不動産売却時の税金丸わかり!知らなきゃ損な節税対策

不動産売却でかかる3つの税金って?

不動産売却でかかる3つの税金って?

不動産を売却時にはどんな費用がかかるのでしょうか?

仲介手数料や登記費用などがありますが、なかでも不動産売却時の税金は高額になることもあります。

そのため、事前にいくらくらいかかるのか把握しておくことが重要になります。

売却する不動産の大きさや種類などによって税額が変わるものもあるので、売却時の税金について事前にしっかりと学んでおくことが大切です。

「こんなにかかるなんて思ってもみなかった!」とならないように、まずは不動産売却時にかかる<3つの税金>について、みていきましょう。

1.譲渡所得税

不動産売却によって利益が生じる(売却益)場合には「譲渡所得税」がかかります。

そのため、利益が出ない売却の場合には不要です。譲渡所得税は他の所得等とは別々で計算される「分離課税」に分類される税金のため、会社で年末調整をしている会社員でも、個人で確定申告を行わなければなりませんので注意が必要です。

譲渡所得税は【{譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額(一定の場合)}×税率】で求められます。

税率は、不動産の所有期間によって異なります。土地や建物を売った年の1月1日時点で、その土地や建物の所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」となります。

税率
・長期譲渡所得の場合、20.315%(所得税15%+復興所得税0.315%+住民税5%)
・短期譲渡所得の場合、39.63%(所得税30%+復興所得税0.63%+住民税9%)

2.印紙税

不動産売却時に必要となる「不動産売買契約書」。

契約書には印紙を貼る必要がありますので、これが印紙税となります。印紙代は、契約書に記載されている契約金額によって異なります。

不動産の契約金額が1,000万円超~5,000万円以下の場合には、「20,000円分の印紙」を売買契約書に貼ります。

なお、租税特別措置法により令和4年3月31日までに作成される不動産売買契約書では、貼付する印紙に対し軽減措置が講じられているため、印紙税が減税されますので、この期間に不動産売買契約書を作成する場合には、同様の不動産契約金額での印紙は「10,000円分」で済みます。

契約金額本則税率軽減税率
500万円~1,000万円1万円5千円
1,000万円超~5,000万円2万円1万円
5,000万円超~1億円6万円3万円
1億円超~5億円10万円6万円
5億円超~10億円20万円16万円

3.登録免許税

不動産売却時には、法務局に必要書類を提出し名義変更(所有権移転登記)が必要となります。

このときにかかってくる税金が「登録免許税」です。

一般的に購入する側が負担することの多い税金ですが、実は売り手・買い手のどちらが負担するか法律で決まっているものではありません。

そのため、負担する可能性があることを念のため頭に入れておいた方がよいでしょう。

不動産売買の登録免許税は、「固定資産税評価額」×2%として計算されます。

ただし、こちらも令和5年3月31日までは軽減税率が適用されますので、「固定資産税評価額」×1.5%で計算されます。

節税はできるのか?

節税はできるのか?

不動産売却によって利益が生じた場合には譲渡所得税がかかってくるため、物件によっては多額の税金がかかってくることがわかりました。

同じ不動産を売るのであれば、税金は少しでも節約したいところです。不動産売却時に支払う税金のなかには、特例や特別控除によって支払う税額を抑えられるものがあります。

この控除などを知っているだけで、人によっては節税額が大きくなる場合も多々あります。

賢く不動産売買ができるよう、特例等の内容もしっかりと把握しておくことが大切です。

マイホームを売却時に知っておきたい特例・特別控除

マイホームを売却時に知っておきたい特例・特別控除

マイホームを売却する場合には、利益を目的とした不動産投資の物件売買では対象にならないマイホーム売却限定の特例や控除があります。

これらの控除等によって譲渡所得税がかからなくなったり、税率が下がったりするので、とても重要です。

マイホームの売却を検討している方は必ずチェックし、無駄なく節税できるようにしましょう。

マイホームを売るなら、通称「3,000万円特例」

マイホームもしくは敷地の売却の場合、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除される通称「3,000万円特例」があります。

適用条件は難しいものではなく、以下の両方の条件に当てはまれば対象となります。

1.譲渡した年の前年と前々年に同様の特例や控除を受けていないこと
2.譲渡の買い手が親子・夫婦・生計をともにする親族・同族会社でないこと

10年以上所有していると、さらに軽減税率特例の適用対象に

10年以上所有しているマイホームを売却する場合には、先ほどの3,000万円特例とあわせて「10年超所有軽減税率の特例」を受けられます。

売却する土地や建物の所有期間が10年を超える場合、譲渡所得税に軽減税率が適用されます。長期譲渡所得の本則税率は「20.315%」ですが、譲渡所得が6,000万円以下の場合は「14.21%」に、6,000万円を超える部分については「20.315%」の税率が適用されます。

確定申告が必要となりますので、忘れずに申告しましょう。

マイホームの所有期間10年以上に加え、居住期間も10年以上の場合に適用される特例もあります。

ただし、売却するマイホームよりも高い金額で新たな住居を購入する必要があること、譲渡益に対する課税を将来に繰り越せる特例のため、譲渡益が非課税となるわけではない点に注意が必要です。

この特例はさきほどの2つと異なり、あわせて特例を受けることができません。

適用条件は、買い換え後の建物の床面積が50平方メートル以上であることや、売却代金が1億円以下であるなどいくつか条件がありますので、事前に国税庁のWebサイトなどで確認が必要です。

マイホームの住宅ローン残高を下回る金額で不動産を売却した人が受けられる特例もあります(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)。

令和3年12月31日までに売却し譲渡損失があった場合には、その年の給与所得や事業所得などの所得から損益通算でき、実質的に控除されます。

なお、控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡した年から3年以内に繰り越して控除することも可能です。

適用条件はほかに、所有期間が5年超、償還期間10年以上の住宅ローンの残高があることなどです。

平成21年(2009年)と22年(2010年)に土地を取得している人だけが受けられる特例も

平成21年(2009年)と22年(2010年)に土地を取得している人だけが受けられる特例も

平成21年(2009年)と22年(2010年)に土地を取得している人限定で受けられる特例もあります。

この特例は、2009年と2010年に購入した土地を平成28年以降に譲渡した場合に、その土地などにかかる譲渡所得の金額から1,000万円が控除されるものです。

2008年のリーマンショックを受け不動産市場活性化の目的で作られましたが、たまたまこの時期に物件を取得したという方もいるのではないでしょうか。

この特例の適用条件として、土地の使用用途は問われないため空き地や投資⽤マンション、セカンドハウスも対象となります。

マンションであっても敷地権部分については適用されます。ただし、家族や同族会社等の身内から譲渡された土地は対象外です。

特例が受けられない場合も!必ず事前に確認を

特例が受けられない場合も!必ず事前に確認を

不動産を売却する場合に控除される特例にはさまざまな種類のものがあります。適用条件をしっかり確認し、準備や申請を行えば高額な節税に繋がる方も多いはずです。

ただし、特例を受けるためには、建物・土地の面積や物件の種類、築年数などが適用条件として設定されているものもあり、すべての特例を受けられるわけではないことに注意が必要です。

そのため、特例や控除の対象になるか事前に国税庁のWebサイトなどで確認しておくことが大切です。

税金対策をして、賢く不動産売却しましょう

税金対策をして、賢く不動産売却しましょう

不動産売却時にかかる税金は必ずかかってしまうものもありますが、特例や控除によってその税額を抑えられます。

同じ物件でも、売却時期によっては大きく節税できます。

また、確定申告によって受けられる控除もありますので、勤務先で年末調整を受けている方も大きな節税のために確定申告にチャレンジしましょう。

国税についてわからないことがある場合には、税務署に相談すると確実で安心です。

国税局電話相談センターは電話での相談を受け付けていますので、国税庁のWebサイトなどで解決できない疑問などは電話相談が便利です。