き出された適正価格を活用することがスムーズな売却につながります。

不動産会社に支払いが発生するのは媒介契約を結んで売却が成立してからですので、査定は見積もりのような扱いとなり、無料で実施してもらえます。

まずは不動産会社に依頼して査定作業の開始です。

不動産会社の選び方

数多く存在する不動産会社の中から信頼できる一社を探すのは、大変な作業です。

不動産会社は不動産取引の専門家としてあらゆる不動産の取り扱いを行いますが、会社によって得意とする分野は違います。

賃貸専門や買取専門の不動産会社もあるため、売却したい不動産の取引実績があるか企業ホームページを閲覧して調査する必要があります。実際にその不動産会社に依頼したお客さんの口コミも判断材料になります。

詳細な査定には現地調査が必要になるため、現地周辺の不動産事情に精通した不動産会社を探しましょう。

複数の不動産会社に依頼も可能

たまたま依頼した不動産会社の対応がとてもよかったという幸運なケースは別として、担当者の人柄や査定の方法に不満を持つこともあるでしょう。

査定は売却依頼前の準備段階のためこの会社は信頼できないと思ったら、他の不動産会社に査定依頼することも可能です。

大切な資産の売却ですから、複数の不動産会社に依頼して納得のいく査定をしてくれる会社を選びましょう。

査定開始

査定を依頼する不動産会社が決まったら査定開始です。まずは査定に必要な情報を不動産会社に提供します。

不動産の所在地や種類、面積がわかる資料が必要です。建物であれば構造や築年数によって物件価値が変動します。

法務局で取得できる登記事項証明書には、査定に必要な情報が記載されています。登記事項証明書は不動産の所有者以外でも取得できるため、不動産会社に取得してもらうことも可能ですが、査定の段階で権利情報まで教えたくない場合は、必要な情報だけの提供にとどめましょう。

また、売却の際には抵当権の有無も重要視されます。心配な点は事前に不動産会社に伝えておくことで、売却作業が滞りなく進みます。

簡易査定と訪問査定

査定は主に簡易査定と訪問査定に分けられます。

簡易査定とは不動産の所在地や面積などの情報を元に、近隣の不動産取引成約事例との比較によって売却金額を導き出します。この方法は不動産情報サイトのデータを参照して行うため、素早く査定額を算出できます。

訪問査定では、査定対象の不動産を実地調査することにより不動産価値を正確に査定します。

建物であれば屋根や外壁などの主要構造部に問題がないか、内装はリフォーム工事がどの程度必要かなどを判定します。

査定金額はどうやって決まる?

査定の手段として使われる代表的なものは取引事例比較法、原価法、収益還元法です。

取引事例比較法は査定対象の不動産と似ている近隣不動産の成約事例から価格を推定する方法です。不動産価値を決める重要な要素である立地や面積を元に比較されます。実際の流通事情を考慮して価格を出すため、現実的な売却金額を算出できます。

原価法は建物の新築価格から割り出す方法です。建物を同じ建材で再建築したとして費用を算出し、築年数に応じた価値の低下を加えることにより現在の価値を算出します。

収益還元法は不動産を賃貸として活用する場合に使用されます。査定対象の不動産を貸し出す場合に年間いくらの家賃を稼げるかという観点で、将来的に生み出す利益を試算して評価します。収益物件を探している買い手の場合、利回りを重視するため収益還元法によって算出された数字が着目されます。

これらの方法を用いて、総合的に査定金額が算出されます。

査定金額に納得できなかったら?

想定していた金額より低かった、高立地なのにこの金額はおかしいなど査定金額に納得できない場合は、査定担当者に算出額の根拠を聞いてみましょう。

担当者から査定金額について論理的に説明を受ければ納得できるはずです。もし査定に落ち度があった場合や簡易査定で大まかな金額しか出していなかった場合は査定のやり直し、もしくは詳細な査定作業に入ります。

不動産会社によって査定に利用する不動産情報サイトや調査手段は異なります。査定に納得できなければ別の不動産会社に査定を依頼替えすることも可能です。

できるだけ高く売るには

算出された査定金額は、あくまで不動産の適正金額を把握するための数字です。

最終的な売却金額は売主が決定するため、買い手がつくまで時間がかかっても高く売りたい場合は査定金額に上乗せできます。

もちろん近隣の類似不動産の相場よりも高ければ、なかなか買い手が現れません。たとえば日当たりがよい、駐車スペースが広いなど売却不動産の長所を的確に捉え、この不動産はこの金額分の価値があると買い手にアピールできる要素を探しましょう。

一方、マイナス要素を排除することも重要です。たとえば境界があいまいな不動産は近隣トラブルにつながるため、買い手から敬遠される要素になります。

そのような場合は売却前に土地家屋調査士に依頼し、境界を確定させて不動産価値の向上を図りましょう。

いよいよ買い手探しへ

売却金額が決定したらいよいよ市場に出して買い手を募集します。

建物であれば事前にクリーニング業者に依頼して美しい状態にしておくと、現地見学に訪れる購入希望者に好印象を与えられます。

また、居住中の建物を売却する場合は、現地見学時に壁や床の状況をチェックできるよう家具移動などの準備が必要です。

同じ商品は存在しない不動産の性質上、売却完了までの期間は不動産によって異なります。長期に渡って買い手がつかない場合は売却価格の見直しも必要です。

不動産会社と媒介契約を結ぶ

これまでの査定は無料ですが、売却に必要な広告活動や契約締結作業には仲介手数料が発生するため、売主と不動産会社の間で媒介契約を結びます。

仲介手数料は宅地建物取引業法で上限が定められているため、どの不動産会社を利用する場合でも過剰に請求されることはありません。

媒介契約は専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約にわかれています。専属専任媒介契約は売主自身で買い手を見つけて契約する自己発見取引が禁止されており、依頼した不動産会社のみに買い手探しを委ねる契約です。

専任媒介契約は同じく一社にしか依頼できませんが、自己発見取引が可能です。ただし自己発見取引を行った場合は仲介手数料が発生しない代わりに、それまでの広告活動の費用を請求される可能性があります。

一般媒介契約は複数の不動産会社に依頼でき、自己発見取引も可能ですが契約に関わった不動産会社しか仲介手数料を取れないため、熱心な広告活動を行ってもらえない恐れがあります。

これらの契約の中から自由に選択できます。

不動産会社は何をしてくれるの?

不動産会社は売却の広告活動から契約締結作業まで一貫して行います。

不動産情報サイトへの掲載や現地看板の設置、売却不動産周辺のポスティングなどは仲介手数料の範囲で行われます。

別途、売主が広告費を負担すれば、新聞への広告掲載など大規模な広告活動も可能です。

広告活動のみにとどまらず、売主の費用負担によるリフォームや展示用家具のレンタルなどの業者探しなどもサポートしてもらえます。

自分で買い手を探してもいいの?

媒介形態が専任媒介契約もしくは一般媒介契約であれば自分で買い手を見つけて契約することが可能です。

その場合は不動産会社に支払う仲介手数料は発生しませんが契約書作成や不動産登記変更を自分で行う必要があり、また不動産会社からそれまでの広告活動費用を請求される場合もあります。

また、自分で見つけた買い手でも不動産会社にて契約締結作業が行われる場合は仲介手数料が発生します。

不動産会社が買い取る場合も

市場に出した不動産は買取再販事業を行っている不動産会社が買い手になる場合もあります。

その場合は宅建士による重要事項説明の省略が可能になるなど、一般客との取引とは多少違いがありますが売主にとって懸念するような問題はありません。

すぐに売却したい場合は、初めから買取再販事業を得意とする不動産会社に買取を依頼することも一つの手段です。

ついに契約、売却完了!

買い手が見つかれば契約締結作業に入ります。

購入申込みの際に値引き交渉が入る場合もありますが、いくらまでの値引きなら可能か事前に担当者に伝えておくとスムーズに運びます。契約は不動産会社が行いますが、契約書の内容は入念にチェックしましょう。

不動産売買は契約書を交わした後、引き渡しと決済を同時に行うことにより完了します。

購入申込みから引き渡しまでの期間は買い手がローンを組む場合、銀行の審査状況によっても変動します。

損をしない不動産売却には正しい査定が重要

不動産売却には多くの手順が必要ですが、まずは査定により適正金額を導き出すことが長い道のりの第一歩です。

査定をおろそかにすると不動産を安く売ってしまったり、いつまでも買い手がつかず売れ残ったりする恐れもあります。

不動産を市場に出した後に正しい査定が行われたか不安を感じたら、一度取り下げて査定をやり直すことも重要です。

正しい査定によって不動産の価値を正確に把握して、後悔のない不動産売却を目指しましょう。