地価下落が起きる?2022年問題とは②

前回「地価下落が起きる?2022年問題とは」では、2022年に多くの生産緑地が宅地に転換され、宅地の供給過多により地価下落が起こるかもしれない!?といった内容を取り上げました。

今回はその続編ということで、2017年5月12日に公布された「都市緑地法等の一部を改正する法律」を中心に、生産緑地の今後を改めて占ってみたいと思います。

生産緑地制度の改正における3つのポイント

今回の法改正では、生産緑地における面積条件の緩和、設置施設条件の緩和、特定生産緑地制度の創設の3つが大きなポイントとなります。

それぞれどのような内容なのか順を追って見ていきたいと思います。

①    面積の条件緩和

生産緑地として認められる面積の条件が緩和されます。

現在は、500㎡以上の面積がある土地が条件となっていますが、法改正後は、管轄する市町村が認めれば、300㎡以上でも生産緑地として認められることになります。

現在の条件である500㎡以上の面積というのは、特に都心部ではかなり厳しい条件だと思いますが、面積条件の緩和により、東京23区内では約80%の農地が生産緑地として認められる可能性が出てくるそうです。

②    設置施設の条件緩和

生産緑地の敷地内に設置できる施設の条件が緩和されます。

現在は、農産物の生産や流通に関連する施設しか設置することができませんが、法改正後は、生産緑地内で生産された農作物を販売できる直売所や農家レストランなどの施設が認められことになります。

つまり、生産緑地であっても運営次第でビジネスチャンスが生まれる土地にすることができます。

ここ最近は、法人の農業ビジネスへの参入が増加していますが、今回の施設設置の条件緩和によって更に増加するかもしれません。

ただし、収益を生む施設が設置されている敷地部分は、生産緑地としての税制面での優遇を受けられないケースもあるようなので注意が必要です。

③    特定生産緑地制度の創設

特定生産緑地制度とは、簡単に説明すると、従来の生産緑地制度の期限である30年を経過した生産緑地に対して、管轄する市町村が認めれば、10年間の延長が可能となる制度です。

これにより、生産緑地の所有者としては、あえて宅地に転用することなく、現在享受している生産緑地の税制面での優遇を引き延ばせることができます。

その一方で、延長した10年間は生産緑地を売却することができなくなる等の制限があります。

2022年問題を意識?このタイミングで法改正する理由とは

今回の法改正で特に注目したいのは上記③の「特定生産緑地制度」の創設です。

これは、明らかに国が2022年問題を意識している証拠だと思います。

2022年は、2020年東京五輪の直後ということもあり、これまで順調に推移している不動産マーケットの調整が発生すると予測されている時期です。

調整局面時における2022年問題による宅地の供給過多は、一気に不動産マーケットを冷ましてしまうと判断して、あらかじめ手を打っておこうと動いたのかもしれません。

なお、この法改正により、生産緑地の所有者が取る選択としては、大きく以下の2つになるかと思います。

どちらの選択肢もメリット・デメリットがありますので、慎重に検討したうえで判断する必要があります。

<選択肢①>

現在の生産緑地の指定が解除されたら、宅地に転換して賃貸等の土地活用を行う。
→宅地の供給過多により2022年問題発生?

 <選択肢②>

現在の生産緑地の指定が解除されたら、新たに「特定生産緑地」の指定を受けて、10年間従来通り所有する。

→土地の売却制限はあるが、従来通り税優遇を受けられる。生産緑地が減少しない。

いかがでしたでしょうか?

今回は「地価下落が起きる?2022年問題とは」の続編として、生産緑地に関連する法改正を中心にご紹介しました。

この法改正の一番の目的は、生産緑地の減少を防いで(≒これ以上宅地を増加させない)、農業を発展させることだと思いますので、「特定生産緑地」制度がしっかりと認知されるのか注目したいところです。