不動産を売却したい!知っておきたい一連の流れと費用の話

不動産はどのように売却する?知っておきたい一連の流れ

不動産はどのように売却する?知っておきたい一連の流れ

家や土地といった不動産の売却は、ほとんどの人にとってはあまり馴染みのないもので、しかも専門用語が多く大きな金額が動くことから難しいイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。

不動産売却時には不動産会社に仲介を依頼するのが一般的ではありますが、専門家に依頼する場合でもあらかじめ大まかな流れや基本的な考え方知っておくと、取引を進めていく中で生まれる不安や予期せぬトラブル最小限に抑えることが可能になります。

この章では不動産の売却に関する一連の流れを解説していくので、これから家や土地の売却を検討している人は参考にしてみてください。

不動産会社に査定依頼して媒介契約を結ぶ

不動産の売却は、まず不動産会社に家や土地の査定を依頼することから始まります。

不動産を売却する際、不動産会社に依頼して仲介してもらうのが一般的であることは先述のとおりですが、査定結果を比較することによりどこの不動産会社に依頼するかを決定します。

不動産会社は家や土地の売却を希望する人からの依頼に基づいて買手を探し、契約から引き渡しまでのサポートをしてくれます。

ここで提示される査定額は「うちがこの家(土地)を仲介すればこのくらいの値段で売れます」という目安の金額です。

不動産会社によって異なる査定額を提示されることも珍しくないため、できるだけ複数の仲介会社に査定してもらいましょう。

仲介を依頼したい不動産会社が見つかったら、その不動産会社と「媒介契約」を結びます。

この媒介契約は「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3つに分類され、1社のみに依頼するか、複数の業者に同時に依頼するかなど希望に合わせて契約形態を選びます。

価格が決まったら販売開始

不動産会社と媒介契約を締結したら、家や土地の価格などの募集条件を決めて販売開始します。

募集金額は売主の希望に沿って決められることが多いですが、高く売りたいからといって高く設定しすぎると、価格だけで検討対象外にされてしまうことも少なくないため注意が必要です。

しかし一方で、契約条件を決める段階で購入希望者から値下げの交渉される場合もあり、それを想定して少しだけ上乗せして募集に出すという方法もあります。

募集条件は問い合わせ状況を見ながら、不動産会社と相談して決めるようにしましょう。

販売中のメンテナンスも大切

募集期間中は不動産を放置せず、定期的にメンテナンスする必要があります。

家を募集に出している場合はいつ購入希望者が見学に来てもいいよう、室内にほこりが溜まっていないか、窓が汚れていないかなどチェックしましょう。

土地の場合は、敷地内にゴミが捨てられていたり雑草が伸びっぱなしになったりしていないか足を運ぶようにするといいでしょう。

もし家や土地が遠方にあるなどで足を運ぶのが難しい場合は、不動産会社に相談してみましょう。

売買契約書の作成と契約締結

買い手が決まったら売買契約を締結します。

売買契約に必要な契約書などの書類は、仲介に入っている不動産会社が作成してくれます。

売買契約書は内容が非常に複雑で分量も多いため、契約日の数日前に不動産会社から写しをもらい、あらかじめ目を通しておくようにしましょう。

売買契約当日は不動産会社の担当者や宅地建物取引士から契約内容の説明と意思確認がされ、契約関連書類への署名捺印、買主から売主への手付金の支払い等が行われます。

これらの契約手続きが終了すると、売買契約書上で定めた日に買主へ不動産を引き渡し、買主から売買代金の残金を受け取ります。

この引き渡しの日から登記簿上の所有権が旧所有者(売主)から新所有者(買主)に移転することになりますが、所有権移転登記は通常司法書士が行います。

不動産売却時にかかる「仲介手数料」とは?

不動産売却時にかかる「仲介手数料」とは?

不動産会社に売買の仲介を依頼すると、取引金額に応じた「仲介手数料」を支払うことになります。

この仲介手数料は不動産会社にとって非常に重要なものではありますが、少しでも多くお金を手元に残したい人にとっては、できるだけ支払いたくないと考える費用のうちのひとつでもあります。

この章では仲介手数料とはどのようなものなのか、相場はいくらなのか、そして街中の広告などで目にする「仲介手数料無料」は本当にお得なのかを解説していきます。

仲介手数料は不動産会社に支払う成果報酬

不動産会社に支払う仲介手数料は、不動産会社が売買契約締結までサポートしてくれたことに対する成果報酬としての意味合いがあります。

不動産会社は家や土地の購入希望者を募るためのインターネットへの広告掲載や、購入を検討している人への現地の案内、契約時に必要な書類の作成や各種申請手続きを一挙にになってくれます。

無事に不動産の引き渡しが完了するまでのサポートをするのが不動産会社の役割であり、売買契約が成立した場合のみ発生するのが仲介手数料です。

仲介手数料の相場と上限

不動産会社に仲介を依頼する際に気になるのが、仲介手数料がどれくらいかかるのかということです。

仲介手数料の上限は宅地建物取引業法で定められており、不動産会社の間ではその上限額を請求するのが最も一般的です。

上限額の計算式は一度の取引価格により異なります。

取引価格(不動産の価格)のうち200万円以下の部分に対しては取引価格の5%、200万円超〜400万円以下の部分に対しては4%、400万円を超える部分に対しては3%として算出し、合計額がその取引における仲介手数料の上限額になります。

「仲介手数料無料」がお得とは限らない

仲介手数料の金額については、先述した上限額をきっちり請求する不動産会社もあれば、半額や無料と広告を打つことで顧客確保を図る不動産会社も存在します。

せっかく不動産を売却するんだから余計な費用をかけたくない、と仲介手数料無料の仲介会社のみを候補とする人もいますが、実はこれはあまりおすすめしません。

不動産会社は通常取り扱っている不動産の質や他業者とのコネクション、不動産オーナーのサポートやそれに付随するサービス等で集客をします。しかしながらそうしたサービスや接客スキル、取引相手との交渉力のない不動産会社は、仲介手数料を半額や無料にすることで顧客を集めるという手法を取る場合があるのです。

仲介手数料が安い不動産会社全てに当てはまるというものではありませんが、表面的なお得感に惑わされた結果十分なサポートを受けられなかった、とならないように注意が必要です。

売却したら終わりじゃない!確定申告についても知っておこう

売却したら終わりじゃない!確定申告についても知っておこう

不動産の売買契約と引き渡しが完了すると全てが終わったような気持ちになりますが、もう1つやるべきことがあります。

それは「確定申告」です。毎年2月15日から3月15日の間に受け付けされるものですが、申告手続きを怠ると思った以上に損をしてしまうケースもあり、またいくつかの書類を集めて限られた期間内に手続きを行う必要があるため、売買契約が完了した段階から準備を進めておくと安心です。

そこでこの章ではどのような場合に確定申告が必要になるのか、準備しておくべき書類や税率の計算方法についても解説していきます。

譲渡所得が発生したら必ず確定申告を

普段会社に勤めている人は、会社でされている給与所得に対する確定申告とは別に、不動産売却による譲渡所得に関しては自分で申告することになります。

この申告が義務とされているのは売却益が発生し譲渡所得がプラスになっている場合で、譲渡所得がマイナスになった場合は必ずしも申告する必要はありません。

しかしながら譲渡所得がマイナスになった場合の申告は、後々税金が戻ってくる還付申告の対象になるため、いずれの場合でも確定申告はしておいた方がいいと言えます。

確定申告時に準備しておく書類

確定申告の際に戸惑う人が多いのが必要書類の準備です。

不動産売買における譲渡所得の申告には、税務署や国税庁から取得する申告書の他にも必要な書類が大きく分けて3つあります。まず1つ目が「売買契約書の写し」。

これは不動産を売却した際に発行される売買契約書だけでなく、売却した不動産を購入した際に発行された売買契約書も必要になります。

2つ目は売却した不動産の「登記事項証明書」で、法務局に行って取得する必要があります。そして3つ目は不動産購入時・売却時の領収書です。

仲介会社に支払った仲介手数料や、固定資産税の精算書もこれに含まれ、後述の譲渡所得税の算出に必要になるものです。

譲渡所得税の計算方法とは?

確定申告をする際は譲渡所得税を記載することになりますが、その税額は自分で算出する必要があります。

まず「譲渡所得」とは、「譲渡収入金額(不動産売却の際に得た収入)」から「譲渡費用(不動産売却の際にかかった費用)」と「取得費用(不動産の購入・取得時にかかった費用)」を引いたもののことを指します。

そしてその譲渡所得に、取引された不動産の所有期間に応じて税率をかけて算出するのが「譲渡所得」です。

譲渡所得税の税率は2種類あり、「短期譲渡所得」は土地の所有期間が5年以下の場合で譲渡所得税率は39.63%、「長期譲渡所得」は土地の所有期間が5年を超えている場合で譲渡所得税率は20.315%です。

確定申告をしないと損してしまう場合も

せっかく不動産を売却して利益が出たのに税金を払うなんて、と無申告でいたり申告を忘れてしまったりすると、本来納付するべき税金だけでなく、追加で2種類の罰金が発生してしまうため注意が必要です。

1つ目は「無申告加算税」というもので、義務とされている確定申告を怠ったことに対する税金です。

もう1つは「延滞税」というもので、本来納付すべき期限をすぎてしまったことに対して発生します。

しっかりと確定申告するつもりでいても、必要書類の準備に手間取って期限を過ぎてしまったというケースもよくあるため、不動産売買の成立と合わせて確定申告の準備もしておくといいでしょう。

賢く不動産を売却するために仕組みをしっかり理解しよう

賢く不動産を売却するために仕組みをしっかり理解しよう

本記事では不動産売却の一連の流れと仲介手数料の考え方、そして譲渡所得に関する確定申告について解説しました。多くの人にとって不動産の売却は初めてのことが多く、また専門的な用語や複雑な計算が多く存在するため難しく感じる人がほとんどでしょう。

煩雑な書類作成や申請は不動産会社をはじめとするプロが行ってくれますが、大まかな流れや基本的な知識をあらかじめ身につけておくと、不要なトラブルや手続き上の不安の解消につながります。

少しでもいいので正しい知識を頭に入れて、ぜひ納得のいく不動産売却を行ってください。