なぜ、サブリース会社の家賃保証は家賃を保証しないのか?

今回は、現在問題になっているサブリース会社の家賃保証について取り上げたいと思います。

なぜ、サブリース会社は契約時に家賃を保証すると言ったのに実際は保証しないのか?

そして、なぜ家賃を保証しなくても違法にならないのか?

現在の借地借家法の問題点に切り込みながら疑問にお答えしていきます。

特にこれから不動産会社にサブリースの依頼を検討している方は是非参考にしてみてください。

借地借家法は借主を護る法律

まず、サブリース契約の内容について簡単に説明します。

サブリースとは、アパートやマンションなどの不動産を所有している人からサブリース会社(不動産会社)がその不動産を一括で借り上げて、サブリース会社から第三者に転貸するビジネスモデルです。

不動産所有者からしてみれば、サブリース会社が一括で借り上げをしてるので、空室リスクを避けて、毎月安定的な家賃収入を得ることができるというメリットがあります。

このサブリース契約の昨今問題になっているのが、契約時に約束したサブリース会社から不動産所有者に支払われる固定家賃が、数年後に減額されてしまい、結果的に家賃が保証されない事態が起きているということです。

サブリース契約時に月額家賃100万円を10年間保証するとサブリース会社から説明されたのに数年後に半分の50万円に減額されてしまった、、、というような事例をよく耳にします。

一見すると、常識的に考えてサブリース会社の契約違反だと思いますよね?しかし、実際はそう簡単な話ではないのです。

これには借地借家法による借主保護が大きく影響しているのです。

借地借家法の問題点

では、借地借家法の借主保護とは一体何なのでしょうか?

借地借家法では、不動産を所有者している貸主よりも借主の方が弱い立場に置かれているという前提で成り立っています。

この法律には様々な借主に有利な条文があるわけですが、サブリース契約の家賃保証において重要なのが、強行法規といわれる規定です。

強行法規とは、貸主と借主で交わされた契約の内容に関わらず、強制的に適用される規定のことをいいます。

実は借地借家法の強行法規の中には、「借主から家賃を減額する請求はできない」という旨の契約を定めた場合、その条項は無効となるように決められているのです。

つまり、サブリース契約で固定家賃を保証するという事は、ある意味、借主であるサブリース会社の家賃減額の請求を認めないということになりますので、強行法規により無効になってしまうのです。

これも、借主は貸主よりも弱い立場に置かれているという借地借家法の基本的な考え方によるものなのです。

このように現在の借地借家法の問題点は、借主保護の規定が一般人の借主だけでなく、プロである不動産会社にも適用されてしまうということです。

アパートを所有している不動産に詳しくない一般の貸主よりも借主である不動産のプロのサブリース会社が保護されるという矛盾が生じているのです。

結局、家賃を保証しなくても違法にならない

以上のように、サブリース契約で10年間でも20年間でも家賃保証を定めたところで、意味をなしていないという事が理解して頂けたかと思います。

つまり、今後、借地借家法の改正などが起きない限り、サブリース会社は家賃を保証しなくても違法にはならないという事です。

実態として、この借地借家法の真実を知った上で確信犯的にサブリース会社が家賃保証をセールストークにしているかどうか筆者には分かりません。

もちろん、数あるサブリース会社のなかには、契約時に家賃減額のリスクをしっかりと伝えているところもあると思います。

しかし、借地借家法という強力な法律の下では、全て後解釈になってしまいます。

現在、サブリースを検討している方は、今回ご紹介した内容をしっかりと把握した上で、契約することを強くお勧めします。