不動産会社に勤める人って普段なにやってるの?初心者が業界の人に聞いてみた〜第2回:広告掲載編〜

「不動産の素人」を自認する筆者が不動産業界で実際に働く(もしくは働いていた)プロフェッショナルに人に普段の業務や業界の慣習について教えてもらい、それを発信することで不動産業界に詳しくなっていこうという趣旨の本連載。

第1回目では不動産売買における商品ともいえる売出し物件を獲得する方法について扱いました。
(詳しくはこちら

その売出し物件が実際に売れるには買主を見つける必要があり、その買主に物件の情報を知ってもらうには広告活動が重要となります。

そこで今回は不動産会社の広告活動について聞いてきました。

今や王道の不動産ポータルサイトへの掲載

引越しなどで物件を探す際にSUUMOに代表されるようないわゆる不動産ポータルサイトから物件情報を調べるという方は非常に多いのではないでしょうか。

実際、不動産会社にとっても不動産ポータルサイトへの物件情報の掲載というのはもはやスタンダードになっています。

先日のインタビューにもご協力いただいた業界の中堅に位置する不動産会社で主任を務めるO氏に話を聞きました。

「売主様自身がどんな売却活動をしているのかチェックしているケースもありますので、レインズ(不動産会社のみが閲覧できる物件情報ネットワーク、詳しくはこちら)への掲載はもちろん大手の不動産ポータルサイトへの掲載も定石です。ただし、不動産ポータルサイトへの掲載は大抵の場合掲載料を支払う料金形態なので、掲載できる物件の数にはどうしても限りが出てきてしまいます。そのため例えばあまりにマーケットと乖離した金額で売却することになった物件や単価が低いワンルームや築年が古い物件などは、口八丁でごまかしつつ掲載しないケースもありますね。」

やはりどんな物件に対しても手厚い広告掲載をしてくれるというわけではないようです。

「まぁ、それはある意味当然ですよ。あらかじめ媒介契約(不動産売買における契約のこと。詳しくはこちら)を締結する際の約束事になっている場合などは別ですが、誰だって相場より割高な物件をあえて買いたいなんて滅多に思いません。単純な優先順位付けの問題ですが、よりニーズが高く見込める(=売買が成立しやすい)物件に限られた広告枠は使います。」

SUUMOなどの掲載をしてくれない時は、売り出し価格が相場より高くて「こんな金額では売れない」と不動産屋が考えているか、あまりにもニッチな需要の物件と思われている可能性があると言えそうです。

もしくは逆にメディアに頼らなくとも売れる自信があると営業が考えている可能性もありますが、それは極めてめずらしいケースでしょうか…。

地道に定番のポスティングでアピール

不動産業界定番の施策、「ポスティング」がこちらでも登場しました。

大手不動産仲介会社に務めるT氏はポスティングをやる理由を以下のように語ります。

「あくまで物件の特徴によりますが、うちでもポスティングはよく使いますよ。不動産を購入する層というのは比較的中高年以降の方が多いので、この時代においてもネットではリーチしきれない人も多いんです。単価も安いですし、最近では投函までの日数も非常に短いので便利にはなってるなと思います。また、本当に良い物件をお預かりしたら、その日のうちにチラシを作成して営業マン自身がポスティング(業界では宅配と言います)する事もありますよ。誰よりも早く反響をとって自分の両手にしたいですからね。」

筆者などはポストに投函されているチラシ類は即捨ててしまう(たまに捨てちゃいけないものも捨てちゃいます)タイプなのですが、確かにネットでリーチできない層には効果的なのかもしれません。

今も残っている広告手法であるということにはそれなりの理由があるのかもしれませんね。

新聞の折込チラシ

新聞の折込チラシというとスーパーや紳士服、家電量販店のイメージが強いですが、我が家では10年以上前から新聞を取らなくなってしまったので最近の折込チラシ事情は全くわかりません。

先ほどと同じく大手勤務のT氏は以下のように語ります。

「新聞の折込チラシは侮れませんよ。もちろん一定のニーズが望める場合に限りますが、ポスティング同様ネットでリーチしきれない人に知ってもらえる数少ない手段ですし、このご時世に新聞をとっている方は一定以上のステータスである可能性が高いです。ここから反響が来たときには例え方は悪いですが『大物が釣り針を咥えた』ような盛り上がりになります(笑)、売主様にも自分の物件が新聞折込チラシに載ったと喜んで頂けますしね。」

確かに言われてみると今新聞をとっている人は安定した人のイメージがあります。

ポスティングよりも確実に投函されエリアも指定可能と、意外と不動産広告との相性は良いのかもしれません。

まとめ

本日紹介した広告は数ある広告の一部となります。

最近はインターネットを中心に日々新しい不動産業界向けのサービスが産まれておりますし、不動産業界自体もここ数年で飛躍的にネットへの対応が進んでいるようです。

インターネットをそれほど情報収集に使用しない高年齢層に対して有効とされる紙媒体は今後どうなっていくのか、個人的にも非常に興味のあるところです。