マイホームを持っている方は、一度は住み替えを検討したことがあるのではないでしょうか?
自宅を購入した頃は理想のマイホームだと感じていても、時が経つにつれて「老朽化によってシロアリや雨漏りが発生した」、「自宅の耐震性能に不安や不満がある」など住み替えを検討する理由はいろいろと出てくるものです。
このシリーズは、「自宅の住み替えを検討している」という方を対象に、住み替えに関する基礎知識をはじめ、自宅売却・新居購入の流れや方法、住み替えを成功させるコツや失敗しないポイントなど、住み替えの全てがわかる完全ガイドとなっています。
今回のテーマは、「自宅の欠陥・不具合・不満を理由に住み替える場合」です。
建物は土地と違い年数の経過による老朽化は避けて通れません。この記事では、老朽化して不具合が出てきた自宅の住み替えをどのように進めていけば良いのかまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
住み替えの仕組みと流れを把握しよう!
まずは自宅の住み替えの仕組みと流れを把握しておきましょう。
自宅の住み替えには「売り先行型」と「買い先行型」の2つのタイプがあり、どちらか1つを選択することになります。
また、賃貸物件ではなく、新居の購入を伴う住み替え(買い替え)のケースでは、どのように購入資金を用意するかが重要になってきます。
ここでは売り先行型、買い先行型の特徴や住み替え時に利用できる住宅ローンをご紹介していきますので、どれが自分に合っているか確認してみましょう。
売り先行型の住み替えの特徴。メリット・デメリットは?
売り先行型の住み替えとは、自宅を売却した後に住み替え先の新居を購入する方法です。
自宅の売却資金を新居購入に充てることができるため、住宅購入を伴う住み替えの場合に多く活用されています。
売り先行型の住み替えは次のような流れで進めていきます。 <売り先行型のメリット>
- あらかじめ自宅の売却価格が想定できるため、新居購入の資金計画が立てやすくなります。
- 自宅の売却で得たお金を新居購入の資金に充当できるので、持ち出し資金やダブルローンを組む必要がありません。
- 自宅の売却に時間を掛けることができるので、納得のいく価格で売却することができます。
<売り先行型のデメリット>
- 住み替え先の新居へ引っ越す前に一時的に仮住まいに引っ越しをする必要があります。ただし、自宅売却時の売買契約で「引渡し猶予」という特約を付ければ仮住まいをしなくてもいい場合があります。詳細は後でご紹介します。
- 既存建物を解体して更地として売る場合は、新居へ引っ越す前に仮住まいが必要となります。
買い先行型の住み替えの特徴。メリット・デメリットは?
買い先行型の住み替えとは、はじめに住み替え先の新居を購入して引越しをしてから、自宅の売却をする方法です。
売り先行型の住み替えと違って、自宅の売却資金を新居の購入に充てることができないため、経済的に余裕のある方や多額の資金を必要としない賃貸物件へ住み替える人に向いています。
買い先行型の住み替えは次のような流れで進めていきます。 <買い先行型のメリット>
- 仮住まいをしなくていいので、新居への引越し1回で済みます。
- 時間の制約を受けることなく、新居探しをすることができます。
- 新居へ引越し後は自宅を空室の状態で売却活動ができるため、内覧対応などの煩わしさがありません。
<買い先行型のデメリット>
- 自宅の売却資金を新居購入に充てることができないので、別途購入資金を確保しなければなりません。
売り先行型をおすすめする理由。住み替えは資金計画が重要
住宅の購入を伴う住み替え(買い替え)では、ほとんどの方が「売り先行型」を選んでいます。
その理由は、自宅を売却して得たお金を新居購入に充てることができるからです。
繰り返しになりますが、住み替えには新居の購入資金をどのように確保するかが重要となります。
買い先行型を選択した場合、仮に自宅の売却活動に失敗(買い手が見つからない、想定より低い金額で売却など)してしまうと「売却する自宅のローンの返済」と「新たに購入する自宅のローンの返済」のダブルローン状態になってしまい、毎月のローン返済で家計が逼迫してしまうリスクがあります。
住み替え先が賃貸物件の場合や新居購入をキャッシュで支払える方以外は、自宅の売却で得たお金を新居購入に充当することができる売り先行型をおすすめします。
住み替えに利用できる様々な住宅ローン
続いては住み替えのときに利用できる住宅ローンをご紹介します。
一般的に新居の購入資金は新たな住宅ローンを組んで確保することになりますが、売却する自宅の残債状況や売却価格、新居の物件価格、用意できる自己資金の金額によって利用できる住宅ローンのタイプが変わってきます。
普通の住宅ローン
「既に自宅の住宅ローンを完済している」、「自宅の売却金額や手持ち資金の範囲内で住宅ローンの完済ができる」。
このようなケースでは、新居購入には普通の住宅ローンを利用することができます。
普通の住宅ローンとは売却する自宅を購入した時に組んだような住宅ローンのことです。
この住宅ローンの特徴は、住み替え(買い替え)ローンやダブルローンなどと比べて借入総額が少なく低い金利で融資を受けることがでるので、住み替え後の毎月のローン返済で家計が逼迫するような事態を避けることができます。
住み替え(買い替え)ローン
「自宅を売却したお金で住宅ローンが完済できない」、「住宅ローン完済に充てる手持ち資金が無い」。このようなケースでは、住み替えローンを利用することができます。
住み替えローンは、今の自宅を売ってもローンを完済できない場合にその残債と新居の購入資金をまとめて融資してくれる住宅ローンです。これにより自宅のローン残債を完済できるので、ダブルローンの状態にならずに住み替えができるようになります。
しかしその反面、住み替えローンの条件である「自宅売却と新居購入の決済・引渡し日を同日にしなければならない」というデメリットもあります。
決済・引渡し日の調整は基本的に不動産会社がアテンドしてくれるので大丈夫ですが、スケジュールがタイトになるので納得のいく売却活動、新居探しができなくなってしまう場合があります。
また、住み替えローンは普通の住宅ローンと比較して金利は高めになります。
ダブルローン(二重ローン)
「自宅を売却したお金で住宅ローンが完済できない」、「住宅ローン完済に充てる手持ち資金が無い」に加えて、「買い先行型」で住み替えをする場合に利用する住宅ローンです。
融資を受ける審査条件(年収や返済比率など)は厳しく設定されており、毎月のローン返済額も多額になってしまいます。また、金利も普通の住宅ローンや住み替えローンと比べて高くなりますので、あまりおすすめできるものではありません。
ダブルローンより住み替えローンの方が、借り入れる側の負担が少なく済みますので、ダブルローンを検討する場合はまず住み替えローンで代替できないか確認してみましょう。
欠陥や不具合のある自宅を売却する時の3つの戦略
今回のテーマである、「自宅の欠陥や不具合を理由に住み替えをする」ケースでは、欠陥や不具合のある自宅をどのように売却するかがポイントになります。
普通に考えれば分かることですが、シロアリ被害、雨漏り、建物の傾き、耐震性不安、住宅設備の故障など欠陥や不具合のある住宅をあえて購入したいという人は、転売目的の不動産業者を除けばいません。
また、欠陥や不具合のある住宅というのは、建物の築年数が古く老朽化している場合がほとんどですので、売却活動が難航することが予想されます。
ここでは、そんな欠陥や不具合のある自宅を売るための3つの戦略をご紹介します。
【戦略①】修繕・リフォームをしてから売却する
戦略の1つ目は、自宅の欠陥や不具合部分を修繕・リフォームして直した上で売却するというやり方です。
自宅の欠陥や不具合を直してしまえば、普通の中古住宅として売りに出すことができますので、そのままの欠陥がある状態で売りに出す場合より、早く高く売却できる可能性があります。
その一方で、修繕工事やリフォーム工事の費用は売主が負担しなければなりません。
キッチンやトイレなど一部の住宅設備の不具合であれば、工事費もそこまで多額にはなりません。
しかし、シロアリ被害や雨漏り、耐震補強など大規模な修繕工事を必要とする場合は多額の費用を負担する必要があります。
修繕やリフォームに要した費用をそのまま自宅の売却価格に上乗せしても実際に買い手が見つかるかどうかは分かりませんので、大きな費用がかかる工事をして売却する場合は、採算がとれるか細かく精査した上で実施しましょう。
【戦略②】建物を解体して更地として売却する
2つ目は、自宅の建物部分を解体して更地として売却する方法です。
自宅の築年数や欠陥・不具合などの老朽化の度合いがひどく修繕工事に多額の費用がかかってしまうケースでは、 建物自体を取り壊して土地として売却した方が早く高く売れる可能性があります。
また、更地での売却は、売主側の建物の瑕疵担保責任を心配しなくて済むというメリットもあります。
一方で、修繕・リフォームと同様に建物解体の費用は売主負担となりますので、解体にかかる費用と更地として売る時の想定売却価格を考慮した上で判断したほうが良いでしょう。
【戦略③】そのままの状態で安く売却する
3つ目は、修繕・リフォームや建物解体などあえて何も行わず、欠陥や不具合のある状態で自宅を売却する方法です。
この場合、買主があなたの自宅を購入した後に修繕・リフォームをすることになります。売主からすると欠陥や不具合の修繕・リフォームをせずに済むので、これらの出費をセーブすることが出来ますが、その代わり自宅を相場より安い値段で売りに出すことになってしまいます。
なお、この方法で自宅を売却するときは、売買契約書に「売主の瑕疵担保責任を免責にする」という特約を付けることが可能か買主側と交渉することが重要です。
老朽化している物件は、売主が認知している欠陥や不具合以外にも何かしら問題を有していることが多いからです。
なお、瑕疵担保責任の詳細については、不動産売買における瑕疵担保責任ってなに?を参考にしてください。
それぞれの売却戦略に一長一短がありますので、売却依頼をする不動産会社とよく相談した上で決めることをおすすめします。
自宅の売却方法と流れ
ここからは具体的な住み替えの流れについて、手順ごとに内容を解説していきます。
まずは自宅の売却方法と流れについてです(便宜上、実際の住み替えで多い「売り先行型」の流れに沿っていきます)。
自宅の売却方法には大きく分けて「仲介取引による売却」と「買取りによる売却」の2通りがありますが、ここでは一般的な売却方法である仲介取引による売却について取り上げます。
買取りによる売却方法について知りたい方は、不動産の仲介取引と不動産の買取りの違いをチェックしてみてください。
仲介取引による売却とは?
仲介取引による売却とは、不動産仲介会社に不動産売買の仲介(売主の立場からすると自宅の買主を探してもらうこと)を依頼して自宅を売却する方法です。
一般的に自宅の売却というと大半がこの仲介取引によって売却を行っています。仲介取引による売却活動は次のような流れで進んでいきます。
仲介取引による売却活動の流れ①:売却相談・査定依頼
まずは不動産仲介会社に売却の相談と価格査定の依頼をします。
相談する内容は、「自宅を売却する理由」、「住宅ローンの返済状況」、「いくらで売りたいのか」、「いつまでに売りたいのか」、「新居購入の予算」などです。
今回のように自宅の欠陥や不具合を理由に住み替えをするケースでは、「どのような戦略で売却活動を行うか?」という点についても併せて相談しておきましょう。
先ほど取り上げた3つの戦略についても参考にしてみてください。
相談を受けた不動産会社は、自宅の権利関係、法律関係、建物の欠陥・不具合の度合いなどしっかりと調査した上であなたに最適な販売戦略を考えてくれます。
また、この時に自宅の価格査定も併せて依頼します。
不動産の査定価格は不動産会社によって大きく差が出ることもありますので、5社ぐらいを目安に査定の依頼をしましょう。
より詳しい内容は、自宅の売却を依頼する不動産会社選びのポイント、不動産会社の査定書はどう読めばいい?査定報告書の見方と注意すべきポイントを徹底解説!をご覧ください。
仲介取引による売却活動の流れ②:媒介契約
売却依頼をする不動産会社が決まったら、次はその不動産会社と媒介契約を締結することになります。
媒介契約とは、不動産会社が正式に売却活動の依頼を受託したことを証明するもので、具体的には不動産の売出し価格、売却活動の方法、不動産会社に支払う仲介手数料等の諸条件が媒介契約書に明記されます。
媒介契約を締結したら、いよいよ本格的に売却活動がスタートします。
媒介契約には「一般媒介契約」、「専任媒介契約」、「専属専任媒介契約」の3種類があり、売主はこの中からどれか1つを選択することになります。
それぞれの特徴は下の図をご覧ください。 なお、媒介契約についてもっと知りたい方は、一般、専任、専属専任の違いを徹底解説!なぜ不動産売却では一般媒介契約が一般的でないのか?、不動産の売却を依頼する媒介契約とは?査定後に「専任媒介」「一般媒介」どちらを選ぶ?を参考にしてみてください。
仲介取引による売却活動の流れ③:売買契約
売却活動中、「あなたの自宅を買いたい!」という人が現れたら売買契約の締結に移ります。
契約書作成や契約日の持ち物などは全て仲介する不動産会社が案内してくれるので特に心配はいりません。
ただし、売買契約に明記される内容は後にトラブルが起きてしまった場合の根拠となるものなので、しっかりと理解しておきましょう。
売買契約を読み解くポイントは不動産の売買契約を理解しよう、不動産の売買契約は解除できる?手付金や特約について事前に理解しておきましょうにまとめていますので参考にしてみてください。
今回のように新居購入を伴う住み替えの場合は、基本的に新居に引っ越しをする前に一度仮住まいをする必要があります。
しかし、仮住まいをしなくてもいい裏ワザがあります。
それは売買契約の中に「引渡し猶予」という特約を付けることです。通常ですと、決済日(買主が売買代金の支払いをする日)と同じ日に自宅の引き渡しを行うのですが、引渡し猶予によって決済日の後日に引き渡しをすることが可能となります。
これにより自宅の売却代金を受領しているのに引き続き自宅に居住できることになりますので、一時的な仮住まいをせずとも新居への住み替えが可能となります。
引渡し猶予はとても重要な特約なので、売買契約に明記するよう不動産会社を通して買主側に必ずお願いしておきましょう。
なお、引渡し猶予の特約に関わらず自宅を更地にして売却するときは仮住まいが必須となりますので注意しましょう。
仲介取引による売却活動の流れ④:決済・物件の引渡し
自宅の売却で最後に行うのが「引渡し」です。
具体的には自宅の鍵を買主に引渡し、自宅の所有権の登記を買主に移す手続きを行います。
引渡し猶予の特約が付いている場合は、当日は引渡しを行わず買主の売買代金支払いの着金を確認することになります。
売主と買主の合意内容にもよりますが、引渡し猶予の期間は1週間程度が通常ですので、この期間に住み替え先の新居に引っ越しをしてから最後に自宅の引き渡しをすることになります。
自宅を更地にして売却する場合は、引渡し日までに建物の解体工事を完了させておく必要がありますので、余裕を持ったスケジュールを立てておきましょう。
売却にかかる諸費用
ここで自宅を売却するときに発生する諸費用について確認しておきましょう。
- 仲介手数料 自宅の売却を実現させた時に不動産仲介会社に支払う成果報酬のことです。仲介手数料の金額は「宅地建物取引業法」という法律で金額が定められており、自宅の売却価格によって変動します。
- 印紙代 売買契約書に貼付する収入印紙の代金です。売買契約書は課税文書に該当しますので、収入印紙を貼付することで印紙税を納税したことになります。目安として収入印紙の代金は自宅の売却価格が5,000万円であれば印紙代は1万円、8,000万円であれば3万円となります。
- 登記費用 自宅の住宅ローンが残っている場合は、抵当権抹消の登記を司法書士に依頼することになります。金額としては、1万円~2万円程度が目安です。
- 引越し費用 住み替え先へ引越しする際にかかる費用です。新居へ引っ越しする前に仮住まいをしなければならない場合は、引越し費用が2度掛かることになるので事前にお計画を立てておきましょう。
- 建物解体費・リフォーム費 自宅を更地にしたり、リフォームして売却する際にかかる費用です。解体費用の目安としては、木造住宅であれば坪単価3万円~4万円です。一般的な30坪木造戸建てを解体する場合、90万円~120万円ほどの負担になります。
新居の購入方法と流れ
続いては、住み替え先の購入方法と流れについてです。住み替えをスムーズに行うためには「資金計画」と「住み替えをするタイミング」が重要になってきますので、この2点を意識しながら見て頂ければと思います。
新居購入の流れ①:資金計画
新居購入のはじめに行うのが資金計画です。「どれくらいの価格帯の住宅を購入するのか」、「自己資金はいくら用意できるか」、「どのタイプの住宅ローンを利用するか」、「借入額はどれくらいになるか」など様々な検討要素があります。
この資金計画を立てるためには事前に自宅の売却想定額を知っておく必要があります。そのため資金計画のタイミングとしては、早ければ自宅の査定結果が出た時点、遅くとも自宅売却の媒介契約を締結するあたりまでには立てておきましょう。
また、「修繕・リフォームをしてから売却する」、「建物を解体して更地として売却する」、「そのままの状態で安く売却する」などのように自宅をどのような方法で売却するかということもこの時点で決断しておく必要があります。
新居購入の流れ②:物件探し
資金計画が固まったら次は物件探しに移ります。
ネットで検索して気になった物件や不動産会社から紹介してもらった物件など積極的に内覧をしていきましょう。自分の希望条件を全て満たす物件というのは滅多に存在しません。
住宅は大きな買い物ですから妥協したくない気持ちは分かりますが、最終的にはどこかで妥協点を見つけることになります。
その際にポイントとなるのが、「今回住み替えをする一番の理由は何なのか?」ともう一度原点に戻ってみることです。
自宅の欠陥や不具合などを理由とする住み替えであれば、新居は「新築物件に限定する」、「耐震性能の優れた物件にする」、「断熱・省エネの優れた物件にする」、「木造より耐用年数が長い鉄骨造の物件にする」などが考えられます。
新居購入の流れ③:購入申込
購入したい物件が見つかったら、不動産仲介会社を通じて買主へ購入申込書(または買付証明書)を提出します。
購入申込書には、申込者の個人情報、希望購入価格、希望売買契約日、希望引渡し日、住宅ローン利用の有無などを記載することになります。
住み替えにおいて特に重要な箇所は、買主側の売買契約日と引渡し日の希望が通るかどうかです。
特に仮住まいをせずに一気に新居へ引越しをする場合は、スケジュール調整がポイントになってきます。
こちら側の希望が通るように不動産仲介会社にはしっかりと売主側と交渉をしてもらいましょう。
なお、新築住宅を購入するときには売主の不動産業者に直接申し込むことになります。
新居購入の流れ④:媒介契約・売買契約
無事に売主から売買条件の合意が取れたら次は売買契約に進みます。
ここで注意しなければならない事は、新居購入の売買契約は自宅売却の売買契約の後に締結するという事です。
もし新居購入の売買契約を先に締結してしまうと、万が一自宅売却の売買契約がキャンセルとなってしまった際に新居購入の資金計画が完全に狂ってしまいます。
そのままダブルローンを組んで購入する、または売買契約を解除して手付金を放棄するなど金銭的にリスクが高い選択をしなければなりません。
「せっかく理想の物件が見つかったのだから他の人に取られる前に契約したい!」と思う気持ちは理解できますが、あくまで自宅売却の売買契約が終わってから新居購入の売買契約を締結しましょう。
なお、住宅を購入する際の不動産仲介会社と結ぶ媒介契約は、売買契約日と同じ日に行います。(新築を購入するとき媒介契約は不要となります)。
新居購入の流れ⑤:決済・物件の引渡し
売買契約の締結後、住宅ローンの本審査が通過したら最後に売主へ売買代金を支払い、住宅の引き渡しを受けます。自宅売却の売買契約で「引渡し猶予特約」を付けている場合はよりタイトな引越しスケジュールとなりますので、あらかじめ不動産会社と綿密に打ち合わせをしておきましょう。
無事に新居への引越しが済んだら、これで自宅の住み替えは完結となります。
購入にかかる諸費用
最後に新居を購入するときに発生する諸費用について確認しておきましょう。
- 仲介手数料 不動産仲介会社に支払う成果報酬です。金額は自宅売却の時と同じく新居の購入価格に応じて変わってきます。仲介手数料は中古住宅を購入する際に掛かりますが、新築住宅のように不動産業者が直接売主の場合は掛かりません。
- 印紙代 売買契約書や住宅ローン契約書に貼付する収入印紙の代金です。金額は自宅売却の時と同じく購入価格や借入金額に応じて変わります。
- 登記費用 新居の所有権を買主に移す際や住宅ローンを組むときに設定する抵当権などを登記する際に掛かる費用です。通常は司法書士に依頼することになります。
- 住宅ローン借入費用 住宅ローンを組む際に銀行に支払う費用です。住宅ローン借入費用には、融資手数料とローン保証料があります。融資を受ける銀行によって金額に違いはありますが、目安として融資手数料は3万円程度、ローン保証料は借入額1,000万円につき20万円程度が掛かることになります。
自宅の欠陥や不具合を理由に住み替える場合のまとめ
今回のテーマである「自宅の欠陥や不具合などを理由に住み替える場合」では、「欠陥や不具合のある自宅をどのようにしたら売却することができるのか?」という事が最大の関門になります。
立地などの諸条件にもよりますが、一般的に欠陥や不具合のある住宅はなかなか売れません。
通常の自宅の住み替えより難易度は高くなりますので、不動産会社と二人三脚でしっかりと戦略を立てた上で自宅の売却活動を行い、満足のいく住み替えを実現させましょう!